文徒インフォメーション Vol.26

Index------------------------------------------------------
1)【Book】盛り上がる川本直「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」
2)【Publisher】K-BOOK、韓国文学を推すイベントと店頭展開
3)【Advertising】Amazonの検索結果は広告だった
4)【Digital】リベラルは近所づきあいが苦手?
5)【Magazine】「元木昌彦の深読み週刊誌」が最終回を迎えた
6)【Marketing】昭和〜平成レトロを楽しむZ世代とは?
7)【Comic】「現代ビジネス」が「少年サンデー」新編集長をクロースアップ
8)【TV, Radio, Movie& Music】NHK紅白、ジェンダー平等でどうなる?
9)【Journalism】引退したツイッタラー「黒瀬深」は記事にするのに
10)【Bookstore】歴史小説家・今村翔吾が再興させる大阪の書店
----------------------------------------2021.11.1-5 Shuppanjin

1)【Book】盛り上がる川本直「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」

◎朝倉書店から「日本語ライブラリー 辞書の成り立ち」が刊行された。
http://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=51619&fbclid=IwAR16RkM61_NeRdyP1GnEzIQXNpCgMd5BTvMnIQyvYiPXGNaFKnUP6j4VtJ0
小学館出身の佐藤宏がフェイスブックで次のように書いている。
《本書は複数の日本語学者により、さまざまな観点から網羅的、客観的な情報を得られるところに特色があり、さらに、辞書の歴史を概観することによって、辞書そのものに対する興味も深まります。国語辞典の歴史を考えた場合、『色葉字類抄』から『節用集』につらなるイロハ引きの国語辞典もさることながら、『新撰字鏡』から『和玉篇』へと連なる漢和辞典の役割の重大さに鑑み、漢和辞典についても詳しく解説しています。
本書の構成としては大きく、国語辞典の構成と内容、漢和辞典の構成と内容、そして辞典の歴史の3部構成になっています。それぞれが濃密かつ簡潔にまとめられていて、一般の読者や辞典愛好者には辞書学入門書として、辞典編集者には必携のハンドブックとして役に立つのではないかと思います。》
https://www.facebook.com/peacemediums/posts/4544654805610513

◎学研プラスはTwitterフォロワー134万人超えのインフルエンサー・Testosteroneの「大人も気づいていない48の大切なこと キミの心をラクにするかんたんなヒント」を刊行した。Testosteroneにとって初の児童書刊行となる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=000003622.000002535&g=prt

◎山田風太郎賞は、米澤穂信の「黒牢城」(KADOKAWA)に決まった。
https://www.sankei.com/article/20211029-SPZKOBSZMZNRJJQWK4JVLYN2U4/
米澤穂信がツイートしている。
《山田風太郎賞の受賞に数多くのお祝いの言葉をお寄せ頂き、ありがとうございます。『黒牢城』は戦国を舞台にした小説でしたが、思えば第一作の『氷菓』から、時の流れに抗しきれず、人知れず叫ぶことしかできなかった人間の思いを書いてきたように思います。今日からまた、次の小説を書いていきます。》
https://twitter.com/honobu_yonezawa/status/1454216251669028865
「テスカトリポカ」の佐藤究のツイート。
《『黒牢城』が第12回山田風太郎賞に決定。「まだ体が動くうちに寿司職人に転身を…」と哀愁を漂わせつつボヤいていたKADOKAWA編集者の上野さんですが、『黒牢城』と『テスカトリポカ』のどちらも担当。》
https://twitter.com/sato_q_book/status/1454022915859496965

◎まだバラすのは早いのではないだろうか。10月28日付日本経済新聞は川本直の「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」(河出書房新社)を取り上げているのだが、評者の陣野俊史は次のように書き出している。
《たいへんな小説が出現した。アメリカの架空の作家ジュリアン・バトラーの生涯を描く、虚構の評伝だ。》
《著者の脳裏にあるバトラーは、架空の評伝のバトラーと融合し、歴史の真実と虚構のあわいを歩き続けている。文芸批評家の著者は、そのバトラーの赴くまま、彼の姿を活写する。そして、作中でバトラーの書く小説の面白さ! たくらみに満ちたデビュー小説だ。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD221DK0S1A021C2000000/?unlock=1

◎10月30日付朝日新聞は書評面で大川内 直子の「アイデア資本主義 文化人類学者が読み解く資本主義のフロンティア」(実業之日本社)を取り上げている。評者の坂井豊貴は次のように書いている。
《著者は資本主義の本質を、直線的な時間感覚と、未来への計算に認める。資本主義は社会システムというよりは、人間の心的傾向に根差す現象だと指摘する。そうして資本主義の歴史を概観し、アイデアをもつ人が投資を集める今日の「アイデア資本主義」を論じる。それは希少価値を失くしたカネが、優れた僅かのアイデアに群がる現象だ。》
https://book.asahi.com/article/14471013
10月28日付日本経済新聞でも書評面で入山章栄が取り上げている。
《評者にとって本書の素晴らしさは、イスラム教、アルジェリアの農村部、中世ヨーロッパ、宋王朝、東インド会社などを引き合いに、資本主義の歴史を鮮やかに切り取るところにある。昨今の「資本主義の廃退論」への批判にも同意したい。資本主義とは先述した人の根本的な(ミクロな)欲求から発するものであり、現代の資本主義に課題はあっても、資本主義そのものの否定は安直に過ぎる。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD016ZD0R01C21A0000000/?unlock=1

◎幻冬舎は湊かなえの最新刊「残照の頂 続・山女日記」(11月11日発売)の刊行を記念して、サイン会を11月13日(土)に紀伊國屋書店梅田本店で、11月19日(金)に丸善丸の内本店で、12月4日(土)にメトロ書店熊本本店で開催する。
https://www.gentosha.jp/article/19745/

◎累計150万部超えの「頭のいい子を育てる」シリーズから、小学生向け新ラインの第2弾「世界の歴史366」が主婦の友社から発売された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001757.000002372.html

◎白泉社が発行する、絵本作家・ヨシタケシンスケの「つまんない つまんない」「それしか ないわけ ないでしょう 」「ものは言いよう 」「あつかったら ぬげばいい」という4タイトルの発行部数が累計70万部を突破したそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000655.000046848.html

◎洞本昌哉が実行委員長をつとめる京都本大賞は藤岡陽子の「メイド・イン京都」(朝日新聞出版)に決まった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001327.000004702.html

◎川本直のツイート。
《かげはら史帆さんの書評「ホロヴィッツとチャイコフスキーが彩る不道徳な20世紀の芸術世界──川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』」が、音楽之友社のONTOMOの連載で公開されました。拙作で最も触れづらい箇所に斬り込む大胆不敵・勇猛果敢な書評です。多謝です!!》
https://twitter.com/KawamotoNao11/status/1455103026931257349
かげはら史帆 がリツイート。
《著者さんに早速ご発見いただき恐縮。先日、読了後に大興奮のツイートをした今年No.1の小説『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』(川本直/河出書房新社)について書かせていただきました。ちなみに本作に登場する音楽は他にもまだまだまだ沢山あります。》
https://twitter.com/kage_mushi/status/1455151506886299649
かげはら史帆の「ホロヴィッツとチャイコフスキーが彩る不道徳な20世紀の芸術世界」はONTOMOに11月1日付で発表されている。
《本書を読む喜びは、音楽にたとえるならば、原曲のエッセンスと当世流のレトリックが合体した優れたトランスクリプション(編曲)を聴いたときの高揚感に似ている。編曲は、原曲への愛なしには成立し得ない。著者・川本氏にとっての原曲とは、20世紀の実在のクィアな作家たち、とりわけ自身が面会したこともあるゴア・ヴィダルであるにちがいない。巻末に付された「本書はフィクションです」というありふれた注に、ここまで深い余韻をおぼえる小説はまれだろう。》
https://ontomo-mag.com/article/column/kagehara17-202110/
ケン・ラッセルの映画「恋人たちの曲 悲愴」が懐かしい。

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