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「ペニー・ベンジャミンって誰?」女優ジェニファー・コネリー愛を語る。其の③復活・ジェニコ編『レクイエム・フォー・ドリーム』『ビューティフル・マインド』【映画レビュー】

決して順風満帆だったわけではないこれまでの女優人生を大きく三つに分けて
①   アイドル・ジェニコ
②   迷宮・ジェニコ
③   復活・ジェニコ
レビューと共に語りたい。

ジェニコ愛を語る第3弾。
『トップガン マーヴェリック』のジェニコを観て、改めてジェニコの良きところを振り返っているのだが、同時に自分自身が重ねてきた時間も振り返ることになっている。そんな思いにさせてくれた『トップガン マーヴェリック』に感謝。
14歳のジェニコを初めて見た時から38年。女優として大成し、結婚、出産を経験し、知命を迎えたジェニコ。それまでには当たり前だが、山あり谷あり
様々な出来事があったであろう。
そんな中、80年代映画の続編に登場。
まるで38年ぶりの中学校の同窓会で(当時淡い恋心を寄せていた)同級生に会ったような(いや知らんけど(笑)きっとそんな感じの)何とも不思議な感覚。勝手な妄想であるが。
同年代のジェニコをペニー・ベンジャミンに配したのはベストチョイスだ。
ジョセフ・コシンスキー監督が『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)の縁で推薦したのだろうか。

③復活・ジェニコ編

「復活」としたが、これは世間の認識が、90年代は低迷期であったというものに対して「復活」としたのだが、「②迷宮・ジェニコ編」にも書いたが、2000年に入り90年代の10年間が結実する。女優になるために必要な時間。
90年代は作品に恵まれず(鑑賞してみると良作多数なのだが)低迷していたように映ったのだろう。しかし2000年の『レクイエム・フォー・ドリーム』の迫真の演技を皮切りに、演技を認められるとともに賞レースに絡む名作にも次々出演していく。
「復活」改め、「開花」編の方がしっくりくる?


ジェニコ(勝手に命名)愛を語る。
本名ジェニファー・リン・コネリー 1970年12月12日生まれ(51歳)ニューヨーク州出身。身長は、169センチ。ファッションブランドの『バレンシアガ』『ルイヴィトン』や、化粧品ブランドの『レブロン』のモデルを務めた。PVにも多数出演。

ジョー・サトリアーニPV「Always with me, always with you」(1987)

ロイ・オービソンPV「I Drove All Night」(1992)
「ビバヒル」のブランドンことジェイソン・プリーストリーと共演のPV。必見。


1984年14歳 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(1984) で 映画デビュー。
1991年21歳 「ロケッティア」(1991)で共演のビル・キャンベルと婚約。 のち(1995)に解消。
1997年7月26歳 写真家デイビッド・ドゥガンとの間に長男(カイ)を未婚 の母として出産。
2003年32歳 「ビューティフル・マインド」(2001)で共演のポール・ベタ ニーと結婚。
2003年8月32歳 次男(ステラン)出産。
2011年5月40歳 長女(アグネス・ラーク)出産。


2000年30歳 「レクイエム・フォー・ドリーム」
       インディペンデント・スピリット賞助演女優賞ノミネート。
2001年31歳 「ビューティフル・マインド」
       アカデミー助演女優賞受賞。
        英国アカデミー賞助演女優賞受賞。
       ゴールデングローブ賞助演女優賞受賞。
       第7回放送映画批評家協会賞助演女優賞受賞。
2003年33歳 「砂と霧の家」
       第9回放送映画批評家協会賞主演女優賞ノミネート。
     ゴールデン・サテライト賞ノミネート。


『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)

★★★★★(ジェニコ度★★★★★)
アメリカ映画
監督ダーレン・アロノフスキー
音楽エン二オ・モリコーネ
エレン・バースティン
ジャレット・レト
マーロン・ウェイアンズ

第16回インディペンデント・スピリット賞
主演女優賞受賞(エレン・バースティン)
第73回アカデミー賞
主演女優賞ノミネート(エレン・バースティン)
第16回インディペンデント・スピリット賞
助演女優賞ノミネート(ジェニコ)
他多数。

のちに『ブラック・スワン』(2010)を撮るダーレン・アロノフスキー監督作品。クセが強い。
2009年にイギリスの映画雑誌「エンパイア」が発表した「落ち込む映画」ランキングで第1位に選ばれた。今敏の『パーフェクトブルー』(1997)の影響を受けたと明言している。
 
人は何かしらに依存しないと生きてはいけないのか。ここでは薬物なのだが、お金であったり、恋人、友人、息子、SEX、はたまた夢か。
ドラッグに溺れる理由もまた人それぞれだ。スタイリッシュな映像で幻覚を魅せ、堕ちていく。どこにでもいる夢を持った若者たち。
ドラッグによって魅せられた甘美な夢、前借した張りぼての幸せに代償を払わねばならなくなる。
夢を叶えるための手段であったドラッグは、いつしか目的にすり替わり、夢か現か、幻覚の中に救いを求め叶うことなく堕ちていく。その果てに得たものとは?救われて欲しいという祈りにも似た思い。ドキドキするハラハラする心臓をつかまれる。そして、結末に涙した。
ダーレン監督のドラッグに対する「怒り」を感じた。

ダーレン監督のクールでスタイリッシュでちょっとホラーな演出も然ることながら、何よりエレン・バースティン(『エクソシスト』(1973)の主人公の母親役で記憶している人も多いはず)の怪演だ。
リアルな狂気の演出で自分の母親を見るようにハラハラしてしまった。その演技はインディペンデント・スピリット賞主演女優賞受賞、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。納得だ。
ジェニコはインディペンデント・スピリット賞助演女優賞ノミネート。エレンの怪演に共鳴するが如く迫真の演技。ファンとしては目を覆いたくなるシーンも少なくなく、堕落していく様を時に激しく時に艶めかしく演じきった。 超絶可愛い前半とのギャップ!
『ラビリンス 魔界の迷宮』から15年、低迷期と言われた10年で培った演技力とこの凄惨な役柄を選んだ俳優としての覚悟。
凄い女優になったぞジェニコ。

ジャレット・レトも素晴らしいが、メソッド俳優としては比較的抑えめで、二人を引き立てていた。
高評価を付けていいものか、ドラッグは決して認められないし共感もできないが、手をだしてしまう人間の弱さ脆さ、堕ちていく悲惨さ、儚い夢、抜け出せぬ現実、徹して絶望的であるが傑作だと思う。


『ビューティフル・マインド』(2001)

★★★★★(ジェニコ度★★★★★)
アメリカ映画
監督ロン・ハワード
ラッセル・クロウ
エド・ハリス
ポール・ベタニー

第74回アカデミー賞
作品賞受賞、監督賞受賞(ロン・ハワード)、助演女優賞受賞(ジェニコ)、脚色賞受賞(アキヴァ・ゴールズマン)、主演男優賞ノミネート(ラッセル・クロウ)、作曲賞ノミネート(ジェームズ・ホーナー)。
第59回ゴールデングローブ賞
作品賞(ドラマ部門)受賞、主演男優賞受賞(ラッセル・クロウ)、助演女優賞受賞(ジェニコ)、脚本賞受賞(アキヴァ・ゴールズマン)、監督賞ノミネート(ロン・ハワード)、作曲賞ノミネート(ジェームズ・ホーナー)。
第7回放送映画批評家協会賞
作品賞受賞、監督賞受賞(ロン・ハワード)、主演男優賞受賞(ラッセル・クロウ)、助演女優賞受賞(ジェニコ)。
第55回英国アカデミー賞
主演男優賞受賞(ラッセル・クロウ)、助演女優賞受賞(ジェニコ)。
第8回全米映画俳優組合賞
主演男優賞受賞(ラッセル・クロウ)、主演女優賞ノミネート(ジェニコ)。
他多数。

名匠ロン・ハワード監督作品。
ノーベル経済学賞受賞の天才数学者ジョン・ナッシュの半生を描いている。実話をもとした伝記ものだが、脚色された部分も少なくないみたいだ。
ネタバレになるので多くは書けないが、難くなりそうなテーマなのだが、脚本が良く飽きさせない構成で巧い。暗号解読の演出は後世に受け継がれている。
テーマは「数学」と「愛」か。
登場人物の皆が魅力的で演じる俳優も皆素晴らしかった。
前半と後半の展開に賛否が分かれるかもしれないが、ドラマチックな人生で面白く、感動した。

ジェニコはアカデミー賞助演女優賞を見事受賞。当時、めちゃ喜んだし、受賞できるまでになったんだと感慨深かった。(プレゼンターのベニチオ・デル・トロに名前を呼ばれて、少しはにかむ表情を見せたのが可愛かったな)

『レクイエム・フォー・ドリーム』から一転、献身的で強く美しい妻アリシアを演じた。ジェニコの登場シーンが好き。何てことはないのだが、アリシアのキャラクターをナチュラルに体現しており、後半に続く意志の強さも伝わってきた。髪型は好みではなかったが(笑)。

共演のポール・ベタニーが伴侶となる。
ジェニコにとって特別な作品だろう。


ジェニコ愛を語る。第4弾
『砂と霧の家』(2003)
『ブラッド・ダイヤモンド』(2006)
映画レビューへ続く。

                    (text by 電気羊は夢を見た)


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