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「ペニー・ベンジャミンって誰?」女優ジェニファー・コネリー愛を語る。其の④『砂と霧の家』『ブラッド・ダイヤモンド』【映画レビュー】

ジェニコ愛を語る第4弾。
3弾で終わるつもりが、まだ続けちゃいます。
『トップガン マーヴェリック』のジェニコを観て、改めてジェニコの良きところを振り返る。

Q:あなたのキャラクター、ペニー・ベンジャミンについて教えていただけますか。
ジェニコ:彼女はマーヴェリックのことを知っている人物です。彼の過去に存在する人なんです。何年もの間、お互いの人生に現れたり立ち去ったりしている。私は彼女のことが好き。彼女の強さ、自立心、スピリットが好き。彼と一緒にいる彼女の姿が好き。それに彼女はとても楽観的な性格なんです。それも好きですね。
Q:あなたとトムは、80年代からこのレベルの大作に出演していますね。あなたのプロセスは彼と比べてどうですか?
ジェニコ:私はリサーチが好きなんです。撮影に取り掛かる前に、キャラクターについて考えたりする時間が好きなんです。たとえそれが実際的なリサーチではなく、もっと独創的な、クリエイティブな作業でもね。そのプロセスが好き。私はかなり勤勉で一生懸命働くタイプだと思います。それは愛から来ているんです。何年経っても、この仕事をすることに幸せを感じているし、情熱も感じている。全ての瞬間がチャンスだと思える。何事も当たり前だと思わないようにしている。そういうところが、私たちは共通していると思う。ただ、トムは別の次元にいるように感じられますけどね。

FRONTROW編集部

ジェニコ(勝手に命名)愛を語る。
本名ジェニファー・リン・コネリー 1970年12月12日生まれ(51歳)ニューヨーク州出身。
アート系の名門校、セント・アンズ・スクール卒業後、1988年イェール大学に進学して英文学と演劇学を学ぶ。2年後、スタンフォード大学に転入するも、卒業には至らずご両親に薦められ俳優業に専念。英、仏、独、伊語を話す才女。趣味は、数学。

美しさも然ることながら知性も兼ね備えている。加えて好奇心旺盛、演技に関しては、若いころからアグレッシブで、様々なチャレンジ、経験を活かし、幅を広げていっている印象だ。俳優にとって好奇心は必要不可欠であろう。

ただ、俳優業に本腰を入れる前(学生時代)は、
ジェニコ曰く
「社交的でいることや、たくさん寝たり、たくさん食べたりすることにあまり関心のない、真面目な学生だった」この頃はまだベジタリアンであった?(のちに長男カイ君を妊娠中に肉を食べていたらしい)
「本当にオタク気質で、一日のほとんどの時間を、24時間開いている法科大学院の図書館で過ごしていて、授業には出ていなかった」

『ラビリンス/魔王の迷宮』出演時のことをのちのインタビューで
懐かしむように語っている。

『ラビリンス/魔王の迷宮』デビッド・ボウイとジェニコ

「正直言うとデヴィッド・ボウイと共演するということがどんなに大変なことなのか、あの頃の私はまだ14歳の少女で、あまりよく分かっていなかったの。でも、今思えばそれがかえって良かったのかもしれないと思っているわ。彼はユーモアたっぷりの優雅な人で、一緒にいてとても心地の良い人だったことを今でも鮮明に覚えているわ。とにかく非の打ちどころがないほど素晴らしい人で、映画共演後も私は文句なく彼の音楽の大ファンになってしまったというわけなの。」

Words © Suzanne Baum / OK! Magazine

映画界に戻ったジェニコは、演技することにのめり込んでいった。

「幅広い役柄によって演技が培われ、今の私を形作った。今後、個性の違う作品で様々な役を楽しみたい」

asahi.com

主な出演作品

1982年「Tales of the Unexpected(TVドラマ)」
1984年「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」→ジェニコ愛①
1985年「フェノミナ」→ジェニコ愛①
   「ジェニファーの恋愛同盟」
1986年「ラビリンス/魔界の迷宮」→ジェニコ愛①
1988年「ダルク家の三姉妹」
   「エトワール」
1990年「ホットスポット」→ジェニコ愛②
1991年「恋の時給は4ドル44セント」→ジェニコ愛②
   「ロケッティア」→ジェニコ愛②
1992年「ハート・オブ・ジャスティス(テレビ映画)」
1994年「愛の奴隷」→ジェニコ愛②
1995年「ハイヤー・ラーニング」
1996年「狼たちの街」→ジェニコ愛②
   「誘惑の恋人たち」
1997年「秘密の絆」  
1998年「ダークシティ」→ジェニコ愛②
2000年「レクイエム・フォー・ドリーム」→ジェニコ愛③
   「ポロック2人だけのアトリエ」    
   「ウェイキング・デッド(日本未公開)」
2001年「ビューティフル・マインド」→ジェニコ愛③
2003年「砂と霧の家
   「ハルク」
2005年「ダーク・ウォーター」
2006年「ブラッド・ダイヤモンド
   「リトル・チルドレン」
2007年「帰らない日々」
2008年「地球が静止する日」
   「インハーク/魔法の声(日本未公開)」
2009年「そんな彼なら捨てちゃえば?」
   「9 ~9番目の奇妙な人形~」
   「クリエイション ダーウィンの幻想」
2010年「バージニア その町の秘密」
2011年「僕が結婚を決めたワケ」
   「ピアーズ・ブロスナン サルベーション」
2012年「ハッピーエンドが書けるまで」
2014年「ニューヨーク冬物語」
   「ノア 約束の舟」
   「シェルター(日本未公開)(ベタニー初監督作品)」
2016年「アメリカン・バーニング」
2017年「オンリー・ザ・ブレイブ」
   「スパイダーマン/ホームカミング(声の出演)」
2018年「アリータ/バトル・エンジェル」
2020年「スノーピアサー(TVドラマ)」
2022年「トップガン マーヴェリック」

最新作『バッド・ビヘイビア(Bad Behaviour)(原題)』出演決定。

007の「Q」役ベン・ウィショー

ジェーン・カンピオン監督(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)の娘である豪女優アリス・イングラード(「ジンジャーの朝 さよならわたしが愛した世界」)が長編初監督、脚本を手がける新作「Bad Behavior(原題)」に、ジェニファー・コネリーとベン・ウィショーが主演することがわかった。  米Deadlineによれば、イングラートが出演も兼ねる本作は、元子役のルーシー(コネリー)が宗教指導者イーロン(ウィショー)の保養地でスピリチャルな気づきを得ながら、スタントパフォーマーの娘ディラン(イングラート)との衝突が絶えない関係を修復しようとするダークコメディ。デズレー・アームストロングとモリー・ハラムがプロデュース、ステファン・ブラウンが製作総指揮を務め、ニュージーランドで撮影が行われるようだ。

映画.com

日本公開はあるだろうか、詳細を楽しみに待ちたい。



『砂と霧の家』(2003)

★★★★★(ジェニコ度★★★★★)
アメリカ映画
監督ヴァディム・パールマン
ベン・キングズレー
ショーレ・アグダシュルー
ロン・エルダード

第76回アカデミー賞
主演男優賞ノミネート(ベン・キングズレー)、助演女優賞受賞ノミネート(ショーレ・アグダシュルー)、作曲賞ノミネート(ジェームズ・ホーナー)。
第19回インディペンデント・スピリット賞
助演女優賞受賞(ショーレ・アグダシュルー)、主演男優賞ノミネート(ベン・キングズレー)
第9回放送映画批評家協会賞
主演男優賞ノミネート(ベン・キングズレー)、主演女優賞ノミネート(ジェニコ)。
ゴールデン・サテライト賞
主演女優賞ノミネート(ジェニコ)。
ニューヨーク映画批評家協会賞
助演女優賞受賞(ショーレ・アグダシュルー)
ロサンゼルス映画批評家協会賞
助演女優賞受賞(ショーレ・アグダシュルー)
他多数。

誰も悪くない。
歯車の齟齬により生まれた悲劇。
キャシーとベラーニ、一軒の家をめぐりぶつかり合う二人。ジェニコファンだから、キャシーに肩入れして観ようとしたが、そうはならなかった。二人の気持ちが理解できる。故に観ていて辛く、歯痒いまま話が進み、部外者登場でより絡まっていく。負の連鎖。
「家」は単なる入れ物。真に守りたかったもの、欲したものは「家族」と気づくが、物語は悲劇へ転がり始める。
もしもキャシーの結婚生活がうまくいっていれば…?
もしもベラーニが家を購入しなかったら…?
もしも警官が思慮ある行動ができていれば…?
もしもがないのが人生、後悔先に立たず。だからこそ相手を理解し調和を図ろうとするが、後悔の無い人生もまた無いであろう。ニンゲンだもの。

「彼女は傷ついた鳥だ。家に迷い込んだ鳥は天使だと言われている。 神の使い だ。」ハッピーエンドは目の前にあったはず。

求めたものは、砂のように脆く、近づくほどに見えない霧のように儚いもの。人間の醜さ、脆さ、善意と悪意。
その選択しかなかったのか、鑑賞後は虚無感に包まれる。
感動ではない涙が、辛い。

俳優陣が素晴らしい。全編に抑えた演技でのラストの激高 ベン・キングスレーの真骨頂。ショーレ・アグダシュルーは強さを秘めたベラーニの妻を自然な演技で魅せる。
ジェニコも素晴らしく、キャリアハイとも言える熱演。陰りのある姿が一層美しさを際立たせる。荒んでいるジェニコ、哀愁あり。
『ダークシティ』『レクイエム・フォー・ドリーム』に続き三たび海辺のテラスシーンあり。
鬱映画として名高い本作品だが、見ごたえある名作。


『ブラッド・ダイヤモンド』(2006)

★★★★★(ジェニコ度★★★★★)
アメリカ映画
監督エドワード・ズウィック
レオナルド・ディカプリオ
ジャイモン・フンスー

第79回アカデミー賞
主演男優賞ノミネート(レオナルド・ディカプリオ)、助演男優賞ノミネート(ジャイモン・フンスー)、音響編集賞、録音賞、編集賞ノミネート。
第64回ゴールデン・グローブ賞
主演男優賞(ドラマ部門)ノミネート(レオナルド・ディカプリオ)。
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞
助演男優賞受賞(ジャイモン・フンスー)
他多数。

『ラスト・サムライ』(2003)を撮ったエドワード・ズウィック監督作品。アフリカ・シエラレオネの内戦 「ブラッド・ダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)」を巡るサスペンス。
紛争の先にあるのは、古くは象牙、ゴム、金、石油、映画ではダイヤモンドである。無自覚のまま求める先進国の富裕層。搾取する側、される側。人間の欲望が生み出した戦争。
親を殺され、攫われ、恐怖を植え付けられ、時にクスリと酒を与えられ、洗脳されて兵士にされていく10歳にも満たない子供達。小さな体で機関銃を携えて同じ民族を虐殺していく。美しいダイヤモンドに隠された闇。

ダイヤの密売に手を染める元傭兵のアーチャー、家族と引き離され紛争に巻き込まれていく漁師のソロモン、紛争ダイヤモンドの闇を追うジャーナリストのマディー。三人が出会ったことによるケミストリ。影響しあいそれぞれの目的に向かって物語は一気に転がり始める。

 アーチャーが絞り出す「時々考える 神はひとの行為を赦すだろうか、
でもとうの昔に神はこの地を見捨てている」

誰かが言った「人間は一度、滅べばいい」
ウクライナ関連のニュース。戦争は他の地域でも今も起きているのだろう。
双方がそれぞれの正義の下戦っている。

「婚約指輪は給料の3か月分」デビアス社がモデルか?紛争ダイヤモンドについては一定の規制が設けられたようだが、欲望はレアメタルに姿を変え、今もどこかで争いは起きている。人間の欲望が生み出す戦争という悲劇。消費者も無関係でなく傍観者ではいられない。
問題提起しつつエンタメとしても魅せてくれる傑作。今観るべき作品。
TIA(This is Africa) ! Just a Human!

アーチャーの血もアフリカの赤い大地に染みていく。

このシーン、何回も観てしまう…。

三人の演技が素晴らしい。
ソロモン演じるはジャイモン・フンスー(『グラディエーター』(2000)で奴隷ジュバ演)。引き離された家族を取り戻そうと奔走する父親を熱演。愚直で力強いいい表情をしている。アフリカ人がアフリカ人を演じアフリカで撮影したのは史上初らしい。アカデミー賞助演男優賞ノミネート。

アーチャー演じるはレオナルド・ディカプリオ。レオ様は同年撮った『ディパーテッド』ではなく本作品でアカデミー賞主演男優賞ノミネート。(因みに『ディパーテッド』は作品賞を受賞)
銃弾飛び交う中を駆けずり回り、泥まみれ。無精ひげで荒々しい野性味あふれるレオ様。時折見せる憂いの表情。アーチャーの持つ葛藤を見事に表現。
ワイルド・レオ様ハマり役だ。

ジェニコ:これまでの彼の作品、特に、ここ数年の彼の作品を観て、本当に素晴らしい俳優さんだと思っておりました。私の期待度も大変高かったのです。根本的に、彼は素晴らしい、そして才能豊かな俳優さんだということはわかっております。けれども、今回の彼は、ダニー・アーチャーに息を吹き込むことに見事に成功しました。アクセントから仕草に至るまで、本当に、まさにそこに、元傭兵で密輸業者であるダニー・アーチャーが存在していることを私は目の当たりにしたわけですが、ただ、私がよく知らなかったことは、人間としての彼だったんです。ですから、今回、私が発見したことというのは、彼がとても優しいということです。それは、私としても大変な驚きでした。俳優としてもとても優しい、思いやりがあるんですね。それは特に、撮影中、撮影前もそうなんですけれども、何度も何度もリハーサルをしてくれて……シーンをより良いものにするために、どんなことでも努力を惜しまない。そういう俳優さんであると私は実感いたしました。そして、彼のアプローチというのは、我が儘ではないわけです。まわりのことを考えて、とにかくこの物語を一番良い形で伝えたいということを考えながら仕事をしていく、演技していく俳優さんだということを実感いたしました。

CINEMA WERDE

「熱追跡ミサイルのマディー」ジェニコ演じるキャラクターの中でベスト3に入るかも。強く優しく賢くて美しい。いいなーマディー。
「男を待つ側になるなんて…一緒に…」少しごねてみせるマディー。ラブシーンなど無いのだが、二人の間に存在する愛が確かに見えた。同情ではないマディーの想い。はじめは反発していた二人だが徐々に惹かれ合い縮まっていくいい距離感。シリアスな内容にいい塩梅。
後ろ向きに手を振るマディ―。クライマックスの涙に続く。


ジェニコ愛を語る第5弾(予定)
『リトル・チルドレン』(2006)
『そんな彼なら捨てちゃえば?』(2009)
【映画デビュー】へ続く。
 

                    (text by 電気羊は夢を見た)



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