KAZU SUZUKI

人狼ゲームクリエイター 主な作品: 人狼ゲーム 牢獄の悪夢 / 人狼スポーツ ボイスス…

KAZU SUZUKI

人狼ゲームクリエイター 主な作品: 人狼ゲーム 牢獄の悪夢 / 人狼スポーツ ボイススタジアム / 人狼 Dead or Alive(大創出版) / おおかみ少年だあれ?(大創出版) / 絶叫人狼(集英社 りぼん) / 人狼ゲーム 人事の悪夢(大和書房)

最近の記事

WHAT YOU WANT

彼女は帰り際、 「それは本当に、あなたがしたいことなんですか?」 と言った。 「僕が本当にしたいこと……」 自問してみたけれど、心の引き出しには、何の答えも入っていなかった。隣の引き出しも、その隣も、どこを探っても空っぽだった。 僕の中にある、いくつもの価値観。 仕事、家族、お金、遊び、学び、友だち、成長、、、。 モノサシはいろいろ持っているつもりだった。 けれど…… 僕の持つモノサシは、誰かと共通認識を作るためのものであって「本当の自分の欲求」を測るモノサシではないこ

    • NOT TOO LATE

      2021年11月 東京での残り少ない時間を、表参道にある友人のオフィスで過ごしていた。 17時半に仕事を終えると、外はもうすっかり冬の空気で、夜空は深みを増していた。 通い慣れた地下鉄を早足で歩き、娘が待つ保育園へと向かう。 コロナの影響で、この時間でも座れるくらい電車は空いていた。 うつらうつらとしながら、電車に揺られる。 表参道から自由が丘までの一人の時間。 渋谷駅に到着すると、およそ半分の人が電車から降りた。 すると、ふたつ隣の席に座っていた女性が、イヤホンを座席

      • MILK

        ── 部屋に染み込むミルクの匂い。 20代前半。Mさんは、僕にとって兄のような存在だった。いや、今でもそうだ。勝手にそう思って生きてきた。 何かを失ったような気持ちになると、決まって僕は、彼のウェブサイトを開き、ずっと残されたままの古い写真を眺める。 「君も子供つくった方がいいよ。絶対おもしろいから」 彼は無責任に、そう言った。 「今は仕事が楽しいから、まぁ、機会があればでいいです」 当時の僕は、本当にそう思っていた。 そんなふうに答えてから、僕に子供ができるまで結局2

        • FORTUNE OF MISFORTUNE

          僕の好きな言葉に 「幸運は不運の姿をして訪れる」 がある。 ついていない出来事や、腹の立つような出来事があったとき。 その時には気づかないが、後々、なにか幸運を感じるときに、 ふと「あのときに体験した辛いできごとがなかったら、今の幸運はなかったろう」と思う。そんな経験から生まれた言葉だそうだ。 もう少しレベルの低い言葉だけれど、かつて僕にプロデュース業を教えてくれた先輩が 「どんな状況も、ジョーカーと同じ。使い方によって、どんなカードにもなる」 と教えてくれた。 この教

        WHAT YOU WANT

          COMFORT ZONE

          2020年12月。僕は大手広告代理店を退社した。 2021年12月。僕は日本を離れ、ドバイに移住した。 2031年12月。僕は地球を離れ、月に移住している、、かもしれない。 奇妙な書き出しだけれど、今日は旅立ちについて書きたいと思う。 僕たちの心の中には、自分自身が「快適だ、安心だ、と思える心の状態」があり、その状態を無意識のうちに守ろうとしているらしい。とある人が、それを「コンフォートゾーン」と呼んでいた。 旅立ちは、この「コンフォートゾーン」から飛び出すことに他なら

          COMFORT ZONE

          A STATE OF MIND

          娘を無事、保育園に送り届け、僕はふと惹かれて入ったカフェでパソコンを立ち上げた。 "Do you have Wifi?" アフリカ系の男性店員にそう聞くと "Yes" と微笑み、白い歯を見せて、僕のパソコンディスプレイに映るネットワークリストから「A State Of Mind」を指さした。 ( A State Of Mind・・・・・・ 「心境」か ) 思えば、ドバイに引っ越して、もう1ヶ月が経とうとしている。 そろそろ、今の心境を記録しておいてもよい時期だろう。き

          A STATE OF MIND