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我が家がマイホーム建築を決めた理由

マイホームって、いつ検討を始めたらいいのでしょうか?
一般的には、子供ができて、今の自宅が手狭になってきたら、でしょうか。

しかし、現実には子育てに追われる中で注文住宅を検討するのはかなり難しいことと思います。注文住宅はまず予算を決めて、工務店を選び、土地を選び、仕様を決めたりと、判断しなければならないことが数多くあります。何千万円もする注文住宅を勘で判断するわけにもいきません。ひとつひとつ情報を集めて、家族で協議し、みんなが納得のいく結論を出していく必要があります。その作業には当然ながら多大な時間を要します。子育てと住宅検討と仕事をこなすなんて、かなりの重労働でしょう・・・。

私は、結婚して子供ができたら、一軒家に住みたいと思っていました。別に新築でなくても良いから、田舎ですぐに自然に触れ合えるような環境で、のびのびと子育てができる環境がいい。子供と暮らす時間を、人生の中で最も幸福を実感できる時間にしたい。

私は学生の頃から、成し遂げたい夢があったり、情熱を注げるような対象を見つけることができませんでした。だったら、とにかく目の前の「暮らし」を丁寧に、豊かにしていこうよ、と強く思っています。

 だから、私は結婚してから、まだ妻が妊娠すらしていない段階で、マイホームのことを検討し始めました。

私は大学の頃から建築好きで、質の良い木造古民家での暮らしというのに憧れを持っていましたので、中古物件を探していました。しかし想像していたような質の良い古民家なんてほとんど無く、昭和を感じるサイディング外壁の「使い捨て」感のある建物ばかりで、住みたいと思える住宅なんて見つかりません。
そもそも、ボロボロになった家屋を改装して住むなんて、よほどバイタリティーのある人にしかできません。私のような憧れだけで技術も情熱も持っていないしょぼい人間にはとても勇気が持てませんでした。
 

そんな中、転機がありました。何気なく本屋で手に取った「エコハウス」に関する本です(既に手放してしまいタイトルは忘れてしまいました)。

衝撃の内容でした。住宅は、断熱性、気密性、耐震性が最も重要。それらを満たさなければ、健康的で安全な暮らしはできない。日本の住宅は、世界基準から見てあまりにも性能が低い。ドイツやイギリスでは、住宅の性能がしっかりと確保されており、冬でも暖かい。欧米では住宅は「使い捨て」ではなく資産になり、中古物件は買った時よりも高い値段がつくことさえある・・・。

まさに目から鱗でした。私は、一軒家は寒いものだ、と当たり前のように考えていました。気密とか断熱とか、全く知らなかった。「キッチンなどの設備やインテリアは、後からいくらでも交換できる。住宅は、まず性能にお金をかけるべき」とう内容に、100%賛同してしまいました。

そこからは、住宅を見る目が180度変わりました。中古物件をいくら見ても、その本に書いてあった性能を満たす物件は見つからないと悟りました。古民家なんて寒い家、健康に暮らせない!“いい雰囲気”だけで家を選んではいけません。


そうなると、新築しか選択肢がありません。

でも、私がこの街に住んでいる理由はこの地域の事業所に就職したから。いずれ退職すれば、この地域から出ていくことになるでしょう。会社の方針で転勤だってあるかもしれません。

だから、ローンを組んで住宅を建築して良いものか、大いに迷いました。ローンを組めば、当然ながら会社や地域に縛られることになります。

先に結婚した同期の友人は新築でマイホームを持つものもいれば、いずれ出ていくのだから、ここに新築は建てず、引退した老後に家を建てると決めていて、子供ができた後もアパート暮らしを継続しているものもいます。

どちらの意見にも賛同できますし、経済的には合理性・非合理性はあるかもしれませんが、人生に正解なんてないと思います。正解がないからこそ迷うのです。

・・・だいぶ迷っていましたが、とある漫画のセリフに、住宅購入の背中を押してもらいました。

妻に紹介されて読んだ、池辺葵さんの「プリンセスメゾン」という漫画です。主人公は自分の家を持つという理想を追い求め、日々努力を重ねて資金を貯め、高額なマンションをローンで購入することを検討します。独身で家を持つと結婚の時に邪魔になるかもしれないし、ローンを組むなんて先を思うと怖い、という友人に対し、主人公はこう回答します。

「…すごく勝手なんですけど私そこまで先は考えていなくて…両親とも40代で亡くなってますし、私だっていつまで生きれるかもわからないし、この先どうなるかわからないから むしろ今しかないって。」

「いつくるかわからない日を待つよりは今のベストをつかみたいんです。」

池辺葵 プリンセスメゾン 3巻

腹のくくり方が違う・・・(要さん談)

そう、いつか来る老後に幸せになるためではなく、家族そろって暮らせる今に対して、できる範囲でベストを尽くしたいんです。

住宅は“浪費”という意見があります。その意見には賛成です。今の日本には住宅に資産価値はほぼないので“投資”にはならないし、生活に必要な“消費”であるなら、もっと安い賃貸や中古物件がいいに決まっています。経済的には非合理的でしかない。

でも、人生には浪費は必要です。浪費は人生を豊かにするために使うお金なのです。せっかくなら、人生のうちで、家族揃って暮らせる18年程度の期間をより豊かなものにしたい、と思ってもいいじゃないですか。

そんなわけで、私たち家族は、「今できるベストな家」として、注文住宅を建てることにしたのです。

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