貨幣数量説と流動性選好から考えるアベノミクス下の金融政策についての疑問

貨幣数量説についてのメモ
僕の中では、
貨幣数量説(岩田規久男さん・黒田総裁)
ケインズ的な考え方(白川元総裁)という対立構造のイメージ感。

○貨幣数量説・流動性選考から考える日本の金融政策についての疑問
①アベノミクス下で日銀がやったことは、ETFの買い入れ、つまり株価の下支えをした。つまり、株価が下がらないという期待を醸成して、皆が現金ではなく金融資産を選択する状況を生み出したのではないか?(流動性の罠)

②ほぼゼロ金利の中で、金融政策の実体経済への波及効果をどう考えていたのか?

インフレを引き起こすのは、取引目的の現金、及び預金である認識が希薄なのではないか?

貨幣数量説:貨幣と財・サービスが代替関係
余ったお金は消費・投資に使われる。
→PT = MV、V(流通速度)・M(貨幣量/外生変数)・T(取引量)
→VとTは長期で一定だとすると、M(貨幣量)がP(物価)と一対一の対応関係となる。

M(貨幣量)が中銀によって完全にコントロールできるとする。
ただし、貨幣量は取引に使われるものと定義すると、それを実際に取り扱っているのは銀行。尚且つ、貸出と借入のそれぞれの需給で決まるのではないか。

→純粋なマネタリーベースの拡大がどのような経路でインフレ率を引き上げるのかの具体的な説明がない。(量的緩和・質的緩和)

→ヒュームの説明においても、最初に誰にお金が渡るかで実体経済への波及効果は異なる。ヒュームの説明では、最初に商人へお金が渡り投資・雇用・消費が生まれ、その後に物価上昇が生じるとされていた。つまり、短期では価格硬直性は考えられていた。

流動性選好:貨幣と資産の代替関係/ ケインズ
①取引目的ではない現金は、価値保存目的で金融資産へ流れる(専門用語で退蔵される)。そのため、Mの増加は金融資産の購入(金融資産の市場価格が上がり、金利が下がる)になる。よって、貨幣量の増加→金利を下げる→投資の増加が生まれる。

→ケインズも貨幣量を外生変数、つまり中銀が完全に制御可能であるとしている。

②流動性の罠とは

流動性の罠とは、金融資産か現金のどちらを持つかの選択の時に、金融資産の今後の値下がりを期待するタイミングで現金を欲しがる(貨幣需要が高まる)状態である。つまり、金融資産の市場価格が上がるところまで上がって、いつか価格が下がるだろうと思って誰もその金融資産を買いたがらない状態。

アベノミクスで日銀がやったことは、ETFの買い入れ、つまり株価の下支えをした。つまり、株価が下がらないという期待を醸成して、皆が現金ではなく金融資産を選択する状況を生み出したのではないか?(インフレを引き起こすであろう取引目的での貨幣使用はなされていない)

資産価格の上昇による消費への効果測定を行う論文もあった。しかし、特に日本では資産投資を行うのは機関投資家と富裕層が中心で、日々の消費を行う人たち、マスの消費活動を行う人たちへの波及効果はそれほどないのではないかと考えられる。

→ほぼゼロ金利の中で、金融政策の実体経済への波及効果をどう考えていたのか?(アナウンスメント効果?レジーム転換?)

前の記事の最後で紹介したように、設備投資・人件費共に2000年と2020年は同額でありました。貨幣量(マネーサプライ)を決めるのは結局消費とか投資とかの需要だと思います。金融政策は経済成長へ寄与することは難しいと思いますが、皆様はいかがですか?





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