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『ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか』 〜私たちのワークマンを超えていくワークマン〜

『ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか』を読了。

とにかく、文句なしの、面白さ。

現場の皆様にはおなじみのワークマン。私にも行きつけのワークマンが二つある。
そしてこの二つ、確かに商品の配置は同じなのだ。
私が買いに行くものはだいたい決まっているので、場所が同じだと本当にありがたい。

そう、ありがたいとは思っていたが、今まで「どうして同じなのか?」と深く考えたことがなかった。実はここにワークマンのスゴさがあった。

ワークマンはなんと3店舗目から、すでに100店舗チェーンになることを見越し、店のサイズや棚割までこと細かくマニュアル化する「店舗の標準化」に踏み切っていたのだ。それも40年近く前に。おそるべし、創業者土屋嘉雄氏。

嘉雄氏は、スーパー「ベイシア」、ホームセンター「カインズ」、コンビニ運営「セーブオン」、家電量販店「ベイシア電器」、そして「ワークマン」などを中心としたベイシアグループ(総売上高は1兆円目前!)を吸収合併を一切せずに築き上げた人物である。
しかし、本書は土屋嘉雄物語ではない。
「ワークマン」の歴史はサラッと振り返る程度で、土屋哲雄氏(嘉雄氏の甥)を中心としたここ数年の大躍進の舞台裏が本書では大いに語られている。

とにかくこの哲雄氏(他社を定年後に嘉雄氏のすすめでワークマンに入社)が、またスゴイ。

昨年話題になったワークマンの過酷ファッションショーをはじめ、とにかくエピソードだらけで、ここに書き出したらキリがない。本当にアイデアもすごいし、それをやり切る実行力もある。

そうやって「ワークマン」をとにかく話題にしてお客を呼び込み、FC店をまた発奮させてウィンウィンの関係を築き上げていくところなど流石。

こんなに色々書いちゃって大丈夫かとも思うが、そう思う一方、どれだけノウハウがわかったとしても、今から「ワークマン」を超える会社を作るのは無理だろうなとも思う。

「企業には歴史がある。歴史にはスタートがある。往々にして、企業の個性はどういうスタートを切ったかによって作られる」

30年前の記念の社内報「ワークマンものがたり」は、こんな言葉で始まる。
そう、ここ数年の大躍進は、愚直に現場の職人たちのための店であり続けたこと、そして徹底した仕組みを作り上げていったこと、そんな揺るがない礎があったからこそだ。

小売店の極みを目指すワークマンからこれからも目が離せなくなることはもちろん、とにかく本として構成も文章も素晴らしい、ライターさんのワークマンへの情熱が満ち満ちている最高な一冊。


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