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ドメインは「仕事」で競合は「Excel」?BYARDのプロダクト開発の持つ性質とは

こんにちは、BYARD(バイアード)です!
まだ見ぬ新メンバーに贈る公式Note第3弾は、『BYARD』のプロダクト開発の中心を担うCTO・辰本へのインタビューです。

複数社でエンジニアとしてキャリアを重ねた辰本は、『BYARD』にジョインするにあたってどんな魅力を感じたのか。BYARDの事業ドメインが「仕事」というのはどういうことなのか。このプロダクトが持つ可能性と数年先の展望まで語り尽くしてもらいます。

プロフィール

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辰本貴通(たつもと たかみち)
BYARDのCTO
株式会社エス・エム・エスでwebエンジニアとして保守運用・新規開発を経験。その後DMM.comの電子書籍事業でエンジニアリングマネージャーを務める。福岡への移住と共に株式会社ふくおかフィナンシャルグループのマネージャーを務めた後、BYARDへJOIN。 兵庫県出身、福岡県在住。趣味はサウナ。大切にしていること「迷ったらワクワクする方を選ぶ」

『BYARD』との出会い 

ーー今日は辰本さんの『BYARD』との出会いや、開発する中で感じているプロダクトの性質・魅力について教えてください。

よろしくお願いします。『BYARD』は一見とても地味なプロダクトですが、私はとても面白いと感じています。これからお話する内容に少しでもピンとくる方が現れてくたら嬉しいです。

ーーさっそくですが、辰本さんの『BYARD』との出会いについて教えてください。

きっかけは昔、お世話になった上司から、CEOの武内さんを紹介されたことでした。BYARDがまだ構想段階の頃です。

当時は株式会社ふくおかフィナンシャルグループでプロダクトの内製化と若手エンジニアの育成を行っていました。ちょうどプロジェクトが一段落し、チームも自立してきたタイミングでした。とても充実した状況だったので、話を聞く前はお断りしようと思っていたんです。

ーー実際に武内さんから構想を聞いた第一印象は?

「まるでドーナッツの穴みたい。すごく地味だな」と思いました(笑)

バックオフィスの課題領域は見えているけど、まだみんなが認知できていないドーナツの穴にあたるようなポジションにアプローチをしようとされていて。

「業務の流れの可視化と最適化」という目立たないけど、確実に必要なものに光を当てるプロダクト。それって地味だけど、おもしろそうでいいなって思って。何か役に立てたらとパートタイムで参画しました。

ーーその後、BYARDにCTOとしてフルコミットしようと決断したのはなぜですか?

まず、課題に対して武内が捉えているソリューションがすごく的を射ていて、思った以上にプロダクトの可能性を感じたこと。それから「どうなってもやりきるだろう」と感じさせる武内の人柄。そして面白そうなチャレンジへの欲求があったことも大きかったと思います。

まだどうなるかわからないけど「面白い」と感じているものに時間を使いたくなったんです。自分の予想の範囲を超えられるかもしれないチャレンジを、こんな良い条件でできる機会は二度とこないと思いましたから。

「仕事」がドメインのプロダクト開発の性質

ーーBYARDはバックオフィスの課題解決を目指していますが、バックオフィスの業務は非常に幅広いですよね。事業ドメインは何になるのでしょうか?

私たちのドメインは「仕事」そのものだと思っています。

ーー「仕事」がドメインですか?

「何言ってるの?」ってなりますよね(笑)

でも『BYARD』は「仕事」という営みを表現するプロダクトなんですよ。バックオフィスは経理・総務・法務・人事など部門毎に分かれて各手続きを行っていますが、それは1つの側面でしかないんです。

実際には毎週毎月、部門をまたいで繰り返されるタスクやコミュニケーションがあり、一つの流れを作っています。だから、この課題をとらえるには抽象化された一つの流れとしての「仕事そのもの」を表現する必要があると思うんです。

ーー仕事を表現する……それはどうしたらいいのでしょう。

まず、ある仕事がスタートすると、各担当者間で無数のコミュニケーションが交わされ、大小いくつものタスクが処理されていきますよね。そして、最後には成果物が生まれたり、意味のある形にまとまって終点になります。その流れはいつも形を変えて繰り返されます。

でも、流れの中で一つひとつの作業を行う担当者には全体の流れが見えないし、コントロールできません。だからこの「流れ」をプロダクトで認知できるようにする、それが「仕事」を表現するということだと考えたんです。

ーーなるほど。でも、無数のコミュニケーションやタスクを可視化したら、大事なものがどれだかわからないのではないですか?

「川」でたとえると、コミュニケーションやタスクは川の水滴です。確かに一つひとつ全部見てなんていられません。でも、山に注いだ雨水から始まる川が海に流れ出るまで、チェックポイントになる場所がありますよね。はじまりの細い湧き水、滝、支流との分岐点、そういった「流れの中で必ず通るチェックポイント」があります。

そのある程度抽象化したチェックポイントに、細かなタスクやコミュニケーションの記録が残り、アクセスできるようにする。そうすれば人間が認知可能な粒度で、全体を把握し、かつ無数の水滴のようなコミュニケーションも意味のあるまとまりで表現できると私たちは考えました。

ーー非常に抽象的な概念を表現する試みですね…。

経理や総務、人事といった個別具体のドメインをまたいで包括的に扱うためには、抽象的なものをそのまま扱う必要があります。だから『BYARD』のドメインは「仕事」なんです。

ーーなるほど。このドメインに近いプロダクトはありますか?

このドメイン自体が仮説の状態で、直接の競合がいないと思っています。あえて競合と言うなら『Excel』ですね。

ーー競合が『Excel』??

これも冗談でもなんでもないんです。

『Excel』の自由度って良い悪いは別にして非常に高いですよね。自分で個別具体のマクロを作れば大概のことはなんとかできてしまうんです。適切な手段がなかったこともあって、実際「仕事」の業務管理を『Excel』で行うケースが多いのかなと考えています。でも、その人にしかわからない作りになってしまいがちで、共有もメンテナンスも出来ないことが多く、組織の力になるものではなかったと理解しています。

だから『BYARD』は『Excel』に置き換わって広く「仕事」に使えるけれど、多くの組織に馴染む形にしていくものになっていかなければならないと思っています。

ーー組織で共有できるものにするために『BYARD』で気をつけている点はどんなところですか?

わざとデータ構造を深い階層まで作れないようにしています。例えば、作り込んだExcelのシートには「これを知らない人間が見つけるのは認知機能的に無理があるんじゃないか?」というものが散見されますよね。それに、ありかがわかっていても面倒で見にいかなくなってしまうことも考えられます。

だから、基本的に引き算をしていく考え方でプロダクトをデザインしています。インフォメーションが多くなればユーザーは迷うし、体験が快適でなくなってしまうから。最低限の最適値はいったいどこなのか。その抽象化のさじ加減を常に考えているんです。

ーー個別的なドメインに対して深く掘り下げて必要な機能を作っていくプロダクトとはまったく異なる考え方ですね。

労務に特化した『SmartHR』のようなプロダクトが垂直方向に対応したものなら『BYARD』は水平方向に対応したプロダクトだと言えると思います。

「仕事の営み」の可能性と要求される能力

ーー「仕事」をドメインにする『BYARD』はローンチ後、どんなチームとエンジニアの能力が必要になっていくのでしょうか。

経理や法務に人事、バックオフィスに限らず様々なドメインに対応できるプロダクトなので、お客様のドメインも幅広いものになります。そこにはやはり個別の専門知識が必要です。ここは直接お客様とやり取りをするCSチームのメンバーが個々に専門分野を持って担っていくことになると思います。

エンジニア側はCS担当者からの意見を反映した包括的なプロダクトを作っていくために、幅広い分野に対応できる知識と抽象的な思考が必要になってきます。

ーーあらゆる分野につながるドメインだけに、可能性も大きそうですね。

可能性にあふれたプロダクトだと感じています。それだけに、このプロダクトの成長に自分がついていけるのか、実はCTOとして危機感も持っています。

ーーその危機感は技術的な面でですか?

いえ、先々の展望をCTOとして示せるかどうかという点でです。以前の対談でもお伝えしたように『BYARD』で業務の可視化・全体最適化が進んだあとは、別のSaaSに連携して一部自動化ができるようになっていくと思っています。ここまでは、それなりに具体的な方法も浮かんでいて、なんとか対応もできると思っているんです。

問題はその先なんです。「仕事の流れ」を表現する『BYARD』の上でコミュニケーションやタスクを行っていくと、その中にログが蓄積されていきます。人間が認知しやすい粒度にまとめられた言わば「キレイ」なデータです。このデータを活用するフェーズをどう具体的に進めていくのか。その道筋を立てていくには私はまだまだ力不足だなと感じています。

ーーデータ活用というと、具体的にはどんな使い方が想定されますか?

たとえばスタートアップで1人目のバックオフィス担当になった方だったら「何から始めたらいいだろう」と迷ってしまいますよね。そこに対して『BYARD』が「あなたの組織規模でうまくいっている会社はこんなアプローチをしていましたよ」と情報提供できたら、とても素敵だと思うんです。

ーーそれは助かりますね。

それを可能にするために「うまくいっている会社」の定義をどうするのか、どのデータをどんな観点で見るのかを考える必要があります。それに自分が対応できるのか。危機感は募りますね。

ーーかなり先の展望のような気もするんですが?

これって、順調にいけば2、3年でその局面になると思うんですよ。もう一段プロダクトがジャンプアップできるかという大事なポイントになるはずです。その時の意思決定において、CTOは大きな比重を担うことになります。

プロダクトの成長スピードの方が絶対に早い中で、自分はどこまで成長できるか。試されていると思います。

来て欲しいのは「不確実さを面白がれるエンジニア」

ーー『BYARD』というプロダクトに興味を持ってくれた方に、メッセージをお願いします。

数年先の予測までお話しましたが、目下2022年秋のローンチに向けて全力を尽くしています。今後の開発には新しいエンジニアの方の力が必要です。

そのまだ見ぬメンバーとなる方に伝えておきたいのは、今回私から「面白み」として話したことは、すべて裏返しで不確実性を孕んでいるということです。

SmartHRという素晴らしい親会社の手厚い支援を受けていますが、BYARD自体はまだ海のものとも山のものとも知れない会社です。「仕事」というドメインもまだまだ仮説の域を出ません。プロダクトも常に変化にあわせて「綺麗に捨てること」を求められます。

良いデザインというのは、その瞬間のスナップショットとしてはありうるけど、未来永劫ずっと良いデザインでありつづけるということはないと思っています。世の中が変化すれば、それを捉えるドメインも変わり、プロダクトも変わっていくからです。

常にキャッチアップして適応し続け、未来の不確実さを面白がりながらプロダクトを開発できる人にこそ、BYARDに来てほしいと思っています。

少しでも興味を持って頂けた方はぜひMeetyでお話しましょう。楽しみにしています。


▼CEO・CTOのカジュアル面談ただいま受付中です。



▼『BYARD』の環境についてはHSC鈴木が語っています。

▼CEO武内の『BYARD開発記』も連載中です。



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