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ECサイトの成長は「優れた問い」を立てられるかどうか/BST GROUP AWARD最優秀賞インタビュー

毎年12月に開催されるBST GROUP AWARDにて、グループ各社の受賞者すべてを合わせた中から最も活躍した方へ贈られる「最優秀賞」。
2022年度はEC事業部の志賀さんが受賞されました!受賞の思いや2022年の取り組みについてお話いただきました。


BuySell Technologies  EC事業部の志賀です。
2022年12月のBST GROUP AWARDでは最優秀賞に選んで頂きました。このような栄えある賞を頂いたこと、本当に嬉しく思います。

今回表彰いただいた理由は、ブランド品やジュエリーなどのラグジュアリー商品を販売する自社ECサイト「BUYSELL brandchée(バイセルブランシェ)」を前年比663%の売上へと成長させられたことだと思っています。
この記事では、バイセルブランシェの歴史と、2022年に自分が取り組んだこと、ECサイトの戦略に大切だと思うことをまとめました。

担当業務とバイセルでの経歴

現在はBuySell Technologiesの販売戦略本部 EC事業部 SP(セールスプロモーション)チームに所属していて、自社ECサイト「バイセルブランシェ」とECモール「Yahoo!ショッピング」のマーケティングを担当しています。

バイセルへの入社は2017年で、最初はマーケティング戦略本部で買取サイドのSEO対策の担当として、買取のポータルサイトの記事の執筆や各種課題点を見つけてのチューニングを行なっていましたが、2019年5月からは自社ECサイト「バイセルオンライン」(現:リユースセレクトショップバイセル オンライン)のSEOも担当することになりました。
その後バイセルブランシェの立ち上げや運用を経て、EC事業部側でのマーケティングの観点を強めていきたいという方針もあり、2020年7月からEC事業部に異動して現在に至ります。

バイセルブランシェのこれまで

・2018年8月 バイセルオンラインがオープン

2018年8月にバイセルの初の自社ECサイト「バイセルオンライン」がオープンし、当初は着物もブランド品も1つのサイトで販売していました。

ローンチ当初のバイセルオンライン

しかしオープン以後、中々売上が伸びない暗黒期が続きます。SEO担当となって2ヶ月間、様々な施策を試した頃にはある疑問を強く感じるようになっていました。

「このまま、着物もブランド品も一つのサイトで売るべきなのか?」

  • サイトデザインが着物寄りで、ブランドの販売に向いたサイトになっていないのでは?

  • 着物ファンのユーザーも、ショッピングに集中できていないかも?

  • 特に新CMSの導入後から決済方法等CX課題が増えていないか?

そこでまずはブランド品をすべて出品停止&在庫を落として、リニューアルすることを決断します。
2019年9月に着物専門サイトとしてバイセルオンラインをローンチ。
2020年2月にはブランド品やその他ラグジュアリー商材を販売するバイセルブランシェを立ち上げることになりました。

商材別のECを立ち上げることに

・2020年2月 バイセルブランシェローンチ

バイセルブランシェは、ブランド品の専門店らしく高級感があり、中古品っぽさを感じさせないデザイン形に制作しました。カートシステムとしても当時はまだ珍しかったShopifyを導入し、決済方法を拡充したり、配送の日時指定を導入したりと、ユーザー目線を取り入れ使用感の良いサイトを目指していました。

2020年2月ローンチ直後のバイセルブランシェ

オープン当初のことについては、過去に取材いただいた記事もありました。

ローンチから5ヶ月後の2020年7月からはEC事業部に異動したことで、さらに本格的にブランシェに関わることができるようになって体制は万全!
UI改善、メルマガ、SNS、キャンペーン、セール、決済方法拡充、特集コンテンツ、記事コンテンツ、広告媒体の拡充、広告配信調整などなど、さまざまな手法に取り組んできました。

しかし、最初からそううまくはいきません。
着物専門になったバイセルオンラインは順調に成長を続ける一方で、バイセルブランシェは継続的に予算を達成できず、高額商品を受注できるかどうかに一喜一憂する日々が、約1年間続きます…。
試行錯誤を経て、ある考えが湧いてきます。

「これ以上の改善には、抜本的なUI・UXのフルリニューアルが必要かも?」

  • 高級感あるデザインを目指した結果、海外サイトっぽい雰囲気では安心してお買い物頂けないのかも?

  • 日本のユーザーには楽天やAmazonのような賑やかな配置が受けるのでは?

継続的に売上が作れない中でリニューアルは提案しづらい…と思っていた時に、タイミング良くEC事業部長の齋藤さんからの「そろそろリニューアルしてみたらどうかな?」という天の声を頂き、晴れてフルリニューアルに向けて動き出すことになりました。

・2021年7月 フルリニューアル

改めてユーザー目線に立ち返るために、リニューアルに直接関わる人にも、そうでない人にも、自分がよく使うECサイトのよく使う機能をヒアリングしてまとめてもらい、重要度をランク付けしながら要件を取捨選択し、仕様書をまとめていきました。

そして2021年7月に無事にローンチ!
しかしリニューアル直後はプロモーション予算がなく、メルマガやバナーをイチから自作したり、無料のツールでなんとか乗り切ったりという日々で、バイセルブランシェが戦える・勝てるフィールドを探すのは本当に大変でした…。

2021年7月リニューアル後のバイセルブランシェ

2022年の取り組み

2021年下期の地道な取り組みを経て、2022年には投下できる予算が拡大!
成長を加速させるために取り組んだことは大きく3つです。

①広告配信先の拡大

まず出稿額自体を拡大できるようになりました。そして全商材に広告配信していたところから配信商品を絞り込んだことで広告のパフォーマンスが大きく向上しました。
売上が徐々に上がっていく中で、広告出稿する予算が拡大していきました。広告代理店と緻密に連携をとり、どの配信媒体に出稿していくべきか、どのくらいの予算が必要なのかなどを細かく決めました。
結果も徐々に現れ、それに伴い予算内で新しい広告媒体へのチャレンジをすることができるようになり、広告経由の売上が拡大しました。

②メルマガのユーザー目線での改善

実はいま一番売上に貢献しているのがメルマガです。
ユーザー目線とは常々言われますが、改めてそこが徹底できているかを洗い出したのが1年でした。
具体的には、以下のような取り組みがあります。

  • しつこくは感じないが定期的に思い返して頂ける頻度で配信すること

  • 本当にほしいと思って頂けるであろう商品ラインナップを用意すること

商品ラインナップについては、ブランド品の販売に関わっていない20代女性社員に欲しいと思う商品を直感で4つピックアップしてもらいメルマガに掲載してみたところ、それが本当によく売れるんです!
これまでどうしても、売り手の目線で「売りたいもの」を載せていたことに改めて気付かされ、やっぱりこういう観点が大切なんだということに気づかされました。
つまり、「売りたい」は売り手目線で、「買いたい」は買い手目線であり、似ているようで本質は違うものなのだと。

③レコメンドツールの導入

新規ツールとしてawoo AIを導入しました。同サイト内の商品を自動でおすすめ表示してくれるツールです。これが大きく貢献し、サイト回遊率が4.9倍、CV率が3.7倍にも改善しました。

日々の地道な取り組みをベースに、リニューアル効果、そしてこれら①②③の取り組みがフュージョンしたことで、売上では前年比633%の成長を遂げることができました。

EC担当として大切にしていること

いまの世の中ではあらゆるものがデータ化されて、見える化が進んでいますが、何か課題を改善しようとした時に、最初から数字に飛びつく人が多いように思います。

しかし大切なのは、現状に対して優れた問いを立てられるかどうかだと考えています。まずは現状を観察し、仮設を立て、その仮説を言語化するためにデータや数字で表現し、検証する。「観察・洞察→仮説→数字の言語化→検証」を繰り返すことが、着物とブランド品を別サイトにした際も、バイセルブランシェをリニューアルした際にも、様々なシーンで有効だったと思っています。

優れた問いを立てるためにはユーザー目線の疑問を感じ取れる感覚を磨くことが大切です。同じ部署の人、他部署の人、家族や友人など、身近な人の感覚にたくさんのヒントが眠っています。
本当にユーザーのニーズに合うのか問いを立てて、検証を繰り返すことで、今後ももっと愛されるバイセルブランシェに更新し続けたいと思っています。

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