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コオロギの次はミズアブ!? 「昆虫食」推しは国のプロジェクト 

最近Twitterで、パスコがコオロギパウダー入りのパンを販売していると炎上しているようですが、なぜ今頃炎上したのでしょうか。パスコがコオロギパウダー入りのパンを発売したのは、2020年12月なのに。他の記事を書く予定でしたが、コオロギについて調べていたら、いろいろ掘り起こしてしまったのでこちらを先に書くことにしました。

2020年12月1日にフィナンシェとバゲッド発売

敷島製パン株式会社(Pasco)は、2020年12月1日(火)よりPascoのオンラインショップ限定で、「Korogi Cafe(コオロギ カフェ)」シリーズより「コオロギのフィナンシェ」、「コオロギのバゲット」を発売しました。

パスコが炎上した理由はわかりませんでしたが、コオロギが話題になったのは自称「運び屋」デジタル大臣が試食したことが報道されたからのようです。

無印良品はせんべいとチョコ

無印良品のことも話題になっていますが、こちらも最近発売されたわけではないようです。第2弾のチョコが、2021年12月の発売となっています。


無印良品の昆虫食 第二弾「コオロギチョコ」を発売~コオロギパウダーやミルクチョコレートなどを使用、食べごたえのあるプロテインバー~ 
2021年12月13日
17時00分
無印良品を展開する株式会社良品計画(東京都豊島区/代表取締役社長 堂前 宣夫)は、12月15日(水)より、コオロギを食材に使った昆虫食の第二弾として、コオロギパウダーやミルクチョコレート、大豆パフなどを使用し、ミルクチョコのほどよい甘味とザクザクした食感が楽しめるプロテインバーに仕上げた「コオロギチョコ」(価格:190円(税込))を全国の「無印良品」限定221店舗、および当社公式ネットストアで発売します。
(中略)
 世界の急激な人口増による将来の食糧不足に備えて、「昆虫食」が注目されています。当社では、「今後の食糧確保と環境問題などの課題を考えるきっかけになれば」という思いから昆虫食の商品化を開始。“昆虫食の先進国”といわれるフィンランドを訪問するなどして情報収集を行い、その結果、コオロギに関する知見が豊富な徳島大学発ベンチャーの株式会社グリラスと協力して、コオロギを食材とする取り組みを進めました。そして2020年5月、無印良品で初の昆虫食として「コオロギせんべい」をネットストアで発売。その後、200店舗で発売し、順次販売対象店舗を拡大していきました。現在では、幅広い世代のお客さまに好評をいただき、環境問題に目を向けていただくきっかけになったと考えています。 今回発売する「コオロギチョコ」は、昆虫食の第二弾です。
(以下略)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001226.000000987.html


トモズでは、プロテインバーなどを2月18日に発売

こちらは先週、発売されたようです。

環境にやさしい食用コオロギを使用した自社ブランドがドラッグストアに初登場!「C. TRIA」小売向け商品4種がトモズにて取扱い開始
2023年2月18日(土)より、トモズの計174店舗で発売
株式会社グリラス 2023年2月16日 11時00分

徳島大学発ベンチャー企業として、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して国内で行う株式会社グリラス(本社:徳島県鳴門市、代表取締役:渡邉 崇人、以下「グリラス」)の展開する自社食品ブランド「C. TRIA(シートリア)」の小売向け商品4種が、2月18日(土)より株式会社トモズ(本社:東京都文京区、代表取締役:德廣 英之、以下「トモズ」)の展開するドラッグストア174店舗にて取扱い開始となります※1。また、C. TRIA商品のドラッグストアでの展開は今回がはじめてです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000070046.html

これらは、食べたくない人は買わなければよいわけですが、問題なのは子どもの給食です。

徳島で食用コオロギの粉末が学校給食に

昨年11月には、徳島県の高校でコオロギ粉末を使った「カボチャコロッケ」が給食メニューに登場しました。

食用コオロギの粉末を学校給食に 全国初、まず徳島で
2022年11月28日 19:36
食用コオロギを養殖するグリラス(徳島県鳴門市)は学校給食事業に参入した。徳島県立小松島西高校(小松島市)が28日、同社から仕入れた乾燥コオロギの粉末を校内調理し、給食として提供した。同校は今夏にコオロギ食材の調理実習などを手がけており、生徒や教師らの間で昆虫食への理解が深まっていた。コオロギの給食導入は全国で初めてという。

グリラスと小松島西高校は同日、報道陣に給食の調理や生徒の食事のようすなどを公開した。調理師を目指す食物科の生徒が、校内の食堂で昼食づくりを担当。グリラスが納入したコオロギ粉末を使い、給食メニューの第1弾となる「カボチャコロッケ」を用意した。ひき肉に代わるたんぱく源として、コオロギ粉末をカボチャに混ぜたのが特徴だ。
(以下略)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC24BFE0U2A121C2000000/

給食に入れるということは、食べたくない人にも出されます。これまで日本人が食べてこなかったコオロギを、子どもたちが食べても大丈夫なのでしょうか。

追記:この事例は希望者だけのようでしたが、給食への導入が広がることへの懸念があります。

内閣府の資料

Twitterでは、内閣府の資料も拡散されていました。

資料管理ID syu05010960149
欧州食品安全機関(EFSA)、新食品としてのヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)についてリスクプロファイルを公表
資料日付 2018年9月21日
概要(記事)
欧州食品安全機関(EFSA)は8月28日、新食品としてのヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)についてリスクプロファイルを公表した(7月6日採択、PDF版15ページ、doi.org/10.2903/j.efsa.2018.e16082)。概要は以下のとおり。
このプロファイリングは、EU加盟国のリスク評価機関に所属する若手研究者育成を目的としたEU‐FORA (The European Food Risk Assessment Fellowship)プログラムの一環として、スウェーデン農業科学大学(Swedish University of Agricultural Sciences)により実施されたものである。
(中略)
しかしながら、動物衛生と食品安全において、著しいデータギャップが存在している。HACCPタイプのシステムが実施された場合でも、リスクプロファイルにおいて以下に挙げる相当な懸念が特定された。
(1)総計して、好気性細菌数が高い。
(2)加熱処理後も芽胞形成菌の生存が確認される。
(3)昆虫及び昆虫由来製品のアレルギー源性の問題がある。
(4)重金属類(カドミウム等)が生物濃縮される問題がある。

寄生虫、カビ類、ウイルス、プリオン、抗菌剤耐性及び毒物類等の他のリスクは低いと判定された。数種のリスクに関しては、更なるエビデンスが必要であることを強調しておく。
当該文書は下記URLより入手可能。
https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2018.e16082

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05010960149

「数種のリスクに関しては、更なるエビデンスが必要であることを強調しておく」と書かれています。つまり、まだよくわからないということです。

内閣府の資料で、もう1つ気になるものを掘り起こしました。

食品安全委員会では、国民からの意見などに基づきリスク評価を行う「自ら評価」を実施しています。

「自ら評価」で選定されなかった昆虫食

内閣府の説明がわかりにくかったので、他のサイトから引用します。これは2022年度の記事ですが、例年、7月1日~7月31日の間に国民から募集しているようです。


2022年度「自ら評価」を募集 【7/31締切】食安委のリスク評価
2022/07/07
食品安全委員会は食品健康影響評価において、「自ら評価」の案件を7月31日まで募集している。
 同委員会は、リスク分析の考え方に基づき厚生労働省、農林水産省などの「リスク管理機関」からの要請を受けてリスク評価を行っているが、リスク管理機関からの要請以外でも、国民からの意見などに基づき、自らの判断によりリスク評価を行う「自ら評価」を実施している。

ウェルネスデイリーニュースより

 令和4年度の「自ら評価」案件候補の外部募集

令和2年度「自ら評価」検討資料に、昆虫食の提案がありました。

4その他
(1) 昆虫食由来アレルゲン物質

①提案理由
現在の世界人口は約70億人であり、今後、増加の一途を辿り、2050年には98億人に達すると試算されている(国連 世界人口展望 2017)。現在は食糧の需給バランスが保たれているものの、人口増加に備えた食糧の増産が必要となる。
(中略)
そのため、今後、肉、魚、乳製品、穀類等の既存のタンパク質の増産以外に、これまで摂取する機会のなかった、もしくは少なかったタンパク源を直接あるいは間接的に摂取する機会が増えることは避けられない状況と言える。
(中略)
現在、北米、北欧において、昆虫はサステナブルなタンパク源としてトレンドとなりつつある。特にコオロギは、東南アジア、北米、北欧のみならず、日本国内においても、食用昆虫として販売する企業が存在し、徐々に市場の広がりが見られている。他に蜂の子、イナゴ、カイコの蛹、甲虫の幼虫なども広がっている。

このような直接、ヒトが昆虫を食するという流れが広がっていくためには、昆虫への忌避感の低減、コストダウン等の課題解決が必要と考えられるが、これらの課題が克服され、多くのヒトが長期間、多量に摂取するとなると、食品としての安全性の担保が不可欠となる。
また、直接ヒトが昆虫を食する以外にも、飼料に昆虫が含まれるエサを摂取した家畜や養殖魚を人が摂取することでも間接的に昆虫を摂取することになりうる。
(中略)
このように、直接、あるいは間接的に昆虫を摂取した場合に、昆虫に含まれるアレルギー物質がヒトにどのような影響を及ぼすかの評価を行う必要があると考え、貴委員会の「自ら評価」にて評価実施頂きたく本案件に応募した。

file:///C:/Users/Asako%20Hiike/Downloads/kai20210204ki1_110-2.pdf

昆虫食に関する提案は、令和元年にもあったようです。

②食品安全委員会での対応状況
【過去の「自ら評価」での審議と概要】
令和元年、自ら評価で昆虫食が提案された。事務局より、健康被害に関する情報は得ていないこと、仮に評価を行う場合にも情報が不足しているため特定の生物種に限られることを説明、特段議論はなく、案件としないこととなった。
【その他】
令和3年度の調査事業により、代替たんぱく(昆虫食、代替肉等)について情報収集をおこなうこととしている。

③最近における健康被害の発生状況
昆虫食を原因とした健康被害の情報はなし。

file:///C:/Users/Asako%20Hiike/Downloads/kai20210204ki1_110-2.pdf

上記の資料には、グルテンやカゼインについての提案もあり、現場の医師からの提案でも選定されていないことがわかります。結局、募集しても都合のよい評価しかしないような印象です。

選定されなかった理由については、下記の資料に書かれています。

(資料2-1)令和3年度の「自ら評価」案件の選定について(案)(専門調査会後一部修正)[PDF:1644KB] より


file:///C:/Users/Asako%20Hiike/Downloads/kai20210602ki1_210.pdf

選定されなかった理由
③「科学的知見の充足状況」が十分でない
諸外国の動向等を含めた科学的知見が不十分であるところ、引き続き、情報収集に努める

file:///C:/Users/Asako%20Hiike/Downloads/kai20210602ki1_210.pdf

「令和3年度の調査事業により、代替たんぱく(昆虫食、代替肉等)について情報収集をおこなう」と書かれていた調査の結果が下記だと思います。

和 4 年 3 月 特定の新規食品の安全性評価手法に関する調査 
調査報告書

欧州でのコオロギの事例(163ページ~)がありましたが、日頃食べているものとの比較などがなく、どのくらいの数値だと安全なのかがよくわかりませんでした。

下記は、そのほかの国についてまとめた表です。

file:///C:/Users/Asako%20Hiike/Downloads/cho20220010001_001.pdf

昆虫食に関しては、ほとんどの国でまだ評価事例がありません。

日本での「健康被害に関する情報は得ていない」のは、食べている人が多くなかったからであり、被害の情報がないから安全とは限らないでしょう。また、日本で昔から食べられていたイナゴなら大丈夫かもしれませんが、コオロギは日本人の体に合うかわかりません。そのようなものを、なぜ小学校の給食に入れるのでしょうか。


「誰も飢えさせない」プロジェクト

国は、国民に昆虫食をどんどん食べさせたいようです。全国からスペシャリストを集めたプロジェクトとして、2020年12月から昆虫食事業を進めています。「2025年までに高品質昆虫の安定生産体制を整え、2030年までの量産化を目指す」そうです・・・。



https://if3-moonshot.org/vision#slide7

下記のページに参加企業一覧があります。

参加企業の一部を引用。

https://if3-moonshot.org/aboutus

徳島県の給食に参入したグリラスという会社も、この中に入っています。

「誰も飢えさせない」というビジョンのもとで、スペシャリストたちがが全国から集まって取り組んでいるプロジェクト。

https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/moon_shot/MS_20210402_PM.pdf


https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/moon_shot/MS_20210402_PM.pdf

コオロギの次は、ミズアブのようです。生ゴミのコンポストなどに発生するアレです・・・。