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読書好きで良かったと思えた6冊の本

この6冊に出会えたきっかけは、瀬尾まいこさんの夜明けのすべてを読んだことでした。

物語性、ページ数、読後感が今のわたしにはとてもぴったりで、とにかくもっと本を読みたくなったのです

そこでわたしはパートナーであるいちごくんに「この類で、他におすすめの本ないですか?」と尋ねてみました。

すると、いちごの本棚からガサゴソと探し出してくれたのが

流浪の月/凪良ゆう
52ヘルツのクジラたち/町田その子
ライオンのおやつ/小川糸

こちらの3冊。

3冊とも早く続きが読みたくなるような物語性を持っていて、辛くて苦しい部分はあるけれど、読み終えると嫌な気持ちは残らない、とてもあたたかい気持ちになれる、そんな本でした。おすすめしてもらえて本当に良かった!

3冊読み終えた頃、次は物語性よりも、文章の芸術性に長けた本が読みたくなってきました。とっても浅いわたしです。

そして選んだのが

死んでいないもの/滝口悠生
妊娠カレンダー/小川洋子
乳と卵/川上未映子

です。

どれも芥川賞受賞作品ということで、文章の芸術性に加えて、読後とても考えさせられる内容ばかりでした。


本の帯に書いてありそうな言葉だけれど、「本好きじゃなかったらこの6冊に出会えなかったかも、そう思うと、怖い。」
まさに読書好きで良かったと思います。

因みにハルキストのいちごくんは、「村上春樹も読書するべきだって言ってたよ」と言っていたので、わたしもハルキストへ片足突っ込んで、その言葉信じます。

それでは、ここからは1冊ずつ。記録目的の読書感想文を書いてみました。

流浪の月/凪良ゆう

表面の誰でも見える部分だけで、わたしはこの世の中の物事ををどのくらい決めつけているんだろう。
そう考えると、多分半分以上、いやほとんどの物事をわたしは見える部分だけで決めているんだろうなと思った。逆に誰にでも見えないもので決めるものってなんだろう、それって結局自分しかわからない、もの。なんだろう、、本を読んだ自分の感想とか?仕事に対しての想いとか?誰かに対する想いとか?
結局、他人というフィルターを通して見るものって全部本物ではないのかなあ。と考えさせられた。
常識とか偏見、きっとどのくらい前か分からないけど、前よりも少しずつ薄れてはいるのかな。こういう本がきっかけで薄れているのかもしれないし、どんなものに対してもこういった知るという行動ってやっぱり大事だなあと思った。本はたくさん読んだほうが良いってみんな言う理由が結びついたような気がする。
最後の最後に流浪の月というタイトルの意味が分かるような構成になっていたのが美しかった。幸せって主観的なものだから、2人の思う幸せに進んで、さすらい歩んで欲しいと思った。

52ヘルツのクジラたち/町田その子

この記事を書いて、“52ヘルツのクジラ”ではなくて
“52ヘルツのクジラたち“というタイトルだったんだって今更気づいた。
1人じゃないということが、もうここから示唆されていてただただ救われた。人の酷い部分が人を傷つける描写と人のあたたかい部分が人を救う描写、どちらも同じくらいあって絶望しては救われての連続だった。

ライオンのおやつ/小川糸

何度も涙がこぼれてしまった。
末期のホスピスが舞台のお話で、今までの2冊より身近に感じやすくて、大切な人とか家族のことを読みながら思い出した。
この本のすごいところって、人っていつかは死んでしまうけど、それが悲しいって書かれているんじゃなくて、みんな生き切ったから清々しく書かれているところ。
「死んだあとよりも、死ぬ前のほうが悲しかった」
という言葉が出てきたのだけれど、こんな風に周りに思ってもらえるって、最後まで生き切ったからなんだなと思う。
仕事も遊びも恋愛も、それこそ読書もなんでこんなに夢中になって必死になってるのかって、結局死ぬことを分かっているからなんだなと思った。死ぬことがなければ夢中になって生きる必要もないし夢を持つ必要もない。限られた時間だから苦しくなる。そう分かったつもりでもすぐに忘れちゃうから、忘れるたびにまた読みたいな。

死んでいないもの/滝口悠生


芥川賞受賞作品ということで今までの3冊に比べて着眼点がそこっ?!と思ってしまう作品でした。
ざっくりなあらすじは、お通夜に集まった親戚たちのやりとり。子供や孫に曾孫とたくさんのやりとりとともに思い出や回想を巡る。
わたしは一度だけ曽祖母のお通夜に出たことがあったけれど、まさに本に描かれていたような、なんだか不思議なベールに包まれていたような時間だったと今では思う。
そしてお通夜という時間をこれだけ濃密に描いているってすごいなあ。
決して大きな問題が出てくるわけでもなく、淡々と淡々とそれぞれの思い出を巡る。
本の中できっと1分以内のやりとりが1時間くらいの濃度で表現されているようで、決して長い本ではないのに読み終わったあとどっと疲労感が襲ってきた。

妊娠カレンダー/小川洋子

小川洋子さん著書ということで、柔らかくてあたたかい話なのかと思っていたらまさかの正反対。
わたしは読んだ後に狂気や人間の好奇心というものを感じたけれど、いちごくんは嫉妬なんじゃない?といっていて、確かに愛という見方もできるなあと思った。狂気、好奇、嫉妬、愛、一見違うようで実は寄り添っている感情のような気もする。
全然関係ないけれど、小川洋子さんの作品って、いつも白っぽい光をイメージしてしまう。博士の愛した数式でも窓のすきまから差し込む白っぽい光を常にイメージしていたし、猫を抱いて像と泳ぐの中でも、冷たい日に降り注ぐあたたかい白い光がわたしの中には確かにあった。
そしてこの妊娠カレンダーも、病院を照らす光とかお姉さんにあたる光とか、どうしてかわたしは白い光を常に連想していたように思う。
わたしの中の光の魔術師はひとまず小川洋子さんに決定。
あ、お姉さんがグレープフルーツジャムをお鍋ごとむしゃむしゃ食べるシーンがとても気味が悪かった。

乳と卵/川上未映子


豊胸手術に取りつかれた母とその娘の葛藤や衝突を描いていた。
わたしは変化に弱い人間だ、と思っている。
この作品の娘も少しだけそいう弱さがある気がして親近感を感じた。
生まれる前の人間。生まれて成長してその度現れる心身の変化。
当たり前のようにみんな受け入れているけど、それを受け入れるってすごいことだしとんでもないことを人間はしているんだなあと思う。
娘の変化に対して敏感なところや、母の豊胸手術という変化を欲するところ。豊胸手術を選択するまでの母の変化もすべてがなんとなく分かるような気がする。生卵をぶつけ合うシーンも生卵という選択がとても深かった。
生生しさと言葉の美しさに翻弄されました。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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