マガジンのカバー画像

原稿用紙二枚分の感覚

50
「原稿用紙二枚分の感覚」の応募作や関連する記事をまとめています。
運営しているクリエイター

#ファンタジー

海底に、月

海底に、月

毎日のように、深夜に目が覚める人魚がいた。辺りは暗く、さかな一匹も起きていない。落ち込んだ様子でため息をついている。

泡となり、しばらくフワフワと浮かんでは、すぐに割れた。それを目で追ったあと、海藻のあいだをスイスイとかきわけるように泳ぎだしている。

岩場に着くと、透明なブルーにまばゆい光が差し込んできた。

「みんなには怒られるけど、これを見ないと眠れないのよね」

視線の先には、溶けている

もっとみる

冷凍オートマター

 ミゾレ部族の聖域は静まり返っていた。しめやかに巡回するのはミゾレ部族の戦士、シラユキである。シラユキはカンテラ片手に聖域を警らしていた。聖域は古代樹の樹海の中にあり危険生物も多い。
 シラユキはカンテラを周囲を照らしながら移動する。巨大樹木の間を潜りぬけシラユキはカンテラを照らす。それをただ繰り返す。
 それを何回も繰り返し、広大な聖域は正常であると確認するが聖域の警らの仕事であった。
 シラユ

もっとみる