マクドナルドが食べたい!
休日、仕事のストレスから逃れるため、彼は街の片隅に位置するマクドナルドを訪れた。
彼が足を運んだのは、通り過ぎられることの多い、あまり知られていない店舗だった。
そこには彼が求めていた静けさと落ち着きがあった。
久しぶりにマクドナルドの扉を開けると、彼の心はふわりと踊った。
彼は楽しそうにメニューを眺める。
チーズバーガー、テリタマ、フィレオフィッシュ……。
どれも美味しそうた。
散々悩んだ末、彼はビッグマックを注文した。
「480円です」
可愛らしい店員が、少し高い声で告げる。
その言葉は彼の耳を通り過き、胸に深く刺さった。
支払いをしようと財布を取り出そうとする。
が、財布が見当たらない。
彼は慌ててポケットを探ったが、手が虚空を掴むばかりだった。
……忘れてしまったのだ。
彼の心臓が激しく鼓動し始め、顔には焦りの表情が浮かんだ。
胸ポケット、ズボンのポケット、ショルダーバッグのなかを徹底的に探す。
ようやく数枚の小銭を見つけた彼は、胸を張ってこう言った。
「お釣りはいいいから」と。
316円。
全財産だ。
願わくば、素直に受け取ってほしい。
そう思いながら、恐る恐る店員を見た。
可愛らしかった店員は、素敵な笑顔で言った。
「いや、足りねーよ!」
〈了〉
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