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学校で数学を教えている先生がたにお尋ねしたいこと。


まあこれでもいちおう独自の数学を提唱し、かつ教育に従事している。

ゆえにたまにはこういう話題にも触れておくべきだろうとは思ったりする。



こんな記事を見かけた。

多いよね。

入試制度や学校教育を批判する記事や論調。

現場の先生方からすれば、


「評論は結構だが現実は難しいんだ(大変なんだ)」

「分析だけじゃなくて具体策を提示してくれよ」

「文部省や教育委員会がね〜」

・・・・・・・・・・


といった気持ちが正直なところだろう。

そこは理解します。

理解したうえで、でも私もやはり学校教育にはお願いしたいことがある。



攻撃するわけではない。

お願いしたいのだ。



私はビジネスパーソンの教育を専門としている。

たくさんのビジネスパーソンやトップアスリートの生身の状態を見る。

生身の状態とは普段のその仕事をしている状態から「鎧」を脱いだ、

ある意味で素っ裸の状態のことを指す。

どれだけ有名企業で働いてきた人であっても、

いったんその企業名や肩書を外せば「ただの人」となる。

これが鎧を脱いだ状態、生身の状態のことだ。


思う。

生身の状態の彼らを見ていると、学生時代に数学を正しく勉強してこなかったのだなと。

もちろん彼らが悪いわけではなく教育者の責任だ。

ただ、ここで学校教育を攻撃するだけでは他のよくある記事と同じだ。

そういうのは現場を知らない評論家に言わせておけばいい。


私はビジネス数学教育家の立場で、

「学校で戦っている先生の皆様、こうしてくれると助かります」

というスタンスで論じることにする。

もちろん「学校は仕事のできるビジネスパーソン育成予備校じゃない」という反論もあるでしょう。

その通りだと思います。

しかし一方で、子供たちは学校教育で学んだことをベースに社会に出ていくことも事実なのです。

その子が職業人になったときにとてつもなく大きな影響を及ぼす。

それが学校で学んだことなのです。

ここからは数学に限定して述べます。

結論しか言いません。



①正解を用意しないでください

「で、答えは何なのか教えてください」
「いいから答えの出し方を教えてください」
ビジネス研修なのにそんなことしか言えないビジネスパーソンがたくさんいます。
ビジネスの世界はそうではありませんよね。
正解のない中で自分で深く考え、自分なりの答えを出すことが求められます。
正解のある問題を使い、正解の出し方を教える授業はすぐにやめていただきたい。

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②問題を解くのではなく、問題を作らせてください

AIの時代。
数学的な答えは人間よりもAIの方があっさり導きます。
つまり、問題を解くこと(問題解決すること)はもはや人間の仕事ではない。
むしろ問題を創出することが人間の仕事になるでしょう。
問題を作り、それをAIに解決させる。それが人間の仕事です。
自分で「面白い」と思う数学の問題を考えさせる。
それをみんなで意見を出し合い、様々な見方や解決策を提示する。
そんな授業がいいよね。
例えば、
「愛の値段はいくらか計算せよ」
「“かっこいい大人”を定義し、カッコイイ度数を求める数式を考えよ」
・・・・・・・・・
なんでもありだ。

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③子供たちに授業をさせてください

自分はなんとなく解けたけど、それを誰かに説明しろと言われるとできない。
そんな子供はいませんか? 
ビジネスでも同じです。
自分がわかっていること、知っていることを人前で説明してくださいと要求すると露骨に嫌がったり、上手に説明できないビジネスパーソンが驚くほど多い。
概念を構造化し、整理したうえで論理的に伝える(説明する)スキルが絶対的に不足しているのです。
そんな能力はどこで鍛えることができるか。
学生時代の算数・数学の授業です。
教師が問題を解説している授業にはなんの意味もありません。
学生に解説させて欲しい。
それができてはじめて、「正しく理解できた」ことになるのです。
「わかっていること」と「それをわかってもらう」ことは天と地ほど違うことは、それを仕事にしている教師がいちばんわかっているはずです。

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これが、私が学校教育における数学の授業に期待すること。

そして同時に、現代のビジネスパーソンに足りないものです。

「じゃあそんなのはお前(深沢)がやればいい」と言われそうです(笑)

でも、はっきり申し上げます。


本来、こんなことは大人に教育することではありません。

子供の頃に正しい数学の授業をしていれば、自然に、当たり前のように身についているリテラシーなのです。

それができていないから、いい歳した中間管理職に数的思考研修やら論理思考研修やら問題解決トレーニングやらロジカルプレゼンの練習などが存在するのです。

私はこの状態を「美しい」とは思えません。

一部の教育研修会社や専門家やコンサルタントと呼ばれる輩には飯を食うために必要とされていますが、私はそれが「美しい」とは思えません。

私のビジネス数学も、本来はオッサンが学ぶものではなく、未来のビジネスパーソンが学生時代に学び終えて社会に出ていくことが理想だと考えています。

だって、どう考えてもそのほうが「美しい」でしょ?



学校の先生方。

特に数学教育者の方。

いかがでしょうか。

これは現実には難しいことなのでしょうか。


いつか、そんな意見交換もできれば嬉しいなと思っています。

というか、自分で集めてしまおうか。

今年、「数学教育者の会」なるものを主催しようかと企んでいます。

興味のある方は今のうちに私と繋がっておいてください。


ただし、私が意見交換したいのはプロの先生だけです。

ビジネス研修の世界にも本物と偽物がいますが、

きっと学校教育の世界もそうでしょう。


最後のは余計だったかな。


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最後までお読みいただきありがとうございました。
国内でただひとり、ビジネス数学教育家。
ビジネスパーソンのための数学教育を提唱し、企業人の育成に貢献しております。
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