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『屋上のウインドノーツ』(著者:額賀澪)は豊島岡女子学園中、高輪中、桐蔭学園中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじ(ネタバレ)も紹介します!

■『屋上のウインドノーツ』(著者:額賀澪)について

第22回松本清張賞受賞作品です。
なんとも、清々しい吹奏楽部活小説です。現在吹奏楽部に所属している中学生・高校生には必読の書ではないでしょうか。吹奏楽の知識があったほうが面白いと思いますが、吹奏楽を知らない中高生にも読んでもらいたい本です。

吹奏楽部新入部員高1の給前志音と部長高3の日向寺大志が交替で語っている構成のため、若干時間軸がずれるところがあります。また、志音は幼い頃からの友達との関係、大志は中学時代の吹奏楽部部長としての部活動運営の失敗、という悩みや挫折を抱えています。小学生にはちょっと理解しづらい部分もあるかと思いますが、テンポ良く進んでいくので、楽しく読める作品です。

志音は女の子ですが、自分のことを「おれ」と言うので、最初ちょっと違和感あります。

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

2016年度高輪中学校A日程2016年度桐蔭学園中学校女子部2020年度第2回豊島岡女子学園中学校の国語の入試問題で出題されました。

◆2016年度高輪中学校A日程の国語の入試問題

この大問3番の設問形式は、4択の記号選択問題が8問、抜き出しの問題が1問、字数制限つき記述問題が1問、自由記述の問題が1問、全部で問11までです。
最初に1行のリード文があり、文庫で約6ページ文が出題されています。部長になった日向寺大志と吹奏楽部顧問の土子先生がコンクールに出場する曲を決め、大志は先生から部長としての最終目標は何かと問われる場面です。

◆2016年度桐蔭学園中学校女子部の国語の入試問題

大問3番で「第2章」から出題されました。大問1番は漢字の書き取り、大問2番は論説文で、大問3番までです。
この大問3番の設問形式は、4択の記号選択が5問、そして、最後の1問が80字の記述問題で全部で6問です。
最初に8行のリード文があり、『屋上のウインドノーツ』前半の内容がまとめられていて、本文が始まります。文庫で7.5ページ分です。吹奏楽部の部長日向寺大志が屋上で志音を見つけ、吹奏楽部に勧誘するシーンです。最後の自由記述の問題は、「あなたは志音が、この後吹奏楽部に入ると思いますか。」入るか入らないかを丸をつけて、その理由を書きなさいというものでした。

◆2020年度第2回豊島岡女子学園中学校の国語の入試問題

大問2番で、最初に「給前志音が屋上で一人でお弁当を食べながら、ドラムを叩くような動きをしていたので、吹奏楽部部長の日向寺大志が吹奏楽部に勧誘しようとしている」という説明があり、実際に志音がお弁当を食べているところに大志が誘うが断られるという場面が出題されました。

大問1番は論説文、大問3番に3問だけ漢字の書き取りがあります。

この大問2番の設問形式は、5択の記号選択問題が7問、45字の記述問題が1問、6択から2つ選ぶ記号選択問題が1問で全部で9問でした。

■『屋上のウインドノーツ』あらすじ(ネタバレ)

給前志音には小さい頃から仲の良かった瑠璃ちゃんという友達がいた。一緒に中学受験をして、茨城でも有名な中高一貫の私立の中学校に入学する。しかし、人づきあいの苦手な志音はいつも瑠璃ちゃんの影にいて、瑠璃ちゃんに守ってもらっているだけで、他に友だちはできなかった。志音はそういう状態から抜け出すために、県立高校を受験し、入学する。
志音の両親は志音が小さい頃に離婚し、母親に育てられた。志音は中学2年のときに、と再会し、バンドのドラム奏者になるという夢を叶えたと聞かされる。それなのに、その父は、志音が中学3年のとき、メジャーデビューを目前にして過労死で亡くなってしまう。遺品の日記には、「志音、大志を抱いて生きろ」と書かれていた。
県立高校でも、志音は友達も作れず一人屋上にいた。屋上でドラムを叩く練習をしていると、吹奏楽部の部長日向寺大志に見られてしまう。人数の少ない吹奏楽部に、ドラムパートはなかった。大志は志音に吹奏楽部に入ってくれるように誘う。大志は、志音が屋上で練習していた曲を、自分のホルンと一緒に実際にドラムで演奏してもらう。志音は初めて他人と演奏し、自分にもできるかもしれない、何か変われるかもしれないと、入部を決める。大志は志音となら、東日本大会にも行けると思い、「一緒に、東日本大会へ行こう」と言う。(東日本大会とは、全日本吹奏楽コンクールにおける、上限30人の小編成部門B部門の最上位大会)
志音は、吹奏楽部に入部したことで、変わっていく。瑠璃ちゃんとも、本当の友達として対等な関係になれるように修復していく。顧問の土子先生にダメ出しされ、苦しい練習を乗り越えて、地区大会に出場する。バチが演奏中に転がり落ちてしまい、最後のシンバルを手の甲で叩いてしまうアクシデントはあるが、地区大会1位で県大会出場の権利を得る。
大志は、中学の吹奏楽部時代に、部長自ら、コンクールに出れなくなってしまう事件を引き起こしてしまった。その傷を負いながら、高校でも吹奏楽を続けていた。県大会前に古傷が蘇るが、乗り越え、無事大会は終了する。金賞を受賞することはできたが、支部大会推薦には選ばれなかった。部員みんなひどく落ち込むが、大志は次の代にまた頑張ってほしいと部長を次の学年に引き渡し、大学へ入学する。そして、大学入学後も吹奏楽を続け、高校の吹奏楽部にも応援に行く。
志音は高校3年で吹奏楽部部長になる。今年こそ、東日本大会へと、新入生勧誘のため、メガホンを握り、終わる。

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