キャリーバッガー

【現代昔ばなし21】キャリーバッガー

 むかしむかし、あるところに、おとこが いました。

 あるとき、おとこは みちばたに おおきな きゃりーばっぐが おちているのに きづきました。

おとこは

「あした、けいさつに とどけよう。」

とおもい、そのひは きゃりーばっぐを いえに もってかえりました。

そのひ、おとこは ゆめを みました。

ゆめの なかに、それはそれは きれいな おんなが でてきて いいました。

「わたしは、きゃりーばっぐの せいです。たすけて くれて ありがとう ございます。わたしを けっして けいさつに とどけないで ください。だれにも なかを みせては いけません。やくそく ですよ。」

はっと おとこは とびおき

「へんな ゆめ だなあ。でも、やくそくは まもらなきゃ。」

とおもいました。

 そのひ いらい、おとこは きゃりーばっぐと せいかつを ともにしました。

あさの つうきんじにも みんなに じゃまそうな かおを されながら、おおきな きゃりーばっぐを はこびました。

いえでも、といれに いくときも おふろに はいるときも、きゃりーばっぐと こうどうを ともに しました。

どうりょうからは

「あいつは、いつも きゃりーばっぐと いっしょだ。きゃりーばっぐと けっこんでも する つもりか。」

とわらわれました。

しかし、おとこは きにしません。

いつかまた、あの きゃりーばっぐの せいが あらわれてくれると しんじて いました。

 そしてときは ながれ、おとこは すっかり ろうじんに なっていました。

 かいしゃも とっくに、ていねんたいしょく しました。

もちろん、その たいしょくの ひも、きゃりーばっぐと いっしょでした。

きゃりーばっくも もう すっかり ぼろぼろ。

たいやも はずれて しまって、ただの おもい はこに なってしまっています。

「もう、あれから 50ねん もたつなあ。いつに なったら きゃりーばっぐの せいは あらわれるのかのう。」

おとこは おもいました。

「そういえば、この きゃりーばっく には なにが はいっているのだろう。こんなに ながいこと めんどうを みているの だから、ちょっと くらい かまわん だろう。」

そう、おもい、 きゃりーばっくを あけた とたん、

もくもくもくもく

まっしろな けむりが あがりました。

その けむりの おくには なんと れいの きゃりーばっくの せいが いるでは ありませんか。

「やっと あえたのう。」

おとこは よろこびました。

「わしは ながいこと ゆめを みとったのかも しれん。これで おもいのこす ことは なにもないわい。」

おとこは いいました。

すると、

「いや、あけんな って いったじゃん!」

きゃりーばっくの せいが いったかと おもうと、

ばたばたばた

だれかが いえに はいって きました。

「いたぞ。しゃぶちゅうの ろうじんだ。」

けいさつ でした。

 おとこは ゆめと げんじつの あいだで しあわせに くらしましたとさ。

めでたしめでたし。

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