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『ひなのころ』(著者:粕谷知世)は浅野中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介!

■『ひなのころ』(著者:粕谷知世)について

この本は、

  • 雛の夜・・・・風美 四歳の春 

  • 祭りの夜・・・・風美 十一歳の夏 

  • 月の夜・・・・風美 十五歳の秋 

  • 年越しの夜・・・・風美 十七歳の冬

と、風美が成長し、さらに四季と折り合わせた思い出が積み重なっていく構成になっていて、風美が大きくなるにつれ、地域や家族も変わっていく、ちょっと昔の心温まる素敵な小説です。

4歳、11歳と小学生でも読めそうな本ですが、ちょっと難しめでしょう。場面によって読みやすいところもありますが、読解力のある小学生か中学生以上の学生に読んでもらいたい作品です。

浅野中では、「雛の夜」から出題され、四歳の女の子が雛人形を出すのを待ったり、お友だちの家の雛人形と比べたり、自分の憧れのお姫様の世界を想像したりと、受験する男子学生にはなかなか共感できない、難しい話だったことでしょう。

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

中学受験では、2017年度浅野中学校の国語の入試問題で出題されました。

◆2017年度浅野中学校の国語の入試問題

大問2番で「雛の夜 風美 四歳の春」から単行本で約12ページ分出題されました。
「お雛様を出すのに、まだ小さかった風美がいると邪魔だったおばあちゃんは、外で遊んでいるように風美に言う。退屈な風美に、同じ年のゆうこちゃんのお母さん、河上のおばさんが遊びに来るように誘ってくれる。風美は喜んでゆうこちゃんの家に行くが、わがままなゆうこちゃんと気まずくなり、結局家に帰る。が、帰ってきてもまたおばあちゃんに怒られ、風美はまた一人で出て行く。」という場面です。4歳の女の子の気持ちも難しいうえに、心配するおばあちゃんが怖いだけのようにも感じられ、受験する男の子には難しかったのではないでしょうか。

大問1番は漢字の読み書き、大問3番は論説文で大問3番まででした。

この大問2番の設問形式は、4択の記号選択が5問、20字の記述が2問、30字の記述が1問で全部で8問の出題でした。

■『ひなのころ』のあらすじ(ネタバレ)

・雛の夜・・・・風美 四歳の春

風美は、母は病弱な弟の看病が忙しく、父も仕事で、祖母といることが多かった。祖母は風美を可愛がって心配しているのだが、幼い風美にはただ厳しいおばあちゃんと映っている。(ここから一部前述と同じ)お雛様を出すのに、まだ小さかった風美がいると邪魔だったおばあちゃんは、外で遊んでいるように風美に言う。退屈な風美に、同じ年のゆうこちゃんのお母さん、河上のおばさんが遊びに来るように誘ってくれる。風美は喜んでゆうこちゃんの家に行くが、わがままなゆうこちゃんと気まずくなり、結局家に帰る。が、帰ってきてもまたおばあちゃんに怒られ、風美はまた一人で出て行く。おとぎの国のお姫様と話していると、父が迎えに来る。その夜、風美は一人でトイレに行くと、お雛様たちとお話することができる。

・祭りの夜・・・・風美 十一歳の夏

風美が小学校5年生のときに、藤崎さんという、優しくて物知りで、だれもが好きになるタイプの女の子が転校してきた。風美は藤崎さんと仲良くしたかったが、仕切りやの優子ちゃんが藤崎さんと仲良くなることを禁じたために、なかなか仲良くなれずにいた。やっと仲良くなれたときに、優子には内緒で、おてんの祭りに行くついでに風美のうちに遊びに行くという約束を藤崎さんと交わすことができる。優子が先におてんの祭りに行ってしまい、そこで藤崎さんと出くわし、風美と3人でお祭りに向かう。結局、優子に藤崎さんとの約束がバレてしまうが、古井戸の蓋を開けてはいけないのに開けてしまったことで、藤崎さんのドレスが汚れてしまい、藤崎さんは今日は帰ることにすると言って帰ってしまう。ところが、それが藤崎さんとの最後となった。藤崎さんはお祭りの帰りに事故にあって亡くなってしまったのだ。

・月の夜・・・・風美 十五歳の秋 

風美は、部屋で中間テスト前の勉強をするつもりが漫画を読んでいると、父が階段を上がってきて、雨の中コンバインで稲刈りをしている父親に雨がっぱ1つ届けようともしないで、漫画なんか読んでいるのかと怒鳴られる。高校なんて行きたくないのに、学費学費と言われて、怒りがこみ上げてきた風美は、本気で家出をしようかと考えるが、ふと家の納屋に入り込む。すると、しまってあった雛人形がネズミにかじられているのを見つけ、さらに、稲子さん(父の姉で幼い頃に亡くなった)の遺品の靴も見つける。その靴をおばあちゃんに渡してみるが、見たくないと怒鳴られる。母も出て行ったきり帰ってこない。おかしいと思って、母の実家に電話するとしばらく帰らないと言う。風美は母を迎えに行くと言って出て行くと、父が車で追いかけてくる。

・年越しの夜・・・・風美 十七歳の冬

大晦日の日、大掃除におせち料理の準備などで忙しい。祖母はめっきり老けこんで、風美を亡くなった稲子とよく間違えている。そして、父が関西に転勤となり、単身赴任することになったことを告げられる。風美は東京の大学へ行きたいと考えているが、なかなか言い出せいない。ところが、母がそれを知っていることを知り、風美の日記を見ていたことがわかる。家族4人で言い合いになるが、風美は祖母や父母の思いを知る。そんなとき、先に寝た祖母が寝床にいないことがわかり、大騒ぎとなる。祖母はお墓に行ったのではないかと、風美と弟の昌樹は探しに出かけるが、途中で見つかったと知り、家に戻る。

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