てんばい

【現代日本昔ばなし 8】テンバイヤー

 むかしむかし あるところに、せいぎのひーろーな てんばいやーが いました。

てんばいやーは いべんとなどの げんていしょうひんを かいしめては、ちほうにいる いべんとに いけない ひとたちに こうがくで ゆずって いたのでした。


 あるとき、まちに わるものが あらわれました。
わるものの なは 「てつどう しょくいん」。

なんと、せっかく きねん きっぷが でるというのに、たった 500まい しか はんばい しないというのです。

「たった 500まいでは、ちほうの ひとに いきわたらない。」

てんばいやーは 3にち てつやで ぎょうれつの せんとうに ならびました。

 
 とうとう はんばいのひ です。

いちばんの てんばいやーは いいました。
「500まい ぜんぶ ください。まいすう せいげん ありませんよね。これを ちほうのひとなどに 30ばいの ねだんで うりつけるんです。」

てんばいやーの こうげきに、てつどうしょくいんは、どうすることも できません。

まさか、1まい 1まんえんも する きっぷを、500まいも まとめて かうだなんて。

てつどうしょくいんは、ただただ、うしろに ならんでいるひとたちに、しゃざい することしか できませんでした。

「やったー。てつどうしょくいんを たおしたぞ。これで おおもうけだ。」
てんばいやーは、ちほうの ひとを すくえることを、よろこび ました。

つぎのひ、てつどうがいしゃの ほーむぺーじを みた てんばいやーは、びっくり しました。

そこには、こう かいて あったのです。
「だいこうしょうの ため、きねん きっぷを 50まんまい ついか はんばい します。」

そう、てんばいやーの 500まいを こうがくで うりつけることが、ひつようが なく なって しまったのです。

やったぞ、てんばいやー。てんばいやーの かつやくで、ちほうの ひとも ていかで てにはいるんだ。

ついに なしとげた てんばいやーは、ゆうひを みながら、てもとに のこった 500まいの きねん きっぷを、ぎゅっと にぎりしめました。

その、ほっぺたには、ひとすじの なみだが、ながれていましたとさ。

めでたしめでたし。

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