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『ぼくらのサイテーの夏』(著者:笹生陽子)は豊島岡女子学園中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介します!

■『ぼくらのサイテーの夏』(著者:笹生陽子)について

この本は、男の子が主人公のある夏休みのお話です。

タイトル通り、罰として夏休み中プール掃除をしなければならなくなるという最低のシチュエーションで始まりますが、もちろんそのままではありません。

プール掃除を通して、謎だった同級生と仲良くなり、自分自身も兄弟も成長し、実はとても思い出深い夏休みとなるのです。

講談社文庫で約170ページ、青い鳥文庫からも出版されており、

とても読みやすく、小学生にぜひ読んでもらいたい作品です。

特に男の子にはおすすめですが、最近の入試は女子校でも男の子が主人公の物語が出題されますし、共学校受験の場合はどちらが出るかもわかりませんので、女の子にも読んでもらいたい本です。

ただ、楽しく終わる夏休みというわけではありません。主人公である桃井、プール掃除を通して仲良くなった栗田、2人とも小学6年生でありながら、家族に問題を抱えています。桃井の兄は不登校の引きこもり、栗田の妹は自閉症で、しかもどちらの両親も問題ありなのですが、そこは暗く描かれず、子どもたちがしっかりしていて、少しずつ良い方向に向かいます。この点で、若干読解が難しく感じる小学生もいるかもしれません。

子どもたちの強さ、パワーを感じることができる作品です。

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

ちょっと古いですが、中学受験では、2006年度第1回豊島岡女子学園中学校の国語の入試問題で出題されました。

◆2006年度第1回豊島岡女子学園中学校の国語の入試問題

大問2番で、リード文あり、第4章全部、文庫で約8ページ分が出題されました。大問1番は説明的文章、大問3番は漢字の書き取りで、大問3番まででした。

出題された場面は、「ぼくと栗田は罰として夏休み中のプール掃除をしなければならなかった。ぼくは腕をケガしてギプスをはめながら、プール掃除のコツをつかんでいく。だが、栗田とは全く別行動。プール掃除の様子を見に来るおやじ先生も、栗田は一匹オオカミ的で大人だと言う。」というところです。

設問形式は、3字で気持ちを表す言葉を問う問題が1問、20字の記述問題が1問、25字の記述問題が1問、5択の記号選択問題が11問で全部で14問でした。

■『ぼくらのサイテーの夏』のあらすじ(ネタバレ)

小学校6年生1学期の終わり、階段落ちというゲームが流行っていた。どっちのグループが高い段から飛び降りれるかというゲームだ。ぼく(桃井)は、相手チームの栗田が9段落ちを成功させ負けたことでキレて階段から落ち、見事左腕はギプスで固められることになってしまった。さらに、ひどいことに階段落ちをした階段は使用禁止となり、罰として4週間のプール掃除の刑が課せられた。ぼく以外の友だちはみんなプール掃除をやる気がなく、そこに栗田が自分も一緒にやると名乗ってくれた。

こうしてぼくと栗田でプール掃除を始めることになったが、ぼくは栗田がなんだかいけすかない。栗田は栗田で一匹オオカミ的で黙々と仕事をこなすタイプだったのだ。ぼくは片腕ギプスのまま、プール掃除にも慣れていくがお昼も一人ぼっちでお弁当を食べていた。

ある日の夕方、ぼくは買い物を頼まれ、塾をさぼっていることがバレないようにふらふら時間をつぶしていると栗田と会う。栗田はのぞみちゃんという自閉症の妹を連れていた。妹を散歩させているというのだ。

次の日、初めて栗田とぼくはお昼ご飯を一緒に食べ、のぞみちゃんの病気のことなどを聞く。

ぼくの2つ年上の兄のトオルは優秀でなんでもできる兄だったのに、有名私立中学に入ってから不登校となり、家で過ごしていた。兄のトオルが不登校で家で暴れることもあるのに、父親は単身赴任でなかなか帰ってこない。母親はそのせいでふさぎ込む状態が続いている。ある日、ぼくは兄のトオルを散歩に誘うが、トオルは遊園地へ行こうと言うので、遊園地に行くことになる。その日から兄は少しずつ変わっていく。夜の散歩に栗田と栗田の妹ののぞみちゃんとぼくと兄のトオルで出かけるようになり、のぞみはトオルになついていく。

栗田が2日続けてプール掃除に来ないので、家まで兄のトオルと見にいくことにする。栗田の父親が倒れて入院してしまったのだ。母親は仕事しないで飲んだくれている父がいやで出て行ってしまっていないらしい。栗田の家にはハムスターをたくさん飼っていて、帰りにトオルは、ハムスターを1匹もらって帰ってきて、育てることになる。

そして、夏休みも終わりに近づいたある日、栗田の家が火事になってしまう。火事になったことで、栗田の母親は心配して戻ってきて、栗田家は引っ越して違う家で新たなスタートを切ることになる。

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