「ペニー・ベンジャミンって誰?」女優ジェニファー・コネリー愛を語る。其の④『砂と霧の家』『ブラッド・ダイヤモンド』【映画レビュー】
ジェニコ愛を語る第4弾。
3弾で終わるつもりが、まだ続けちゃいます。
『トップガン マーヴェリック』のジェニコを観て、改めてジェニコの良きところを振り返る。
ジェニコ(勝手に命名)愛を語る。
本名ジェニファー・リン・コネリー 1970年12月12日生まれ(51歳)ニューヨーク州出身。
アート系の名門校、セント・アンズ・スクール卒業後、1988年イェール大学に進学して英文学と演劇学を学ぶ。2年後、スタンフォード大学に転入するも、卒業には至らずご両親に薦められ俳優業に専念。英、仏、独、伊語を話す才女。趣味は、数学。
美しさも然ることながら知性も兼ね備えている。加えて好奇心旺盛、演技に関しては、若いころからアグレッシブで、様々なチャレンジ、経験を活かし、幅を広げていっている印象だ。俳優にとって好奇心は必要不可欠であろう。
ただ、俳優業に本腰を入れる前(学生時代)は、
ジェニコ曰く
「社交的でいることや、たくさん寝たり、たくさん食べたりすることにあまり関心のない、真面目な学生だった」この頃はまだベジタリアンであった?(のちに長男カイ君を妊娠中に肉を食べていたらしい)
「本当にオタク気質で、一日のほとんどの時間を、24時間開いている法科大学院の図書館で過ごしていて、授業には出ていなかった」
『ラビリンス/魔王の迷宮』出演時のことをのちのインタビューで
懐かしむように語っている。
映画界に戻ったジェニコは、演技することにのめり込んでいった。
主な出演作品
最新作『バッド・ビヘイビア(Bad Behaviour)(原題)』出演決定。
日本公開はあるだろうか、詳細を楽しみに待ちたい。
『砂と霧の家』(2003)
★★★★★(ジェニコ度★★★★★)
アメリカ映画
監督ヴァディム・パールマン
ベン・キングズレー
ショーレ・アグダシュルー
ロン・エルダード
誰も悪くない。
歯車の齟齬により生まれた悲劇。
キャシーとベラーニ、一軒の家をめぐりぶつかり合う二人。ジェニコファンだから、キャシーに肩入れして観ようとしたが、そうはならなかった。二人の気持ちが理解できる。故に観ていて辛く、歯痒いまま話が進み、部外者登場でより絡まっていく。負の連鎖。
「家」は単なる入れ物。真に守りたかったもの、欲したものは「家族」と気づくが、物語は悲劇へ転がり始める。
もしもキャシーの結婚生活がうまくいっていれば…?
もしもベラーニが家を購入しなかったら…?
もしも警官が思慮ある行動ができていれば…?
もしもがないのが人生、後悔先に立たず。だからこそ相手を理解し調和を図ろうとするが、後悔の無い人生もまた無いであろう。ニンゲンだもの。
「彼女は傷ついた鳥だ。家に迷い込んだ鳥は天使だと言われている。 神の使い だ。」ハッピーエンドは目の前にあったはず。
求めたものは、砂のように脆く、近づくほどに見えない霧のように儚いもの。人間の醜さ、脆さ、善意と悪意。
その選択しかなかったのか、鑑賞後は虚無感に包まれる。
感動ではない涙が、辛い。
俳優陣が素晴らしい。全編に抑えた演技でのラストの激高 ベン・キングスレーの真骨頂。ショーレ・アグダシュルーは強さを秘めたベラーニの妻を自然な演技で魅せる。
ジェニコも素晴らしく、キャリアハイとも言える熱演。陰りのある姿が一層美しさを際立たせる。荒んでいるジェニコ、哀愁あり。
『ダークシティ』『レクイエム・フォー・ドリーム』に続き三たび海辺のテラスシーンあり。
鬱映画として名高い本作品だが、見ごたえある名作。
『ブラッド・ダイヤモンド』(2006)
★★★★★(ジェニコ度★★★★★)
アメリカ映画
監督エドワード・ズウィック
レオナルド・ディカプリオ
ジャイモン・フンスー
『ラスト・サムライ』(2003)を撮ったエドワード・ズウィック監督作品。アフリカ・シエラレオネの内戦 「ブラッド・ダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)」を巡るサスペンス。
紛争の先にあるのは、古くは象牙、ゴム、金、石油、映画ではダイヤモンドである。無自覚のまま求める先進国の富裕層。搾取する側、される側。人間の欲望が生み出した戦争。
親を殺され、攫われ、恐怖を植え付けられ、時にクスリと酒を与えられ、洗脳されて兵士にされていく10歳にも満たない子供達。小さな体で機関銃を携えて同じ民族を虐殺していく。美しいダイヤモンドに隠された闇。
ダイヤの密売に手を染める元傭兵のアーチャー、家族と引き離され紛争に巻き込まれていく漁師のソロモン、紛争ダイヤモンドの闇を追うジャーナリストのマディー。三人が出会ったことによるケミストリ。影響しあいそれぞれの目的に向かって物語は一気に転がり始める。
アーチャーが絞り出す「時々考える 神はひとの行為を赦すだろうか、
でもとうの昔に神はこの地を見捨てている」
誰かが言った「人間は一度、滅べばいい」
ウクライナ関連のニュース。戦争は他の地域でも今も起きているのだろう。
双方がそれぞれの正義の下戦っている。
「婚約指輪は給料の3か月分」デビアス社がモデルか?紛争ダイヤモンドについては一定の規制が設けられたようだが、欲望はレアメタルに姿を変え、今もどこかで争いは起きている。人間の欲望が生み出す戦争という悲劇。消費者も無関係でなく傍観者ではいられない。
問題提起しつつエンタメとしても魅せてくれる傑作。今観るべき作品。
TIA(This is Africa) ! Just a Human!
アーチャーの血もアフリカの赤い大地に染みていく。
三人の演技が素晴らしい。
ソロモン演じるはジャイモン・フンスー(『グラディエーター』(2000)で奴隷ジュバ演)。引き離された家族を取り戻そうと奔走する父親を熱演。愚直で力強いいい表情をしている。アフリカ人がアフリカ人を演じアフリカで撮影したのは史上初らしい。アカデミー賞助演男優賞ノミネート。
アーチャー演じるはレオナルド・ディカプリオ。レオ様は同年撮った『ディパーテッド』ではなく本作品でアカデミー賞主演男優賞ノミネート。(因みに『ディパーテッド』は作品賞を受賞)
銃弾飛び交う中を駆けずり回り、泥まみれ。無精ひげで荒々しい野性味あふれるレオ様。時折見せる憂いの表情。アーチャーの持つ葛藤を見事に表現。
ワイルド・レオ様ハマり役だ。
「熱追跡ミサイルのマディー」ジェニコ演じるキャラクターの中でベスト3に入るかも。強く優しく賢くて美しい。いいなーマディー。
「男を待つ側になるなんて…一緒に…」少しごねてみせるマディー。ラブシーンなど無いのだが、二人の間に存在する愛が確かに見えた。同情ではないマディーの想い。はじめは反発していた二人だが徐々に惹かれ合い縮まっていくいい距離感。シリアスな内容にいい塩梅。
後ろ向きに手を振るマディ―。クライマックスの涙に続く。
ジェニコ愛を語る第5弾(予定)
『リトル・チルドレン』(2006)
『そんな彼なら捨てちゃえば?』(2009)
【映画デビュー】へ続く。
(text by 電気羊は夢を見た)
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