不毛

なにかができるという意味で
この身を肯定するのなら

なにをもできぬという意味で
この身を否定することと

知ってしまえばそれはもう
黒い海へと落ちてゆくこと

価値と意味との波間に溺れ
月影溶け込む白波つかむも

在るという名の一切は
打ち砕かれては消えてゆく

意義って色した衣類も靴も
半端に重くて沈むばかりで

ぷかぷか浮かんで息できるのは
泳げるわずかのただわずか

それらもいずれは窒息し
視界のすべては潤んだままに

まぶしき海の一切に
背を向け荒れた土地をゆく

ただ唯一の存在だけが
あるがまままま影を吐き出し

潤まぬ瞳で土を緑を
雨風天を描くだろう

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