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ビジネス数学教育家の深沢真太郎です。すっかり寒くなりましたね。今シーズンも企業研修やビジネスセミナーで忙しい日々を送っています。
さて久しぶりに数学っぽい話を軽く。

どんな人も意思決定には数学を使っている。

私のこの主張を信じる人はどれくらいいるでしょうか。ほとんどの人は「なんとなく」「気分で」「テキトーに」「思うままに」といった言葉で自分の意思決定を説明するでしょう。それが人間なのかもしれませんが。でも本当にそうなのでしょうか。さっそく説明してみることにします。

意思決定とは、やるかやらないか、行くか行かないか、付き合うか付き合わないか、みたいなことです。そこでAかBかどちらかを選ぶという設定で論じます。

AかBで悩む。
AにはXという素晴らしい特徴があり、一方のBにはYという素晴らしい特徴がある。XとYは異なるものである。しかしAを選ぶことはWというデメリットがあり、一方のBにはZというデメリットがある。WとZは異なるものである。

このとき、メリットを「+」、デメリットを「−」と考えると、次のように表現できる。

Aを選択することで得るもの=X - W
Bを選択することで得るもの=Y - Z

この両者のうち量的に大きいものを選ぶことが合理的であり、その結論に納得する人は多いでしょう。これが多くの人が意思決定する際に頭の中でしていることです。(そのことに自覚的な人は少ないかもしれませんが)

このような記号(アルファベット)での表記にアレルギーのある方もいるかもしれません。そこで数値に変換してみます。

AにはXという素晴らしい特徴があり、それは仮に10点満点で評価したら9点だとします。(※これは私がアサンプションベース思考として提唱しているものです。定性的なものを直感や主観で数値化して物事を論じる手法です)
一方のBにはYという素晴らしい特徴があり、それは仮に10点満点で評価したら8点だとします。

同様にデメリットにあたるWとZについても(逆の意味で)仮に10点満点で評価したら、それぞれ4と3だとします。

Aを選択することで得るもの=9 - 4=5
Bを選択することで得るもの=8 - 3=5

偶然にも同じスコアになってしまいました。これでは意思決定ができません。そこでさらにこんなことを考えます。








あなたは「メリット」と「デメリット」のどちらを重視するタイプか?









もし「メリット」だと思うなら、そのスコアは2倍にしてはどうでしょう。なぜなら、そちらの方が重要なのだからスコア「1」の価値も大きいはずです。

Aを選択することで得るもの=(2×9) - 4=18 - 4=14
Bを選択することで得るもの=(2×8) - 3=16 - 3=13

こうすれば両者に差が生まれます。Aを選択する方が合理的であり、意思決定者にしても納得ができるでしょう。言い換えればこうなります。









Aを選択する方があなたらしい。









数学とはモデルの学問です。そして人間は直感だけで意思決定をしているように思えて、実はしっかりモデルを作って意思決定をしています。これが、「意思決定は数学である」という理由です。

もしかしたら数学というよりは算数じゃないかといったツッコミをしたくなる人もたくさんいるでしょう。しかしそのツッコミは本質的ではありません。それは数学か算数かといった線引きは人それぞれで良く、その議論に生産性はありません。
そもそもそんな線引きは数学教育業界(そんなものあるのか知らないが?)の偉いおじさんが勝手に決めただけに過ぎません。そんなものを押し付けられるのは困りますね。

飲食店を選ぶときのモデル
服を選ぶときのモデル
付き合う相手を選ぶときのモデル
・・・・・・

あなたも必ず数学を使っています。
意思決定の瞬間に間違いなく。


それは例えばビジネスにおいても言えることでしょう。ビジネスは意思決定の連続。まして管理職や経営者はその色がさらに濃くなるでしょう。ビジネスパーソンは「数学なんて役立たない」なんて口が裂けても言ってはダメです。自分は仕事ができない、ビジネスを知らない、と言っているようなものですから。


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深沢真太郎
ビジネス数学教育家。 数字に強いビジネスパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、述べ1万人以上を指導してきた社会人教育のプロフェッショナル。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。予備校講師から外資系企業の管理職などを経て研修講師として独立。大手企業・プロ野球球団・トップアスリートなどの教育研修を手がけ、一部企業とはアドバイザリー契約を締結し人材開発のサポートを行っている。2018年に国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクター(公益財団法人日本数学検定協会認定)に就任し指導者ライセンス「ビジネス数学インストラクター制度」を設立。さらに2022年には人材育成に従事する人のための「ビジネス教育大学」を設立し教授として指導者育成に従事している。テレビ番組の監修やラジオ番組のニュースコメンテーターなどメディア出演も多数。著作は国内累計25万部超。実用書のほか作家として小説も発表しており、多くのビジネスパーソンに読まれている。
ビジネス教育大学教授
BMコンサルティング株式会社 代表取締役
一般社団法人日本ビジネス数学協会 代表理事
国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者
国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクター

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