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特別企画:この夏に見たいスポーツ映画特集⑥『百円の恋』

監 督: 武正晴
主 演: 安藤サクラ
公 開:2014年12月 公開

日本のボクシング映画に名作は多い
『どついたるねん』『キッズ・リターン』『ケイコ 目を澄ませて』『春に散る』『あゝ荒野』『BLUE/ブルー』『アンダードッグ』等々…挙げればキリがない
そんな中 『百円の恋』をおススメする
ボクシング映画とカテゴライズするのは微妙だが

引きこもりで怠惰な生活を送る がさつで不愛想な
無職32歳の女 一子(安藤サクラ)
そんな一子も狩野(新井浩文)の前だけは乙女になる
しかし狩野はぶっきらぼうだ(こんな役やらせたら巧いのに
出てこれなくなって残念だ)
登場人物が皆クセツヨで 
誰のことも好きになれないが 憎み切れない 
現実ってそう むしろリアルに感じる

あるきっかけでボクシングを始めた一子
ラスト30分の一子=安藤サクラのカッコよさ
深夜のコンビニでのシャード―はしびれた
冒頭で弛んだ肉体をみせ 最後はボクサーの如く
引き締めたサクラ・アプローチは見事
「百円」の価値しかないと卑下する女は 何故闘うのか
最後に漏らす一子の言葉が すべてを物語っていた

”百円の恋に八円の愛”と唄う(当時消費税は8%)
クリープハイプの主題歌「百八円の恋」
尾崎世界観は唄う
終わったのは 始まったから
負けたのは 戦ってたから
別れたのは 出会えたから

誰かを好きになることも 消費税がかかっていて
百円の恋に八円の愛

もう見ての通り立ってるだけでやっとで
思い通りにならない事ばかりで
ぼやけた視界に微かに見えるのは
取ってつけたみたいな やっと見つけた居場所

涙なんて邪魔になるだけで
大事なものが 見えなくなるから
要らないのに 出てくるから
余計に 悔しくなる

痛い痛い居たい
なにをやってもうまくいかない
不器用な一子の生き様に 咽べ

                     (text by 電気羊は夢を見た)


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