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カスタマーサクセスについて考える(体験価値と成果)

Saas業界において、カスタマーサクセスは重要なテーマです。

ソフトウェアが買取型の時代は、新規開拓に重きが置かれていました。

フロー売上(ソフトウェア買取費用)をいかに積み上げるかがトップライン増加の肝となり、ソフトウェア保守費用(ストック売上)ももらってはいましたが、全体に占めるストック売上は全体の半分にも満たない状況です。

評価軸もフロー売上中心であり、解約阻止(ストック売上減少阻止)活動はあまり評価されませんでした。

顧客も、ソフトウェアの減価償却期間があるため(通常は5年)、すぐに解約するという判断はしづらく、5年はとりあえず使い続けようというスタンスでした。

ただソフトウェアがレンタル型の時代(サブスクリプションモデル)に突入し、状況が一転しました。

いくら新規開拓しても解約されては月額固定収益が積みあがらないため、解約阻止が肝となります(通常の契約形態は1年単位のため、解約されない状況を維持し続ける必要があります)。

解約を阻止し、既存顧客からの拡大を狙うための重要なテーマがカスタマーサクセスです。

私のチームでも、手探り状態でカスタマーサクセスに着手し始めました。

カスタマーサクセスに関する本を読み漁りましたが、特に私が教科書として利用している本が「カスタマーサクセス・プロフェッショナル」です。

本著では、カスタマーサクセスを下記方程式に分解してます。

カスタマーサクセス(CS)=顧客体験(CX)+成果(CO)
・いくらベンダーの対応が良くても(CXが高くても)、成果が出ていなければ(COが低い)解約される
・いくら成果が出ていても(COが高くても)、ベンダーの対応が悪ければ(CXが低い)解約される

とても腹落ちする考え方です。

顧客へ足しげく通ってフォローしていても、突然解約されることがあります。現場は使っているのに、費用対効果が合わないから解約するようにとトップからお達しが出たと。

また、成果はあげていたのに解約されることもあります。使いづらいので他社に乗り換えますと。

顧客体験と成果は両視点で見なければ、解約されるというシーンを何度も目の当たりにしてきました。

顧客体験を向上させるためには、顧客の不便を取り除かなければなりません。

使い方が分からない、活用方法が分からない、システム動作が遅い…
といった不便の積み重ねがストレスになり、顧客体験が悪化していきます。

成果を向上させるためには、経済的な価値(案件数や案件単価、成約率の向上など)やオペレーション的な価値(業務効率化、他メンバー及び部門と連携がしやすくなったなど)を創出する必要があります。

まめなフォローによりプロダクトの利用状況が向上しても(ログが伸びても)、経済的もしくはオペレーション的な価値に繋がらなければ、成果(CO)は満たされません。

成果をいかに創出するか?ポイントは顧客の目的を明確にすることだと、日々のフォローアップから痛感してます。

プロダクトの難しさでもありますが、何となく良さそうだから導入してみようという顧客が多いです。プロダクト(テクノロジー)を導入したらよいことがありそうだと。

ただ、目的不在のままプロダクトが導入されても、あまり効果が発揮されません。プロダクトの利用状況は伸びても、何のために利用するのか?が不明確なため、活用が進みません。

顧客の目的を明確にし、顧客が何に困っていて、プロダクトを駆使することで何にチャレンジするかを具体化する必要があります。

本著には顧客の目的を明確にするためのヒアリング項目も示してありますが、顧客のビジネスを洞察する上で有効な切り口のため、私もよく利用しています。

ヒアリング項目例
・カスタマーのプロダクトの独自性、類似プロダクトとの差別点は?
・意識している競合は?
・最も大切にしている顧客は?
・将来的展望、抱える最大の課題は?
・顧客の期待値は変化しているか?

マーケティングのフレームワークに置き換えると、3Cを理解することが重要であることが分かります。

市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Customer)の理解です。

3Cに沿いヒアリングを進めると、顧客の置かれている環境と変わらなければならない現状が分かり、変わるためにプロダクトがどう価値を発揮できるかが具体化できます。

成果の具体化→プロダクトへの落とし込み→プロダクトの利用促進というステップを踏めると、目的が明確であり、CX(顧客体験)及びCO(成果)を高めるための道筋が明確になります。

カスタマーサクセス活動が効果を発揮し、解約阻止に繋がります。

ただし、解約ポイントはいろいろなところに潜んでいます。また、顧客体験を向上させるための、ハイタッチ及びロータッチサービスの提供方法や、人材採用&育成などの多くの難所がちりばめられています。

上記については、またの機会に考察致します。

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