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文章の書き方:第29回 テーマがなければ自分で作れ ―― テーマを設定する

読書感想文でも修学旅行の感想文でも、「感想を書け」と言われても困る人も多いと思います。

文章を書きやすくするための方法を一つご紹介します。

それは、テーマを設定することです。

私は、大学に入るまで特に書くことに興味を持ったことはなく――日記を数ヶ月間、書いた記憶はあります――どちらかと言うとなるべく早く片付けてしまいたいというタイプの人間でした。

作文でも小論文でもあまり深く質を追求することはなく、必要な文字数に達して、相応の点数なり評価なりがもらえればそれでいいと思っていました。

小論文に関していうと、高校時代に学校を通じて受けた通信制の小論文テストで一度高い評価を受けたことがあります。担任の先生がクラス全員の前でその小論文で高評価をもらった生徒の名前を順に読み上げ、それでいい気分になったことはあります。
その時、なぜか一度もしゃべったこともない、少し不良っぽいところがあるクラスメートのM君に私の書いた小論文を見せてくれと言われ、差し出すと「オー○○君すげー」というようなリアクションをもらったことを覚えています。
私以外にも評価が高いクラスメートはいましたが、なぜか(席が後ろのほうで若干近かったことはありますが)、私と別の友だちがいるところにつかつか歩いてきて、そのような言葉を不意に投げかけてくれました。そばにいた私の友だち2人もあまりに以外で面食らっていたように見えました。

しかし大学のレポートでは、高校の小論文とは比べ物にならないほどの文字数が要求される課題もあり、辟易させられることもありました。

そうはいっても、文学部でしたし、文学部の学生が書かないで、書けないでどうするんだという話です――文学部だから皆、文章を書くのがうまいというわけではありませんが。

大学2年の後期だったと思いますが、アメリカ文学の作品を読み感想を書けという課題がありました。

授業中と授業の合間を縫ってルーズリーフに感想の下書きを書いていると、ふと「いくらでも書ける」と感じる瞬間がありました。

その課題に手をつける前は特に意識していなかったのですが、テーマを設定すれば書きやすいんじゃないかということに気づきました。

そのときに私が設定したテーマは「犠牲」でした。

詳細は省きますが、作品を読んでいて、「主人公が払った犠牲は大きかったなー、色んな犠牲があったなー」と感じて、どんな犠牲があったかを一つ一つ取り上げて、それについて分析なり考察なりを書いていってみようと思ったのです。

この、当時の自分自身にとって実験的な取り組みが功を奏し、長い文章を作り上げることに成功しました。

あらかじめテーマが設定されてる課題もありますが、テーマがなければ自分で作れってことですね。


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