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『一人っ子同盟』(著者:重松清)は学習院女子中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介!

■『一人っ子同盟』(著者:重松清)について

この本の登場人物ノブとハム子は、同じ団地に住む小学6年生。なので、小学生が読むのに適しているかというと、ちょっと難しめのような気がします。

2人とも一人っ子ですが、ノブには本当はお兄さんがいたんです。ノブが4歳の時に2歳年上の兄和哉君は交通事故で亡くなりました。

ハム子は、両親が離婚していて、母親と2人暮らしだったのですが、6年生になって、母が再婚し、陽介君という4歳の弟ができます。

そして、ノブとハム子が住んでいる団地に、小学校4年生のオサム君という調子良くて、嘘ばっかりついている男の子が引っ越してきます。このオサム君は、両親が亡くなっていて、親戚中たらいまわしにされている子だったんです。

この3人の境遇は、普通の小学生にはなかなか共感できないかもしれません。

そして、時代的にも40〜50年くらい前なのでしょうか。1970年代くらい?まだ小学校で名簿が配られていた時代です。

物語としても、ものすごく盛り上がって夢中になるという感じではなく、淡々と読み終わって、しみじみする感じなので、実はこの本は大人向けではないかなと思います。

ですが、これからの中学受験でまだまだ出題されそうな本ですので、読解力のある小学生はチャレンジしてもらいたいです。

ちょっと切ないお話だけど、読んでみて下さい。 

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

2018年度第1回学習院女子中等科の国語の入試問題で出題されました。

◆2018年度第1回学習院女子中等科の国語の入試問題

学習院女子中等科では、この『一人っ子同盟』から長文で大問1番に出題され、あとは大問2番が漢字の問題だけでした。

それも、学習院女子中等科の国語の問題は、「〜の気持ちを説明しなさい」というような自由記述の問題ばかり12問です。その3分の1くらいが本文の記述を使って書くことができず、自分の言葉で書かないとなりません。サピックスや四谷大塚の公開模試の解答ほどうまく書けないにしても、少し大人っぽくまとめられるように、練習しておきたいところです。

出題されたのは、オサム君のお祭りのハッピを子ども会に申し込んだが、引っ越してきてすぐ子ども会に入会してなかったために、ハッピをもらうことができないという場面でした。大人の事情に子どもが納得いかないと感じる場面です。

■『一人っ子同盟』あらすじ(ネタバレ)

ノブこと大橋信夫は、小学6年生だ。ノブの家は、父親と母親の3人家族。だけど、本当は、ノブには2歳年上の和哉君というお兄ちゃんがいた。ノブが4歳の時に、交通事故で亡くなったのだ。そして、ノブの団地に、小学校1年のときに引っ越してきたのが、ハム子こと藤田公子だ。

ハム子の家は、親が離婚していて、ハム子は母親と二人で暮らしている。ハム子の母親は、昼間は生命保険会社の外交員、夜は駅前のスナックで働いていた。

6年生になったある日、ハム子は陽介君という4歳の男の子を連れていた。ハム子のお母さんは再婚したのだ。せまい団地の部屋に陽介君とそのお父さんの村山さんが引っ越して来て、ハム子は気に入らない。ハム子は、母親の再婚を全く認める気などなく、名前も変えないし、私は一人っ子だと言い張っている。

ノブの家の真下の部屋は、北嶋さんというおじいさんとおばあさんが住んでいた。両親を亡くした遠い親戚の子を預かるということで、小学校4年のオサム君という男の子が引っ越してくることになった。

オサム君は、元気のいい明るい子だったが、お調子者で嘘ばかりついていた。そのうち、友達はいなくなり、だれからも相手にされなくなった。

その頃団地の掲示板にお財布をなくした人がいるという貼り紙が貼られていた。

そして、ビンゾコという駄菓子屋で、オサム君が、お菓子をたくさん買って、クジもたくさん引いて、ぜいたくに一人で遊んでいると。お財布はなくしたのではなくて、盗まれていた。中味だけ抜き取られ、財布だけ戻ってきたのだ。犯人は、やはりオサム君だった。嘘つき病で、どろぼう病なのだと。だから、親戚中たらい回しにされていたのだ。北嶋のおじいさんもおばあさんも知っていて、引き取っていた。

北嶋のおじいさんとおばあさんは、昭和20年3月10日の東京大空襲で子ども4人をなくしていた。だから、オサム君のことをとても可愛がった。夏休みには、おばあさんは、海に連れて行くと言って、ノブとハム子もオサム君から誘われて一緒に出かけた。

ところが、おばあさんは腰を悪くし、入院して手術をすることになった。手術は無事済んだが、やはり、オサム君の次の預かり先を探すことになる。結局、富士山のふもとにある施設に来年4月から入ることに決まった。決まってからは、おじいさんとおばあさんでオサム君を取り合って、いろんなところに連れ歩く。オサム君も嘘つき病は治らなかったが、どろぼう病の方は、ずっとおさまっていたし、オサム君もおじいさんとおばあさんが大好きだった。

一方ハム子の家も、ハム子が村山さんになつかなかっただけでなく、村山さんの実家とハム子のお母さんとの関係も良くならず、ハム子のお母さんは、外で働きたがったが、村山さんは陽介君のために家にいてもらいたかったため、溝が埋まらず、結局また離婚することに決まった。そして、ハム子たちは郊外で開発が進むニュータウンの団地に中学から引っ越すことになる。

ノブに見送りはいらないと言って、公園から見える給水塔の光り輝く景色を見ながら、お別れする。

「どうにもならないことって、あるんだよー。」

この一言がこの話全体のテーマになっていた。

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