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【アニメ紹介】変身三部作

マニアは当然ご存知の変身三部作を知らない方のためにご紹介したいと思います。


どんなアニメ?

ポニーキャニオンの15分アニメ専門レーベルであったm.o.eが制作したアニメ群の総称。
「超変身∞コスプレイヤー」「ヒットを狙え!」「LOVE♥LOVE?」から構成されている。

超変身∞コスプレイヤー

コスプレ好きの女子高生が偶然邪神を復活させてしまい、配下の魔物や邪神を倒すため、コスモポリタンプレイヤー(コス∞プレイヤー)へ変身して戦う物語。実は劇中劇であり、後述する二作品はこの作品の制作にまつわるストーリーとなっている。往年の特撮パロディが散りばめられており色んな意味でマニア向けである。
この作品単品で視聴すると汚い言葉で評すればクソアニメである。しかし、あえてこのような作りになっていて、それこそが三幕構成の伏線なのである。

ヒットを狙え!

制作サイドから見た「超変身∞コスプレイヤー」という特撮番組作りの過程の話。番組制作にあたっての現場の苦労がコミカルに描かれている。
映像制作会社の新人がプロデューサーとして番組制作に携わりながら、業界のしがらみや面倒くさい大御所のご機嫌を取ったりと、コメディも混じえながら舞台裏の実情を解像度高く描いている。

LOVE♥LOVE?

三部作の最終作であり、「超変身∞コスプレイヤー」という劇中劇の原作者と出演者のストーリーである。
主人公の男子高校生が「超変身∞コスプレイヤー」の脚本とメイキングビデオのカメラマンを任され、脚本家という立場を隠しながら劇中劇の出演者であるヒロイン達と交流を深めていくのだが…というお話。
とある理由でヒロイン達から脚本家という立場がバレてしまい、劇中劇での出番を増やしてもらおうと、ヒロイン達から色仕掛けを受けたりと意外にもドロドロしているのが本作の特徴である。

まとめ・余談

m.o.eが制作したアニメの中でも特に意欲的な作品であり、マニア必見の作品となっている。原案・シリーズ構成に荒川稔久氏など、特撮とゆかりのある人物が携わっており特撮ファンであれば、より一層楽しめる作品なのは間違いなし。
近年の「戦闘員、派遣します!」や「戦隊大失格」と言ったパロディの域にすら達していない出オチ作品と違い、本物の特撮リスペクトを感じるのである。
荒唐無稽な萌えアニメと思わせて、実は劇中劇であり制作過程の苦労を描きながら、なぜ荒唐無稽となってしまったのかまで三部作で見事に回収している素晴らしい構成となっている。

昨今、異世界転生系のような型にハマりきってしまいクリエイティブさとは程遠いアニメ業界であるが、「変身三部作」のように創意工夫に富んだ作品が産み出された輝かしい時代もかつては存在したと懐かしく感じる。
金太郎飴のようにテンプレートなアニメを見て呆けている方にはぜひ、視聴をおすすめする。

後年、「カメラを止めるな!」というヒット映画との類似性が指摘され、古のマニアが一瞬沸いたこともあった。しかし「変身三部作」も劇中劇とその舞台裏を描くという二重構成の元祖ではないので、比較するのはナンセンスである。
あえて申し上げるとすれば、2018年にもなってこの程度の使い古された手法で話題になる邦画界の下らなさというところか。


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