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生きるテンポ

ここ最近、ありがたいことに仕事が増え、忙しい日々を過ごしていた。


自分の夢で、憧れで、好きで始めた「書く」という仕事。

自分の文章が誰かの目に留まって、褒めてもらえて、それでお金をいただける。文章を書いてほしいと言ってもらえる。

そんな幸せなことが現実になるなんて、昨年の今頃は考えたこともなかった。


でも、幸せな現実を手に入れたはずなのに、ここ最近は正直苦しかった。

やらなきゃいけないことが山積みで、その現実を目の当たりにするだけで、プレッシャーで押しつぶされそうになる。

やってもやっても次のタスクが見えてくる。

終わりが見えないことが不安で、「もう休みたい」という自分からのメッセージを無視して仕事を続けていたら、書くことができなくなってしまった。

書きたくない。でも書かなきゃいけない。

不安と焦りで全然集中することもできなくて、今ある全部を捨ててしまいたい気持ちにもなった。



正直布団の中からでるのもしんどい気持ちではあったけど、なんとなく外に出たほうがいいような気がして、財布と家の鍵だけを持って朝散歩に出かけた。


天気は雲一つない青空。

道路沿いに植えられているイチョウや桜の木にはまだ葉っぱが残っている。空の青とのコントラストに、目が喜んでいるのを感じる。

公園のプラタナスの葉が、朝日を浴びて透けているのをみて、自分も同じだけ太陽からのエネルギーをもらっているんだな、と気づく。

枯葉が舞う様子、乾燥した木の葉が触れ合う音を聞いて、今日いまここで吹いている風を知る。


歩いているうちに、涙があふれてきた。

わたしは、こんなふうに歩くようにしか、生きていけないんだ。

自分の心が発していたメッセージの意味がようやく分かって、ほっとした涙だった。


公務員時代もそうだったけど、猛烈なスピードで仕事をしようとすると、その時は大丈夫でも、後から必ず反動が来る。

一見自分でも焦るくらいゆっくりになってしまうけど、散歩するくらいのペースで、コツコツ進めていく方が、結果としてちゃんと成果を出せるし、自分にも優しい。

自分が受けられる仕事の量を把握するのも大切だけど、自分にとって心地いいペースを知ることもすごく大事だったんだな、とわかった。



私はたぶん、人と比べてものごとから受け取る刺激の量がとても多い。

普通の人と同じように過ごしていると、刺激に埋もれて、自分自身の気持ちや想いが見えなくなってしまう。

だから、ちゃんと自分一人と向き合える時間をちゃんと確保しなきゃいけない。

埋もれた自分を探して、見つけて、ちゃんと話を聞く。

忙しい時こそ、そうやって自分を整える。


私のライター人生は始まったばかり。

もしかしたら、これからもっと忙しくなっていくかもしれない。

もしそうなったとしても、今日感じたことを忘れずに、ちゃんと自分を守ってあげられるようにしたい。

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