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ダダダイアリー、主に映画。2024/6/2ー6/15

6月2日
渋谷の公園通りクラシックスで開催の《Vela ~para o ce´u 空へ》 へ。
橋本一子と甲田益也子による新ユニットVela〜ヴェーラのお披露目ライブ。橋本一子のアンビエントなピアノと甲田益也子の声と6月の雨と湿度が一体となった午後の微睡。集団催眠効果のある世界の終わりにもう一度流れそうなララバイ。特に甲田益也子のシアトリカルでコンテな動きが奇跡の様で震えた。

その後は渋谷の無機質カフェことカフェモノクロームへ。
RboWコラボのチョコレートプリンとホットコーヒーをいただく。予約しないで抜き打ちで行ったらオーナーのアサコさん居たので先日ちょっとだけ観れた「ソイレントグリーン」について喋り倒して来た。

さらにル・シネマ渋谷宮下にて、クレール・ドゥニ監督「美しき仕事4Kレストア版」鑑賞。
訓練、洗濯、アイロン掛け、停滞の外人部隊。カラカラに乾いたアフリカで男たちは何と戦ったのか。アニエス・ゴダールの美し過ぎる撮影と全てを集約して飛翔させるドニ・ラヴァンのダンス。ずっと観たかった作品だけど待った甲斐ある傑作だった。

帰宅後、「新美の巨人たち」録画鑑賞。
待望の内田有紀の建築探訪回。上高地帝国ホテルでテンション上がりまくりの内田有紀を観てこっちのテンションも爆上がり。ほんの少しだけ気持ちが穏やかになった。今回ももちろん永久保存決定。

6月3日
目黒シネマにて、プロマ・バズー、ロブ・ハッチ=ミラー監督「アザー・ミュージック」鑑賞。
NYで独自の音楽を発信した伝説のレコードストアの閉店を描いたドキュメンタリー。初見の時から常連気分になったけど観るの4回目だからもう正式にアザーミュージックの常連客だったと言っても差し支えないんじゃないかと思った。そしてゲイリーウィルソンのインストアライブは毎回何故か泣ける。

6月5日
TOHOシネマズ渋谷にて、ジョージ・ミラー監督「マッドマックス:フュリオサ」鑑賞。
連続テレビ小説「フュリオサ」ダイジェスト版を観ている様な、もしも「マッドマックス」が朝ドラだったらな展開の、フュリオサ少女時代からフューリーロードに至るまでのボリュームでお届けする壮大過ぎるデスロード予告編って感じで楽しめた。

続いてホワイトシネクイントにて開催のハーモニー・コリン監督「アグロ・ドリフト プレミア上映」へ。
初めて「ガンボ」を観た時に近い絶望感。絶望に満ちた世界のトーンやカラーが全編サーマルレンズのバッドトリップとして具象化された絶望のハーモニー。単にふざけただけかも知れないが。楽しめたけど45分位の長さでも良かったかも。
上映前にはハーモニー・コリン監督の登壇があったのだけど、ずっと映画に使用されたマスクをつけたままでトーク。アホだなぁとか思ってたけど、開始前にロビーで監督がファンにサインしまくってた事を知り、早々と入場してのんびりしてた俺の方がアホだったと烈しく後悔。

6月6日
サン・ラーアーケストラ「Live at Pit-Inn Tokyo,Japan,8.8.1988」
Pit-Innで行われた1988年来日ライヴの頭から終わりまでをCD2枚に完全収録。ライブ集団としての充実ぶりと半端ない臨場感、脂の乗り切ったステージを余すところ無く収め伝説の追体験を可能にした実況録音盤。これはありがたい。

ル・シネマ渋谷宮下で開催中の特集上映「佐藤真 暮らしの思想」にて、「エドワード・サイードOUT OF PLACE」鑑賞。
パレスチナ出身の知識人サイードの不在を巡り、彼の目指した共生の地点を考察するドキュメンタリー。家族や関係者に留まらず、周辺国に暮らす難民パレスチナ人やイスラエルに移住したユダヤ人などの生活者を丹念に追う所が佐藤監督らしい。2004年と現在との状況の違いがあり全体的に牧歌的で楽観的な印象だが貴重な証言と映像が収められた作品だった。

その後は池袋に移動。
久々に池袋のドーナツ屋OLDでクルンジとメロンパンをいただき、2階のセレクトショップがオープンだというので覗いて見たら,AMBITIOUSのかわいいシューズがあったので思わず購入。

帰宅後、MXテレビ「あなただけ見えない」ほぼ一気見。
「もう誰も愛さない」のスタッフが作ったシリーズなので無理で強引な設定と登場人物全員がどうかしてて、特に三上博史の1人大騒ぎぶりが手に負えず、結局1秒たりともドラマについていけなかった。デイト・オブ・バースの主題歌だけが良かったな。

6月7日
ヒュートラ渋谷にて、瀬田なつき監督「違国日記」鑑賞。
分かり合えない事のもどかしさと愛おしさ。違うままでいる事の素晴らしさ。2度と撮れないかけがえの無い一瞬の煌めきを逃す事なく集めて画面の至る所に放つ瀬田マジックの炸裂。こんな作品作れるのは瀬田監督だけだ。瀬田監督の新たなる傑作の更新に感激が止まらなくなった。

表参道に移動。
RAND表参道にて開催の「EXHIBITION ENTER THE EDGLRD WORLD 」へ。
ハーモニー・コリン監督の新作「アグロドリフト」公開を記念した期間限定ショップ。例のマスクとかTシャツとかスケボーとか展示販売してた。お客が誰も居なかったのでサッと見て帰って来た。

その後は麹町に移動。
イスラエル大使館前にて『イスラエルはガザ虐殺をやめろ!6・7イスラエル大使館前行動』( #パレスチナに平和を緊急行動 #FreePalestine #CEASEFIRE_NOW )に参加。
なんでまだ終わらないのだ。シオニズムに染まった帝国主義な世界からいい加減に脱却しよう。見て見ぬふりはもう許されない。

6月9日
ユーロスペースにて井口奈己監督「左手に気をつけろ/だれかが歌ってる」鑑賞。

「だれかが歌ってる」
世田谷線沿い(主に松陰神社前)で、聴こえる人にだけ聴こえる誰かの歌声に導かれ紡がれる細やかでいながら大いなる出逢いに満ちた冬の物語。細海魚のメロディが素晴らしい短編。

「左手に気をつけろ」
御用だ!御用だ!左利きはこども警察が逮捕する。左利きの姉と運命の人を探して街を歩き回る神戸りん。走るこどもたちと世田谷線。「だれかが歌ってる」から引き継ぐメロディがメドレーの様に軽やかな、映画の運動に満ちた作品。特に締めのラップがヤバい。最高だった。

上映後に井口監督、出演者の名古屋愛さん(神戸りん役)、Aoくん&Wakuくん(こども警察 feat. Ao & Waku)が登壇。エイゼンシュタイン全集読破のインスタが名古屋愛の主演を決定的にした(監督談)事や、あまりよくわからなかった(Waku談)など楽しい話が聞けた。これは「こどもが映画をつくるとき」を含めた3本立てでまた観たいな。

名古屋愛さん、Aoくん、Wakuくん、井口監督

帰宅後「ボクらの時代」録画鑑賞。
河合優実×見上愛×青木柚による23歳同い年友達トークだったけど、ひたすら眩しかったなぁ。アホな芸能界とか映画界に染まらずとにかく皆んなこのままでいて欲しいと願わずにはいられない爽やかな時間だったな。

6月11日
映像の世紀バタフライエフェクト「ルート66アメリカの夢と絶望を運んだ道」録画鑑賞。
ボニー&クライドから始まるファッキングアメリカのヒストリーをルート66で一気に走破する回。約束の地とはダブスタの地。夢の跡地のノマドランドで昨日のアメリカを探し求める人々。もうほんとアメリカ終わってんなと思った。

TOHOシネマズシャンテにて、ジョナサン・グレイザー監督「関心領域」鑑賞。
アウシュビッツの隣で何事もなく過ごす人間の無関心の恐ろしさを描いた作品だけど、パレスチナを無視してスタバとかマックを平気で利用したり、ずっとポップコーン食べながら本作を観てるリアルな世界の方がよっぽど恐ろしいなって感じでイマイチ入り込めなかった。ホラー味が増すので爆音上映でならまた観たいかも。

神楽坂に移動。
東京日仏学院で開催のイベント「黒沢清を迎えてー亡霊たちの社会」にて、オリヴィエ・アサイヤス監督「パーソナル・ショッパー」鑑賞。
ヒルマ・アフ・クリントとヴィクトル・ユゴーと降霊術。買い物係クリテンが亡き兄とのコンタクトを待ち続けるうちに巻き起こる怪事件。サスペンスとホラーと観念的な要素を取り込み乍ら、ジャンルレスで多層的な喪に服すクリテンが最高な作品。DVD持ってるけどスクリーンで久々に観れて感動。
上映後に作品をセレクトした黒沢清監督とアサイヤスによるリモート対談が実現。
幽霊の存在を真正面から誠実に具体的に捉えた世界的にも類を見ない作品という黒沢監督らしい観点での絶賛。喪に服する作品という事で黒沢監督最新作「蛇の道」と共鳴してる点や、そう言えば2人とも同い年だし共通点多いなと改めて気付かされた。
しかしフィリップ・ガレル「内なる傷跡」のポスターを背に語るアサイヤス。相変わらずダンディだったな。

オリヴィエ・アサイヤス監督(リモート出演)、黒沢清監督、坂本安美さん

水野しず「正直個性論」読了。
個性という抽象的な観念に振り回される現代に向けて放つ正直過ぎる論考。心のリボ払い問題など正直ここまで正直だとは思わなかった。問題提起だけするやってる感とは真逆な圧倒的な解答が用意された、狂った世の中を少しでもマシに生きていこうとするマジな一冊。

6月13日
瀬田なつき監督「違国日記」@ヒュートラ渋谷
2回目。槇生と朝。わかり合えない事を分かりあう事で寄り添う2人のエポックでエコーな日々。ミニライブでの奇跡の様なキラキラと眩しい多幸感に結実する、なんでこんな表情や仕草や動きが撮れるのかという一瞬の永遠を閉じ込めた瀬田なつきの新たな代表作。ホントに名作。

続いてシネマヴェーラ渋谷で開催中の特集上映「大井武蔵野館になってみた!」にて、川崎徹広監督「豚と金魚」鑑賞。
藤木孝の異様なテンションの陽気さ、ボンドガール若林映子のグラマラス、トニー谷の小悪党ぶりと草笛光子の仕上がりぶり、そして何より上原謙の三枚目ぶりが味わい深く、結局何だったんだというよく分からない展開の歌謡映画にペーソスを滲ませた怪作。牧歌的な多摩川の風景も良かった。

帰宅後、荻上直子監督「かもめ食堂」録画鑑賞。
予告編だけでなんか内容わかっちゃう感じでずっとスルーしてた作品。思った通りの内容な展開だったけど、思ってたよりずっと良かった。これはスクリーンで観てみたいな。

6月15日
新宿中央公園にて開催のバザーで、パレスチナチャリティーのフリーマーケット出店されるとのことで覗いてくる。
殆ど売り切れてたが缶バッジとコンセントクリップを購入。

続いて前からずっと気になってた海外輸入DVD Blu-ray専門店の新宿ビデオマーケットへ。
篠崎誠監督自費出版の「ライナーノーツ」とアラン・アーカッシュ監督「ゲット・クレイジー」の Blu-rayを購入。想像通りのマニアックな店だった。

その後は四谷まで徒歩で移動。
四谷区民ホールで開催の「TrueAct2024」へ。
世界で活躍するマジシャンやジャグラーなどのパフォーマー10組による華麗なるアクト。知人に薦められて初めて観たけど予想以上に凄かった。客筋も良くて全演目で大盛り上がり。ライブだからこそ伝わる技の凄みを堪能し感動とトキメキに包まれる素晴らしさで大満足な一夜となった。

出演パフォーマーたちによるカーテンコール


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