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『よろこびの歌』(著者:宮下奈都)は吉祥女子中、公文国際学園中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介!

■『よろこびの歌』(著者:宮下奈都)について

よろこびの歌』は、女子高校生たちが悩み、挫折、コンプレックスを抱えながら、友だち同士お互いに影響し合い、クラスで自分たちの歌を作り上げていくお話です。

最初と最後が、声楽を志していてクラスでは指揮者となって歌を指導していく御木元玲の語り。他はクラスの友達が一人一人、自分のことや御木元玲、クラスのことを語りながら、話が進んでいく構成になっています。

悩みや挫折を暗くじめじめとは描かれていません全体に勢いがあって明るいので、読みやすく、読み終わった時には自分も高校生から力をもらっているような気分になる作品です。

もちろん、中高生にはぴったりなので、ぜひ手にとってみてください。特に、女の子にオススメです。小学生にはまだわからないこともあるかもしれませんが、長い物語文が出題される学校を受験するなら、楽しい本なので、どんどん読んでみましょう。
続編『終わらない歌』は登場人物が大学生になりますが、同じく若さあふれるエネルギーを感じる小説です。

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

中学受験では、2017年度第1回吉祥女子中学校2019年度公文国際学園中等部B入試の国語の入試問題で出題されました。

◆2017年度第1回吉祥女子中学校の国語の入試問題

大問1番に出題されました。
よろこびの歌』6章目の「佐々木ひかり」というクラス委員の語りから文庫で10.5ページ分ほどの出題です。ひかりから見た御木元玲が描かれ、クラスのみんなでまた合唱コンクールで歌った歌を練習をするシーンでした。

大問1番の設問は問13までで、字数制限ありの記述問題が3問、それ以外は4択の記号選択問題です。大問2番が説明文で、大問3番が漢字6問の構成です。
問1は語句の意味ですが、問9が80〜90字以内の記述問題です。
大問2番の説明文は、ゴミの問題についてで、1番のこの「よろこびの歌」ほど長くはないですが、少し短くなっただけで問11まであり、吉祥女子中の国語の問題は量が多いです。

普段からこの『よろこびの歌』くらいの本を苦なく、楽しく読めるといいでしょう。

◆2019年度公文国際学園中等部B入試の国語の入試問題

大問1番で最後の章「千年メダル」から文庫で約8ページ分出題されました。このお話のクライマックス最後の部分です。御木本玲の呼びかけで、未来の自分に向かって歌っていこうと、発表する講堂へ向かう場面です。大問2番は説明文、大問3番は漢字・文法・部首パズルで、大問3番まででした。

大問1番の設問形式は、語句の意味が1問、適語補充が2問、抜き出しが1問、5択の記号選択問題が5問、100字の記述問題が1問で全部で10問でした。

■『よろこびの歌』あらすじ(ネタバレ)

有名なヴァイオリニスト御木元響(みきもとひびき)の娘御木元玲(れい)は、小さい頃から歌うのが好きで、器楽ではなく声楽を志していた。音大付属高校を受験し、誰もが合格すると思っていたが、受からなかった。玲は新設の私立女子高校に入学したが、自分だけ違う場所にいるかのように、ただ通っているだけで時は過ぎる。

高校2年の後半、合唱コンクールの準備が始まった。御木元さんが指揮者をやればいいと推薦され、指揮者を務めることになったが、玲の思うように、みんな歌うことができない。結局まとまらないまま合唱コンクールは終わる。しかし、その後のマラソン大会で、玲が一番最後の生徒となり、息も苦しくのろのろと足を進め、グラウンドに戻ってくると、合唱コンクールで歌った歌が聞こえてくる。クラスのみんなが玲を励ますために歌い出したのだ。その歌を聴いて玲は震えた。伝えたい思いがあって歌う歌こそ歌のはじまりなのだ。

うどん屋の娘原千夏は、御木元響のヴァイオリンが好きで、音楽が好きで、ピアノが欲しかったけれど、買ってもらえるような家ではなかった。学校の音楽室で練習し、合唱コンクールでピアノを担当するが、まともに弾けなかった。だけど、玲にはマラソン大会の歌声を褒められ、玲に歌を習うことになる。

中溝早希は、中学のとき、ソフトボールで4番でエースだったが、最後の試合で暴投したことで、肩を壊し、ソフトボールの強豪校に推薦が決まっていたのに辞退してこの高校に入った。

牧野史香は、霊が見える能力があり、音楽室にいつもいるおじいさんは御木元玲を見守っていることに気づく。

音楽の先生の浅原先生が、マラソン大会の生徒たちの歌声を聞いて、3月の卒業生を送る会でもう一度リベンジしたらどうかと玲たちのクラスに問いかける。クラス委員の佐々木ひかりを中心にみんなやる気になり、もう一度歌の練習が始まる。

この高校に自分の居場所はないと思っていた玲が、指揮者をすることで変わっていったのを見て、他のみんなも変わってゆく。自分を哀れんだり、親や他人を恨んで人のせいにしていた自分の人生を、自分の足で踏み出さなければならないことに気づいていく。

明日の未来の自分たちのために、歌を歌おう、と。

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