文徒インフォメーション Vol.32

Index------------------------------------------------------
1)【Book】オトバンクのオーディオブック年間ベストセラー
2)【Publisher】元財務次官が讀賣新聞西部本社の監査役に就任
3)【Advertising】「電通の本質は課題解決業」が問われている最大の課題とは
4)【Digital】温又柔「Twitterやるのが辛くなっていった」
5)【Magazine】創刊100周年を迎えた「文藝春秋」の表紙画が村上裕二に
6)【Marketing】「報道記者はアクセス数とか収益化を気にするな」??
7)【Comic】那須ブックセンターに「別冊フレンド」が入荷しなかったのは
8)【TV, Radio, Movie& Music】フジテレビ給与「昔は年収2000万、いまや700万」の記事
9)【Journalism】芥川賞ほか「文化芸術の賞、審査員や受賞者のジェンダーバランス」
10)【Person】山田幸伯訳のチェット・アトキンス自伝がついに刊行
11)【Bookstore】ブックカフェブームとは、専業書店では生き残れないということでは
----------------------------------------2021.12.6-12.10 Shuppanjin

1)【Book】オトバンクのオーディオブック年間ベストセラー

◎朝日新聞デジタルは12月9日付で「三浦綾子の全小説を打ち込んでデータに 横組み・ルビつき本を学校へ」(本田大次郎)を掲載している。
《作家・三浦綾子(1922~99)の小説全55作品を、北海道旭川市にある三浦綾子記念文学館が、来春までにデジタルデータ化する。多くの人に三浦文学に触れてもらうための基盤づくりで、学校向けに小説を横組み、全ての漢字へのルビ付きで発刊する計画もある。》
《スタッフやアルバイトの学生が、作品をあらためてパソコンに打ち込み、来春には全小説55作品をデータ化できる見通しになった。すでにデータ化が終わった重版未定の「果て遠き丘」を皮切りに、「復刻刊シリーズ」として8作品を発刊、販売している。》
https://digital.asahi.com/articles/ASPD87TXNPD8IIPE001.html?ref=amp_login
この記事は読者に誤解を与えかねないのではないだろうか。小学館から「三浦綾子 電子全集」が刊行されていることをまるで踏まえていない。「果て遠き丘」などは容易に読めないような印象を与える。確かに紙の本は重版未定だが、電子書籍であれば容易に読めるのである。
https://www.hyouten.com/audio-library/novel/hatetookioka

◎「TSUTAYA 2021年 年間ランキング」が発表された。書籍綜合ランキングのベスト10は次の通り。
1 宇佐見りん「推し、燃ゆ」河出書房新社
2 町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」中央公論新社
3 永松茂久「人は話し方が9割」すばる舎
4 アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」新潮社
5 両@リベ大学長「本当の自由を手に入れる お金の大学」朝日新聞出版
6 「星ひとみの天星術」幻冬舎
7 ひろゆき「1%の努力」ダイヤモンド社
8 チャーリー マッケジー「ぼく モグラ キツネ 馬」飛鳥新社
9 RINATY「りなてぃの一週間3500円献立」宝島社
10大野萌子「よけいな一言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」サンマーク出版
https://tsutaya.tsite.jp/news/store/41576253/
文庫綜合ベスト10は次の通り。
1 東野圭吾「沈黙のパレード」文藝春秋
2 ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」新潮社
3 村崎羯諦「余命3000文字」小学館
4 湊かなえ「未来」双葉社
5 瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」文藝春秋
6 辻村深月「かがみの孤城」ポプラ社
7 中山七里「護られなかった者たちへ」宝島社
8 東野圭吾「マスカレード・ナイト」集英社
9 東野圭吾「魔力の胎動」KADOKAWA
10 柳美里「JR上野駅公園口」河出書房新社
https://tsutaya.tsite.jp/news/store/41576254/

◎東京創元社は、2022年2月に「創元文芸文庫」を創刊する。記念すべき創刊第一弾として凪良ゆうの「流浪の月」を文庫化する。3月には古内一絵の「キネマトグラフィカ」、4月には町田そのこの「うつくしが丘の不幸の家」を刊行する予定だそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000009527.html

◎「すばる文学賞」の講評で選考委員の奥泉光は、こう胸を張っている。
《本年は例年以上に水準の高い、素晴らしい作品が集まったと感じました。その中でも受賞作、そして佳作の二作品はいずれも強烈なインパクトがあり、傑作と呼んで然るべき二本だと思います。》
https://www.bungei.shueisha.co.jp/news/yonshou2021/
永井みみの「ミシンと金魚」 が芥川賞の候補となることは間違いあるまい。

◎毎日新聞は12月13日付で元「サンデー毎日」編集長による山田道子経済プレミア「メディア万華鏡 没後40年『向田邦子の手料理』改めて魅力を考えた」を掲載している。
《私は、この本は「手料理」と銘打っているが「家庭料理」ではないところがミソだと思う。「ザーサイ……」しかり、載っている料理は独身女性が酒を楽しむため、自宅に人を招いてもてなすための料理なのだ。》
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20211209/biz/00m/020/021000c

◎大佛次郎賞は堀川惠子の「暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ」(講談社)に決まった。
https://mainichi.jp/articles/20211214/ddm/012/040/158000c
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20211213-OYT1T50251/

◎オトバンクは「audiobook.jp」 2021年の年間ベストセラーを発表した。
1位  『完訳 7つの習慣』ナレーター:茶川亜郎 FCEパブリッシング(キングベアー出版)
2位  『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』ナレーター:大川透、いとうさとる、渕上舞、高井舞香、浅科准平、高槻陽一、佐東充、瀬戸歩、藤原聖侑 文響社
3位  『人は話し方が9割』ナレーター:柳よしひこ すばる舎
4位  『パーソナル・グローバリゼーション 世界と働くために知っておきたい毎日の習慣と5つのツール 改訂版』ナレーター:真田新三 幻冬舎
5位  『世界最高の話し方――1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた! 「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』ナレーター:北林きく子 東洋経済新報社
6位  『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』ナレーター:小林範雄、市村徹 ダイヤモンド社
7位  『1%の努力』ナレーター:海老沢潮 ダイヤモンド社
8位  『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』ナレーター:やがら純子 プレジデント社
9位  『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』ナレーター:渡辺博之 誠信書房
10位  『人新世の「資本論」』ナレーター:市村徹 集英社
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000034798.html

◎司馬遼太郎賞は京都大人文科学研究所教授・石川禎浩の「中国共産党、その百年」(筑摩書房)に決まった。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15144003.html

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マスコミ・広告業界の契約法人に配信されているクローズドなデイリーメールマガジン「文徒」をオープン化する試み。配信されるメールのうち、出版・…

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