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朗読ノオト~朗読のコツを考える~

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私が朗読の時に気を付けてることを、まとめていきます。
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【講座メモ】小川未明『野ばら』三回目

【講座メモ】小川未明『野ばら』三回目

池袋コミュニティ・カレッジにて講師を担当しております講座・西村俊彦の朗読トレーニング。
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小川未明の『野ばら』を読んでいくシーズンの三回目・講座メモです。

・温度感を意識する/音の硬軟

この文中の冬、南の方、という言葉の周辺に、
寒さ・暖かさをそれぞれ漂わせてみます。
寒いとどことなく硬い音、暖かいとどことなく柔らかい音が出てくるのではないでしょうか。
やりすぎない程度に音の

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【講座メモ】小川未明『野ばら』一回目

【講座メモ】小川未明『野ばら』一回目

池袋コミュニティ・カレッジにて講師を担当しております講座「西村俊彦の朗読トレーニング」
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7月から6回の新シーズンが始まりました。
今期は小川未明の『野ばら』
国境を警備する若い兵士と年老いた兵士。二人が平和に暮らす中忍び寄る戦争の足音…という、児童文学でありながらシビアな世界観が光る作品です。

第一回は
・状況などを提示する
・感覚を味わう
・質感の変化を楽しむ
・雰囲気を捉

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【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』四回目

【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』四回目

池袋コミュニティ・カレッジで講師を担当しております講座「西村俊彦の朗読トレーニング」講座メモ
芥川龍之介の『トロッコ』を読む・四回目。

この回では土工に「帰りな」と言われてからラストまでを見ていきました。これでいよいよ『トロッコ』も読み切り。
残りの二回は全編を声に出して読んでいく、発表会的な回になります。

講座を担当して一年半ほどになりますが、一つの作品を四回に分割して細かく見る→全体で二回

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【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』三回目

【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』三回目

池袋コミュニティ・カレッジで講師を担当しております講座「西村俊彦の朗読トレーニング」講座メモ
芥川龍之介の『トロッコ』を読む・三回目。

今回は物語後半・良平の帰りたい気持ちが高まってくる部分を見ていきました。

・心の転換点

「その路をやっと登り切ったら、今度は高い崖の向こうに、広広と薄ら寒い海が開けた。と同時に良平の頭には、余り遠く来過ぎた事が、急にはっきりと感じられた」

という箇所。最後

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【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』二回目

【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』二回目

池袋コミュニティ・カレッジで行っています
「西村俊彦の朗読トレーニング」【詳細はこちら】
シーズン・トロッコ、二回目の講座メモです。

・「−−」の働き

『トロッコ』の中に頻繁に登場する「−−」がつけてある箇所について注目し、その意味を考えました。
例えば
「他の一人、−−耳に巻煙草を挟んだ男も」
という箇所では、「つまりそれは」といった感じで、前の「他の一人」のディテールを表すために引かれてい

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【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』一回目

【講座メモ】芥川龍之介『トロッコ』一回目

池袋コミュニティ・カレッジで開催中の「西村俊彦の朗読トレーニング」【詳細はこちら】

4月4日から新しいシーズンが始まりました。
今回は芥川龍之介の『トロッコ』をテキストに、全6回でお届けします。

初回は

・言葉のかかり方
・期待をこめる
・言葉の質感
・気持ちの流れ
・大きな声を出す

といった所に注目しました。

・言葉のかかり方

「工事をーーといったところが、唯トロッコで土を運搬するー

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【講座メモ】セリフと視点

【講座メモ】セリフと視点

池袋コミュニティ・カレッジで開催中の朗読講座
「西村俊彦の朗読トレーニング」【詳細はこちら】

宮沢賢治の『注文の多い料理店』をテキストに全6回でお送りするシーズンの3回目。

まずは呼吸周りの筋肉をほぐすストレッチ
からの
ストレッチしながらの発声

その後、今回見ていく箇所を回し読みで味わいました。

今回ピックアップしたのは

・セリフのニュアンス
・物並べのリズム
・言葉の視点
・地の文の

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【講座メモ】体/会話/ニュアンス

【講座メモ】体/会話/ニュアンス

池袋コミュニティ・カレッジで講師をしております
西村俊彦の朗読トレーニング【詳細はこちら】

宮沢賢治の『注文の多い料理店』
をテキストにした二回目。

今回は作中の台詞を、手を動かしながら口に出してみる、という事から始めました。

体の質感をつかむ

「どうも変なうちだ」と疑う
「これはロシア式だ」と知ったかぶる
「どうかそこはご承知ください」と頼む
「これは全体どういうんだ」と憤る
「これはど

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【講座メモ】ジャンル&ターゲット

【講座メモ】ジャンル&ターゲット

1月10日より始まりました
池袋コミュニティ・カレッジ「西村俊彦の朗読トレーニング」【詳細はコチラ】

今回は宮沢賢治の『注文の多い料理店』をテキストに、全6回で色々やっていきます。

初回はまずは全体把握ということで、全文を分担して読んでみました。
・地の文
・一人の紳士
・もう一人の紳士
・注文書き
と役割を分けてみましたが、これだけでも大分立体的になるなぁと思いました。

一度読んだイメージ

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【講座メモ】作者登場/感情/価値判断

【講座メモ】作者登場/感情/価値判断

池袋コミュニティ・カレッジで開催中の
「西村俊彦の朗読トレーニング」

中島敦の『名人伝』をテキストに全6回でお届けするシーズン、5回目の講座メモです。

・身体の動きで感覚を掴む

「そうじゃないんです」
と発しながら言い訳をすると、身体はどんな感じになるでしょうか。多くの方が少し前に乗り出し気味になるのでは?
相手に何かを働きかけたい時の身体の動きとして使えそうです。あるいは積極的な気分を言葉

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【講座メモ】身体から物語に入る

【講座メモ】身体から物語に入る

中島敦の『名人伝』をテキストにお送りするシーズン4回目。
期待に身を乗り出す→肩透かしをくらう

この回では身体から物語に入る事をしつこくやりました。

・身体から物語に入る

物語中に色々な人物が体験する感情・状況を、身体を動かして味わってみます。
・物憂げに突っ伏して
・首を傾げて「不思議だなぁ」
・身を乗り出して「すごいことです!」
などなど、体を動かしながら短い言葉を発してみると、感情が動

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【講座メモ】体のあり方・声の大小・キャラクターの感情量

【講座メモ】体のあり方・声の大小・キャラクターの感情量

池袋コミュニティ・カレッジにて開催しております講座
「西村俊彦の朗読トレーニング」

中島敦の『名人伝』をテキストにしたシーズンの3回目は、
・体のあり方
・声の大小
・キャラクターの感情量などについて考えました。

・体のあり方

講座のはじめに、立つ/座るのエクササイズ。
勇敢に、怯えて、堂々と、など形容詞を添えて動きを行うことで動きには自然と質感が生まれます。
そこに声をつけていくと、自然と

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講座メモ・勢い/雰囲気/セリフと語り/言葉のニュアンス

講座メモ・勢い/雰囲気/セリフと語り/言葉のニュアンス

さてさて、池袋コミュニティ・カレッジの講座
西村俊彦の朗読トレーニング

シーズン・名人伝の二回目です。

今回は
・勢いを出す
・雰囲気を醸す
・語りから徐々に変化する
・言葉を立てる

をトピックにしてみました。

・勢いを出す

矢が次々と突き刺さっていくシーンの出来事のスピード感を感じるために、語りのスピードも上げてみよう!と各々挑戦。
やっていくうちに、スピード以外にも、言葉の圧力を強め

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講座メモ・フォントをイメージして声を出す

講師を担当している、池袋コミュニティ・カレッジの講座
西村俊彦の朗読トレーニング

新シーズンが始まりました。
今期は中島敦の『名人伝』を題材に、色々考えていこうと思います。

初回は、文字のフォントをイメージして声を出す
ということをやってみました。

中島敦というとどことなくお堅いイメージがあるかなと思います。
対して『ごんぎつね』などの著者・新美南吉、というとどこか柔らかいイメージがありませ

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