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サトウ・レン
2020年4月27日 02:16
初夏の午後、青年はひとりお墓の前にいました。 菊の花を添え、水を掛け、眼をつむり、手を合わせていました。青年は携えていた鞄から一冊の本を取り出しました。本の表紙には青年の名前が書かれていました。「完成したら、読ませてね」 冒頭の一ページを破り、鞄に戻しました。青年はその本を墓前に置き、墓石へと向けていた靴先の方角を墓地のそばにある小学校へと変え、そして一歩、踏み出しました。 小学校