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『泣けない魚たち』(著者:阿部夏丸)は中央大学付属横浜中学校で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介!

■『泣けない魚たち』(著者:阿部夏丸)について

この本は、

  • かいぼり

  • 泣けない魚たち

  • 金さんの魚

の3編の作品が収められています。

どの作品も川と魚と釣りに関するお話です。

私は釣りをしたことがありませんが、読みながらいつの間にか登場人物といっしょになって釣りに夢中になっていました。そんな楽しい作品ではありますが、時代は少し前1970年代頃ではないかと推測され、貧しい生活や戦争の傷跡がまだ心に残っている人たちが描かれています。

どの作品も小学生の男の子たちが登場人物の中心なので、男の子に特におすすめです。

そしてもし、魚や釣りに興味のある生徒さんでしたら、この作品はとても楽しく読めるでしょう。

でも、魚や釣りに興味がなくても、少年たち、少年たちと大人との交流がとても心に残り、いつの間にか夢中になって読めてしまうお話です。

多くの小学生、中学生に読んでもらいたい作品です。

こんなふうに川で魚を捕ったり、秘密の場所を作ったりできる夏休みは、現代の子どもたちにとって、まさに憧れであるでしょう。

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

中学受験では、2016年度第1回中央大学附属横浜中学校の国語の入試問題で出題されました。

◆2016年度第1回中央大学附属横浜中学校の国語の入試問題

大問2番で「かいぼり」から中略を約2ページ分はさんで、全部で約18ページ分(問題になったのは約16ページ分)が出題されました。大問1番は論説文でこの「かいぼり」よりは短めで、大問2番まででした。

この大問2番の設問形式は、漢字の読み書きが1問、四字熟語が1問、5択の記号選択問題が5問、だれの会話かを問う問題が1問、抜き出しが1問で全部で9問でした。

■『泣けない魚たち』のあらすじ(ネタバレ)

・かいぼり

かいぼりというのは、魚を取る方法のことで、小川を石や土嚢などでせき止め、そのせき止めた部分の水をバケツでかき出し、そこに集まっていた魚をそのまま取ってしまう方法だ。

小学生のあきらけんじはかいぼりを計画し、まさあきゆうじを誘って4人でかいぼりを行うことにするが、土嚢を作るための南京袋が必要で、町長の家から盗み出す以外に方法がなく、町長の家の納屋に忍びこむ。4人で役割分担し、無事南京袋を手に入れ、土嚢を作り、かいぼりを始める。フナ、ハヤ、コイ、ナマズとたくさんの魚を捕まえて喜んでいると、なんとそこに町長がやってくる。南京袋のことは町長にわかってしまっているはずだが、町長は何も言わず、それどころかウナギの捕まえ方を教えてくれるのだ。

しかし、その後その川は埋め立てられ、川の半分は道路となり、残り半分は用水路となってしまう。竣工式では町長が挨拶をするのだった。

・泣けない魚たち

さとるは小学6年生になる前の春休みに、矢作川にかかる橋のところで岩田こうすけと出会った。こうすけが魚を手で捕まえているところを、さとるが声かけたのだ。小学6年生になって転校してきたこうすけは、岐阜で川漁師の祖父に育てられ、両親はいなかった。祖父が病気で入院してしまったために、親戚の家に預けられたのだ。

こうすけとさとるは学校で同じクラスになったのに、こうすけは学校では一切話そうとしない。さとるもこうすけの気持ちを察して学校では話さないように努めた。ある日、帰りにこうすけの後をつけたさとるは、大人でも近寄らない河童森にこうすけが入っていくのを見た。さとるも河童森へ入っていき、こうすけに声をかけると、こうすけは自分の作った秘密の場所へ案内してくれた。

こうすけとさとるは毎日、人に気づかれないように秘密の場所のかくれがへ行き、部屋を改装し、見張り台を作った。夏休みも同じようにかくれがで過ごし、そこで夏休みの工作の宿題も作った。こうすけは石斧を、さとるは鳥の巣を作った。

2学期になって、担任の先生が矢作川に幻の魚サツキマスがいることを教えてくれる。こうすけとさとるはサツキマスを釣ろうと作戦を練る。ところがある日、さとるが登校前に河童淵へ行き、浮きがないことに気づき川へ飛び込むと、そのまま流れに飲み込まれてしまう。最後に河童に助けられ、その後目が覚めたときは病院だった。さとるは3日間も寝たまま意識不明だったのだ。先生が来て、河童はこうすけであったことを知り、そして、こうすけはおじいさんが退院したことで岐阜に帰ってしまったと告げられる。

退院した日の帰りに、さとるはかくれがへ行ってみると、生けすに、いつもはしていない葉のふたがされていることに気づき、中を見てみるとサツキマスだった。そして、岐阜に帰ったこうすけからはがきが届く。

・金さんの魚

12歳の拓也には62歳の金さんという友だちがいる。金さんは「なまず屋」という食堂をやっていて、拓也は、その裏庭に育てているトマトを食べさせてもらったことがきっかけで、金さんと仲良くなったのだ。

ナマズを釣って金さんの食堂に分けている、金さんの友だちの浦さんが梯子から落ちてナマズを釣ることができなくなってしまったことをきっかけに、拓也がナマズを釣ることになる。拓也は毎日ナマズを釣りに行き、金さんに持って行って、おこづかいをもらった。

浦さんのけがが治り、浦さんが拓也といっしょにナマズを釣りたいと言う。拓也は浦さんとナマズを釣りながら、金さんが戦争中に満州へ行って、そこで結婚した奥さんと子どもと生き別れのまま、日本に帰ってきてしまったことを知る。その後、拓也は大きな魚を見つけ、浦さんに知らせると、それは草魚という満州の魚であることがわかる。浦さんは拓也と金さんと3人で草魚を釣ろうと計画を立てる。

浦さんが草魚を見つけ、3人で草魚を釣ろうと、草魚を追い、浦さんが押さえ込むが一人で苦戦していると、金さんが杭を振り上げ、草魚の頭に振り下ろした。拓也は金さんが草魚を打ちのめす姿に呆然とする。金さんは泣いていた。金さんの心がやっと満州から日本へと戻ってきたのだった。

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