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「マーケティングとは「組織革命」である。」

私が初めて組織を作るとなった時、つまり組織のトップとなった際に組織づくりのための書籍をたくさん読んだのだが、もっとも参考にさせてもらったのがこの本になる。その後、森岡毅さんの書籍を数多く読むことになるのだが、【マーケティングとは「組織革命」である。】が特に私のバイブル的な一冊となった。

この本はマーケターが読むのも参考になるのだが、私のように組織をどのように構成するかを検討するためのボードメンバーなどマネジメントにつく人が読むのをオススメする。

マーケティングとは経営に直結する部署にすること、そして消費者のプレファレンスへ集中するための手段と定義している。

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プレファレンス=市場競争とは、1人1人の購入意思決定の奪い合いであり、その確信はプレファレンスである。

このプレファレンスを高めることが売り上げを伸ばすために必要なのだということがこの本で言われている。

このマーケティング論の基本を学べるのも本書の良さなのだが、私はこのプレファレンスを高めるためには組織構造がその最適の形であるべきだと言われている部分がとても大切だと感じた。

著者の森岡さんはUSJをV字回復へ導くに当たり、マーケティング戦略がより浸透する組織構築に注力することになった。

そして彼はマーケティングでもっとも難しい部分は戦略を立てるところではなく、その戦略を実行に移し、そして実行し続ける部分であると述べている。

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森岡毅氏 (YouTubeより)


日本企業の組織構造で商品開発がマーケティングと並列にあったり、宣伝部や営業部とも分散し、マーケティングの力を最大限発揮することは難しくなっていると言われている。

消費者視点でプレファレンスを高める組織にするためにはマーケティングの下に商品開発を置いてしっかりと機能する組織作りが重要である。そのために森岡さんはUSJ入社に際し社長へマーケティングを中心とする組織作りを依頼した。

マーケティングによって「ハリーポッター」のアトラクションを建設することを最大の目玉としてその戦略の中心へ向けて組織を集中して動いていけるよう組織作りをしたとある。

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森岡さんが理想とする組織モデルは「人体」であるそうだ。

人体は、「環境に適応して生き残る」という目的に対して、その確率を高めるための恐るべき特徴をいくつも持っている。

例えば、人体組織は危険を察知した時には、脊椎反射によって身体を守る。

判断までのスピードと実行力を組織で再現するのは非常に難しいかもしれないが、意思決定権をミドルマネジメントに委譲することはできるはず。

組織の意思決定を指名したマネージャーへ委譲していき、人体の機能のように上下関係ではなく共依存関係で部門が有機的に繋がっていくことを推進する組織作りが必要であると書いている。

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どの企業も部門をどのように有機的に繋いで縦割り組織にならないかを考えていると思う。私もそうだったのだが、そのための方法論として「マーケティング戦略」をしっかりと立案し、その戦略に沿って働きを最大化するべき組織作りをしなければならないというのはとても響いた。特に部門が部門利益に走ってしまうのは組織にとってはとても頭を悩ます部分である。最重要なテーマに向かって組織をドリブンにしていく方法。それがこの本には詰まっていると思う。


是非、ご一読を。



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