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結ヶ丘を信じろ「ラブライブ!スーパースター!!」肯定論:その4

2期の物語 #6

1年生を2年生から引き離すことに成功した夏美でしたが、なかなか思惑通りに行きません。

きな子
「きな子たちが先輩と離れて練習を始めたのは、先輩たちに追いつきたいからっす!優勝を目指すLiella!の力になりたいからっす!」
夏美
「はいはい・・・ですのですの。わかってますの・・・」
メイ
「Liella!の、」
夏美
「うっ・・・」
メイ
「Liella!の力になれないなら、スクールアイドルやるつもりはない。少なくとも私はな」
四季
「Me too」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第6話

Liella!の力になりたいという3人の想いの強さに夏美は押されてしまいます。
そして、3人がスクールアイドルを頑張る理由もここで明確になります。
つまり自分たちのことよりも、Liella!のことの方がはるかに大事だと思っているのです。逆にいえば、メイが言っている通りLiella!のためにならないなら、スクールアイドルをやめても良いと考えています。
この考えを先取りしてしまえば、第9話で1年生がラブライブ!に出場しないことを受け入れることにも繋がります。1年生はLiella!を大切にする気持ちが強いあまり、自分たちのことをどうしても過小評価してしまっているのです。
かのんの目指すスクールアイドルへの道は一見順調そうに見えても、小さな障害はいくつか残っているのです。
また、そんなLiella!が優勝を目指すことに対する問題も、全て解決したわけではありません。
それが一挙に爆発したのが、第9話と考えることもできます。
ですから、第6話での1年生と2年生の関係性を考えることは、そのままLiella!のあり方や物語のテーマにも直結する重要な問題なのです。

残された2年生の中で、かのんだけは落ち込んでいました。

かのん
「何が悪かったのかなって」
千砂都
「悪い?」
かのん
「うん。せっかく1年生も入って、夏休みはみんなで賑やかに練習だって思っていたのに」
千砂都
「1年生言ってたでしょう。別に私たちが悪いわけじゃないって」
かのん
「でも・・・」
千砂都
「とう!」
かのん
「うぇっ」
千砂都
「自分たちだけでやってみたいって、言ったんだよ。私ね、それはすごいステキなことだと思う」
可可
「その通りです!」
かのん
「みんな!」

「何も言わずに待つのも、上級生として必要なことです」
すみれ
「私たちもさらにレベルを上げて、ギャラクシーな目標になるのよ!」
可可
「それに夏休みが終われば、いよいよ地区予選。その前には学園祭もあるのですよ!」
かのん
「・・・うん!」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第6話

かのんはみんなで楽しく練習したいと思っていましたが、千砂都らが言うように1年生の自主性を尊重することも大事だと納得します。
一方その頃、1年生たちは夏美と一緒に、きな子の実家がある北海道へと合宿に来ていました。着いた早々にきな子の家までランニングをすると、すぐに着替えて練習を始めます。(ハードスケジュールすぎる)
練習が終わって帰ると、きな子の家が経営しているペンションで夕食をとることになりました。夏美は編集に夢中で、煽りサムネを作成してまで再生回数を伸ばすことに精を出していました。(嫌な思い出が)
そこにきな子がやってきて、自分たちの夢を語ります。

きな子
「このステージ、すごいっすよね」
夏美
「えっ、あっはい」
きな子
「メイちゃんたちとも話してたんすけど。きな子たち、これを超えるのが夢なんす」
夏美
「夢?」
きな子
「きな子たちが入って、1年生が増えたから、このステージを越えることができたって。Liella!はパワーアップしたって」
夏美
「それが夢?」
きな子
「夏美ちゃんの夢は何なんすか?」
夏美
「私?」
きな子
「CEOなんすよね。何を目標にしているんすか?」
夏美
「別に。特にないんですの」
きな子
「えっ」
夏美
「強いていえば、お金をたくさん稼ぐことですの」
きな子
「なんで?」
夏美
「なんでって。歳を取った時に困らないようにですの」
きな子
「ふーん・・・」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第6話

言ってしまえば、きな子が語る夢はこの先の展開を示唆しています。
というのも、1年生が加入したから1期のLiella!を超えることができたという展開は、第10話で直接描かれます。
この夢はきな子の言葉通りに実現しますが、どのように超えたのかについてはこれ以上は触れずに、後で振り返ろうと思います。
今は夏美ときな子の会話が噛み合っていないことに着目したいです。まず夏美はきな子の夢をイマイチ理解していません。どうして、夏美がそんな反応になるのかはこの会話からははっきりとは分かりません。
少なくとも、夏美はLiella!で頑張ることが夢になるとは思っていないのです。
そして、きな子も夏美がお金を稼ぐことについて、どこか冷めた態度をとります。「ラブライブ!シリーズ」が夢や目標を叶えることを応援しているのなら、お金を稼ぐことも立派な夢の一つになり得るはずです。ですが、このきな子の態度を見る限りですと、夏美の目標にはどちらかといえば否定的な印象を見る側に与えます。
もちろん、夏美がやりかけたように、勝手に動画を捏造して印象操作をしてまでお金を稼ぐことは道徳的には良くないことです。
「ラブライブ!スーパースター!!」がNHKのEテレで放送されていたことを考えると、ある種の教育番組的な側面もあることが分かります。
(黒背景に赤の太字に代表される煽りサムネのことは自分は苦手です。一つでも多く地上から消えて欲しいです。

きな子のそんな態度に影響を受けたのか、くだらないとぼやきながらも、夏美は練習風景の動画を普通に投稿します。
そして夏美の思惑とは裏腹に、動画の再生数が多くてコメントも高評価が多いといった結果になります。それを見た2年生は喜びますが、すみれや恋は夏美のことが気がかりに思っています。
一度ちゃんと夏美から話を聞くべきと考えますが、千砂都は練習動画を見て別のことを考えているようでした。
千砂都は1年生の自信をつけるために、練習のハードルを上げても良いかもと嬉しそうに言います。(さすが体育会系ちぃちゃん、容赦ない・・・)

その夜、夏美は過去に将来の夢を諦めた夢を次々と見ます。
嫌な夢と夏美は口にします。
夏美が以前抱いていた夢である「オリンピックで金メダルを取ること」「ノーベル賞を取れるような科学者になること」「モデルさんになって世界を駆け回ること」は、どれも一人で叶える前提の夢であることには注目したいです。
そして、2年生から勧められて、2年生と同じステップを練習することを1年生は決めます。しかし、練習のハードルが上がってしまったことで、1年生の3人は練習になかなか取り組めません。夏美はそんな3人をサボっていると茶化すそぶりを見せますが、 夢を語ったからには責任を持って諦めるなと3人を励まします。
動画撮影をするうちに頑張っている3人の夢を素晴らしいことだと感じて、夏美は本心から3人を応援するようになります。
気持ちを新たに練習をする3人を夏美はいつものように追いかけて撮影しますが、いつしか一緒に練習をするようになり、そのことを楽しいと感じるようになります。きな子は昼間の夏美の言葉に感謝して、目標を持っている夏美をすごいと言います(昨日の出来事に対する和解?)。
しかし、夏美は自分が目標を持っていないことを自虐的に話します。
食い下がるきな子ですが、夏美はつい遠ざけてしまいます。
少し悲しそうな顔になる夏美のもとに、この会話を近くで聞いていたかのんが突然やってきます。たまたま北海道にいたお父さんに忘れ物を届けるために、かのんも北海道まで来ていたのです。
かのんは夏美に9人目のLiella!になってほしいと伝えます。
いきなり言われて困惑する夏美ですが、かのんはなぜ誘ったのか明確な理由がありました。

かのん
「夢がないなら、みんなと一緒に同じ夢、追いかけてみない?」
夏美
「夢?」
かのん
「うん。もし夏美ちゃんに夢がないなら」
夏美
「無理ですの」
かのん
「そうかな?」
夏美
「私はこれまでたくさんの夢を見てきて、何も叶わないって分かったんですの」
「かのん先輩のような夢を見ていい人とは、違うんですの・・・」
かのん
「私もいろいろ挫折してきたよ。結ヶ丘の音楽科に入るって夢を持ってたけど、それは失敗しちゃって。でも、可可ちゃんやみんなが教えてくれた。みんなとなら頑張れるよって」
夏美
「!」
かのん
「お互い欠けていることや届かないところを補い合って、一緒に夢を追いかけることはできるよって」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第6話

当然ですが、夏美はきな子に話したように夢がない、なかったわけではありません。そのどれもが叶わず挫折したことで、夢を持つことを諦めてしまっている状態です。
そんな夏美にかのんは、みんなと一緒に同じ夢を追いかけることを推めます。自信の短所を気にして夢を諦めてしまった夏美にとって、それは今まで知り得なかったことでした。
どこかの公園まで場所を移動して、かのんは夏美に同じステップを真似させます。はじめはよく分からなかった夏美も、かのんの動きを真似するうちに、人と息を合わせることが楽しいと知ります。

かのん
「どう?気持ちいいでしょ。これをみんなで息を揃えて決める。応援してくれる人の前で。そうすると、客席の人たちも心の中で一緒に踊ってくれるの。ステージ全てが一つになる。それが最高の瞬間」
「そんなライブをすることが私たちの夢」
夏美
「夢・・・」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第6話

「私の夢」から「私たちの夢」を目指すことをかのんに推められたことで、夏美はLiella!に加わります。オニナッツの契約も夏美がLiella!の一員になったことで、なんやかんや解決したようです。
自分がLiella!に受け入れられてもらえるのか夏美は心配しますが、合宿で見せた熱意は1年生に伝わっていたので暖かく迎えられます。
そして、9人になってはじめてのライブでセンターを務めた夏美はライブの魅力にすっかり夢中になります。Liella!と一緒に夢を追いかけることで、夏美は新しい夢を見つけることができたのです。
1年生は学園祭のライブに2年生と一緒に歌いはしましたが、この段階ではどの程度まで実力差が縮まったのかは明かされていません。1年生と2年生の間にある問題は9人になったとしても、いまだ続いていきます。

2期の物語 #7

第7話は恋がゲームにハマってしまうという展開がある回ですが、中には極端な誤解もする人がいて驚きます。別に恋はゲーム廃人になっていないですし、最後にはゲームとの付き合い方も改善されます。
それにゲームで遊びすぎることは確かに時間を奪うネガティブな面も描かれますが、それだけではなく、コミュニケーションツールとしての側面も物語では強調されており、決して印象を悪くするような意図があるはずありません。ゲームをみんなで楽しく遊ぶことの何がいけないのか、自分にはよく理解できません。
まぁこう言っても、分からない人には分からないんでしょうが。

アバンにいつもある「前回のラブライブ!スーパースター!!」を突き破って、VRゲームに熱中する恋。その恋を抜いて、喫茶店を貸し切ったかのんの家に他の8人は集まっていました。すみれがメロン好きと聞いて、メロンパンダ?の被り物をお土産にしていたり、千砂都はマンマルを楽しそうに紹介し、夏美もLiella!を全力サポートすると宣言したりなどと、どこかみんなテンションが高いです。ラブライブ!の詳細が発表されて一同は盛り上がりますが、今回は前回と違ってリモート開催で曲目も自由なため、予選突破のハードルは上がっていました。
肝心の曲は、歌詞をかのん、作曲を恋にしたいと部長の千砂都は提案します。かのんとしては、せっかく1年生が入ったにも関わらず、2年生だけで作ることにやや不満があるようですが、1年生がラブライブ!に初めて出場することもあって、ここではみんなの考えに大人しく従います。
穿った見方をすれば、第10話での作り方との違いを演出するために、ここではあえて2年生だけで作ることにしたとも考えられます。この時のかのんが少し残念そうにしていることは見逃してはいけないと思います。

作曲の話題に出た恋ですが、練習にもどこか上の空です。
最近の生徒会の仕事がかなり忙しいらしく、恋が寝不足なことをみんなは心配します。かのんは理事長に恋のオーバーワークを伝えると、書記や会計をそろそろ作ったほう良いと恋に忠告していたことを教えられます。
恋に負担を強いてしまったことを申し訳なく思うかのんに、恋は焦って駆けつけ心配ご無用と早速作曲にとりかかります。
一人ノートを取りに教室に戻っていたメイは、聞こえてくるピアノの音が気になり音楽室に足を運びます。メイは恋が作曲以外のことをしているのに気づいて中に入ると、ゲームに夢中になっている恋の姿を目撃します。
ゲームがバレた恋のあわてようを普通ではないと感じて、メイは何があったのかを聞きます。そしてメイは恋の家でおびただしい数のゲーム機を目にしたことで、恋がゲームマニアだったのかと驚きますが、実はそうではありません。
きっかけは第5話において可可の家でゲームを遊んだことでした。
それ以来ずっとゲームのことが気になっていた恋は、そのことを家のお世話をしているサヤに相談します。恋が頑張りすぎていたことを心配していたサヤは、趣味に興じるためにゲームで遊ぶことを推めます。
はじめはほんの少しでやめるつもりだった恋ですが、父親からゲーム機が次から次へと送られてきたこともあり、すっかりゲームに夢中になってしまい毎日寝不足になってしまったのでした。

このことを2年生の他の4人には知られたくないと、恋は作曲が終わるまで部屋の鍵をメイに預かってほしいと頼みます。
四季はメイの様子がおかしく何かを隠していることに気づいて、恋との関係を問い正します。メイは恋のために答えをはぐらかしますが、四季は納得いきません。
一方、かのんは恋の力になりたいと思っていますが、自分が生徒会の仕事を手伝うことは無理だと感じてしまっています。それを見ていた千砂都は、かのんに以前かけられた言葉を使って励まします。
そしてかのんは理事長から副会長になることの許可を取り、恋と学校の力になりたいことを恋に伝えます。

自分のために頑張ってくれるかのんを見て、正直にゲームのことを告白したいと思っても恋はなかなか勇気が出ません。
失望されるかもしれないと心配する恋に、メイは四季との経験から、友達ならば正直に話すことでお互いに仲良くなれることを話します。
勇気を出した恋はゲームに熱中していたことをみんなに告白します。
怒られることを恋は覚悟しましたが、みんなの反応は意外と温かく、むしろ親近感が湧いたと好意的なものでした。
かのんはみんなでゲームを遊べばスッキリすると考えて、協力してゲームをクリアすることにします。ゲーム画面を映さず、キャラクターのリアクションを中心にカメラが捉えている演出を経て、ゲームをクリアすることに恋たちは成功します。
そして、なんやかんやで誤解も解けて、メイと四季の仲も直ります。
恋は気持ちを新たにしたことで、最後にはゲームへの未練を断ち切って、作曲に集中できるようになりました。

第7話は人との結びつきが大事だと実感するようなエピソードだったと思います。恋は自分から正直に協力をお願いすることを躊躇っていました。
そのことは恋がゲームで遊ぶ姿勢にも反映されていました。
はじめはゲームを一人で隠れて遊んでいたので、ゲームは時間を奪ってしまうものになっていました。ゲームと並行して生徒会の仕事が大変になっても、恋は一人で抱え込んでしまい疲労が重なってしまいました。
しかし、かのんやみんなの協力によって生徒会の仕事を分担するようになり、恋の負担は軽くなりました。
そして、恋は正直に自分の現状を話します。
みんなと協力するようになったことで、ゲームは一人で遊ぶものから、みんなで楽しめる良質なコミュニケーションツールにもなりました。
一人でクリアできなかったゲームも、協力すればクリアできたことから、ここには一貫したテーマがあることが分かります。つまり、生徒会の仕事とゲームは明らかに対応していて、似たような関係や問題としてここでは描かれていたということです。
仕事やゲームをみんなで協力する過程で、1年生と2年生の仲はまた少し縮まっていったのです。

2期の物語 #8

2期の第8話は言ってしまえば、1期の第9話と同じようなエピソードです。
1期でも5人が一通り集まったタイミングでグループ名を考えるといった展開があり、そのことがスクールアイドルである自分たちを見つめ直すきっかけになっていました。
2期の第8話でも9人が揃った段階で、自分たちの学校である結ヶ丘について問い直します。同じような展開になっていきますが、ここでは違いの部分も探してみたいです。

前回にあったかのんの副会長の就任に続いて書記や会計も決まり、新たな形で続くことになった生徒会。
Liella!ではラブライブ!のステージに向けて、作戦会議が行われていました。多くのグループが参加するため、去年以上のステージが求められることになります。可可は地元の野球場を貸し切ることを計画しますが、残念ながらメイと一緒に断られます。(ここのシーンの恋と千砂都の体操の間に、かのんが顔を出すとこがお気に入りです)
夏美の視聴者の興味を惹こうとした狡い案もあっさり却下されます。

千砂都
「とにかく、みんなで考えて見つけるしかないよ」
「Liella!と結ヶ丘、そして私たちのことがちゃんと伝わる、シンボルになるような場所」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第8話

と、千砂都は部長らしく正論を言いますが、結ヶ丘らしい場所がそんな簡単に決まるわけもなく、かのんは頭を悩ませます。
その頃学校の方ではオープンキャンパスの準備が進められていました。
スクールアイドル部も何かしようと考えますが、今回は地区予選に集中するためLiella!のライブは行わないことにしました。またLiella!がライブを行えば、他の部が注目を集めることの妨げになってしまうと考えたからです。
当日のオープンキャンパスは無事に人が集まりました。
雑誌にも取り上げられていたことが恋から明かされ、結ヶ丘が理想の学校に近づいていることが分かります。
そして、かのんの妹のありあも見学に訪れていました。

ありあ
「面白いよね」
かのん
「ん?」
ありあ
「ここ、元々は音楽学校だったんでしょう。どうしてこの場所に学校を作ろうと思ったんだろう」
かのん
「どうして?」

「この場所に作った理由は私も・・・」
ありあ
「ふーん」
かのん
「・・・」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第8話

ありあの言葉をきっかけにして、かのんは町の歴史を調べて学校の生い立ちを探ることが、ステージを決めるヒントになるのではと考えます。
なかなか答えが見つからないところに、Sunny Passionから連絡がきます。
信頼するLiella!に地区予選のステージを見せてくれたのです。
仮に地区予選を突破できたとしても、次からは島を離れた東京のステージになるかもしれないので、Sunny Passionにとってこれが島で行う最後のステージとあって、気合が入っていました。
すごく良い雰囲気の中でSunny Passionは島のみんなが作ったステージを紹介して、自分たちの想いを語っているのを見れば、まさか彼女たちが地区予選で敗退するとは想像できません。
しかし今から考えれば、このシーンは次回の敗退劇をより際立たせるための演出だったのかなと思います。特に最後という言葉を使っているあたり、本人たちも気づいていないような終わりの予感をどこか漂わせています。
(もちろん素直に受け取れば、Liella!もいつか3年生になって卒業する時が来るという、3期の展開を匂わせていることは間違いないでしょう)
このシーンがいわゆる死亡フラグみたいなものだったと、気づく人はどれぐらいいたのでしょうか。このシーンを上手く描いたことで、逆にこれがフラグだと気づくこと人は少なく、次回のSunny Passionの敗退は驚きを持ってむかえられました。
Sunny Passionをあっさり退場したと考える人もいますが、この第8話を改めて振り返れば、前振りはきちんとあったことが分かります。
Sunny Passionが敗退した意味とLiella!への影響は第9話でさらに話したいので、今は話を戻します。

学校のために歌いたいという気持ちはLiella!も同じです。
かのんは自分たちに相応しいステージのヒントを見つけるために、朝から街を散歩することにしました。その時丁度、個別に練習していたきな子に出会ったことで、一緒に街へ出かけることにしました。

きな子
「面白かったすね!」
かのん
「良かった」
きな子
「どこに行っても賑やかで、みんな笑顔で。きな子は人が少ないところで育ったから、それだけでワクワクしてくるっす」
かのん
「・・・」
きな子
「かのん先輩?」
かのん
「どこも賑やか・・・、人が集まる街・・・」
きな子
「かのん先輩?」
かのん
「あっ、ごめん!」
きな子
「何かヒントが見つかったんすか?」
かのん
「うーん・・・。なんか、この辺までは・・・」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第8話

きな子と一緒に街を巡ったことで何かヒントを得ますが、あと一歩答えに届きません。そんなところに、ナナミ、ヤエ、ココロの3人が姿を見せます。
いわく、Liella!が練習に集中してもらうため、ラブライブ!が終わるまで生徒会の仕事を引き受けたいと言います。Liella!がもし決勝まで進めば、長期間頼ってしまうことをかのんや恋は心配しますが、それでもLiella!と一緒に喜びたいという目標に向かって、自分たちもできることを全部したいと3人は答えます。悔いを残したくないという気持ちは、Liella!と同じぐらい強いのです。
そこからLiella!は気持ちを新たにして地区予選に向けての練習に励み、生徒会の仕事やステージ作成は他の生徒が担当してくれるようになりました。また、すみれや四季が平均台の上でバランスを取る練習をしている描写から、生徒だけでなく学校の先生?もLiella!に協力していることが分かります。
短いシーンなので拡大解釈には気をつけたいですが、まさに学校全体でLiella!を応援しているということだと思います。

ステージの候補が集まりアンケートを取った結果、去年の東京大会で使用した表参道が多く票を集めました。しかし、表参道が目立つ場所で歴史ある道だったとしても、去年と同じ場所で歌うことはインパクトとしては弱いことから、メンバーには表参道のステージに抵抗感がありました。
かのんは表参道が選ばれることには何か意味があると考え、あることに気づくと突然その場所へと走り出します。困惑したメンバーが慌てて追いかけて尋ねると、かのんは次のように答えます。

かのん
「ううん、分かった気がしたんだ、私たちのステージ!」
四季
「私たちの」
きな子
「ステージ」
夏美
「どこなんですの?」
かのん
「ここだよ」
千砂都
「ここって?」
かのん
「道。道が集まる場所だったからなんじゃないかな。私たちの学校ができたのは」

「道・・・ですか」
かのん
「うん。道が集まり、人が集まる場所だったから。それぞれの夢や希望が集まり、つながる場所だったから」
---
かのん
「だから、私たちはここにステージを作りました」
「誰かと誰かがつながり、結ばれていく。結ヶ丘はそんな学校です」
「道と道が結ばれるこの場所で、私たちは歌います!」
「Liella!の道が、結ヶ丘の道が、あなたと交わりますように」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第8話

正直、かのんが言っていることは1期の第9話とほとんど一緒です。
主語がLiella!と結ヶ丘の違いこそありますが、「つながる」や「結ぶ」といった言葉はここでも共通して使われています。それでも「道」という言葉がこの話数で新たに登場します。
これによって、「つながる」や「結ぶ」と言った言葉が以前よりも、ずっと広がったように思います。今までですと、「つながる」や「結ぶ」からはLiella!や結ヶ丘の中での出会いなどを想起させていました。
1期の第9話でかのんが語っていたニュアンスから推察すると、これらの言葉はあくまでLiella!と名付けた由来として使われており、Liella!のあり方やテーマを指す言葉でした。つまり、今までの「つながる」と「結ぶ」は様々な出自のメンバーが集まったLiella!や結ヶ丘を肯定する言葉であり、その意味合いからの言葉の広がりはLiella!の内側に留まっていました。
しかし、2期の第8話では「道があなたと交わりますように」というかのんの言葉が出てきます。この「あなた」に注目したいです。
Liella!の外側にある、知らない誰かの「あなた」と交わることをかのんは期待しているのです。小さなことだと思いますが、これはかのんやLiella!の成長であり進歩だと自分は捉えています。
「道」という言葉にかのんが辿り着いたことで、今までの「つながる」や「結ぶ」のイメージを超えて、応援してくれるファンとつながることまで想像できたのだと思います。自分たちの周りのことだけではなく、その外側にいる観客のことまで意識することは、当然第10話のライブ表現にも影響を与えていると思います。
2期は1期のLiella!をどう乗り越えるかが再三問われています。
こうした1期と2期の細かな違いや変化を見つけて自分で考えることは、物語を理解する方法の一つだと思います。「道」という言葉もその観点から考えてみました。

Liella!は「Chance Day, Chance Way!」を地区予選の舞台で披露しました。
振り付けや衣装から歴史や伝統をモチーフにしていることは明らかであり、過去から未来へのつながりが表現されていると思われます。またライブシーンの中で2年生と1年生がそれぞれペアになるように配置していることも述べておきたいです。Liella!の中に2年生と1年生の枠組みが存在することを活かした、工夫の仕方だと思います。
2年生と1年生が一つになることがLiella!にとって大切であることが、このライブ表現からも伝わります。
そして、Liella!は見事東京大会へと進出します。
しかし、Liella!のステージをマルガレーテが影から見ており、彼女の久しぶりの登場も予感させてこのエピソードは終了します。

物語も次回からいよいよ終盤に差し掛かります。
中盤の展開で1年生の数を増やしたLiella!ですが、そのことが1期のLiella!を超えることにどう繋がるのでしょうか。もちろん、それはマルガレーテとの対決によって分かってきます。そして、最後には話が戻って、かのんの「私を叶える物語」の続きが描かれます。
次からは前にも言ったことや書いたことの繰り返しが多くなると思いますが、それでももう一度整理してみたいです。


今回はここまでです。
ワールドカップが始まって、思ったように全く進みません。
当初の考えより、どんどん文字数が長くなってしまって、終わりがいつになるのか自分でも分かりませんが、
書きたいことは大体決まっているので、そのうち終わると思います。


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