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愛す人、愛される人

谷崎潤一郎の『痴人の愛』という作品を御存じだろうか。私は、この小説がかなり好きであり、女性にがっかりする度に、この小説を読む。 ちなみに、脱線するが、女性にがっ…

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自己の再構築

トルーマン・カポーティ氏の『冷血』(佐々田雅子訳、新潮文庫、2006)からの引用。 「ディックがバスルームのドアの外に立って番をしている間、おれは偵察に出ました。で…

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つれづれなるままな落書き

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飽きることと退屈であること

村上春樹氏の『海辺のカフカ(上)』(新潮文庫、2005)で面白い文章があった。 「この世界において、退屈でないものには人はすぐに飽きるし、飽きないものはだいたいにお…

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愛す人、愛される人

愛す人、愛される人

谷崎潤一郎の『痴人の愛』という作品を御存じだろうか。私は、この小説がかなり好きであり、女性にがっかりする度に、この小説を読む。

ちなみに、脱線するが、女性にがっかりしたときに読むべき私的お薦めベスト3を紹介する。

1.『痴人の愛』(谷崎純一郎著)
2.『グレート・ギャツビー』(スコット・フィッツジェラルド著)
3.『ティファニーで朝食を』(トルーマン・カポーティ著)

個人的にではあるが、これ

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自己の再構築

自己の再構築

トルーマン・カポーティ氏の『冷血』(佐々田雅子訳、新潮文庫、2006)からの引用。

「ディックがバスルームのドアの外に立って番をしている間、おれは偵察に出ました。で、女の子の部屋を探しまわって、ちっぽけな財布を見つけたんです――人形の財布みたいなのを。中には1ドル銀貨が入っていたんですが、なぜか、それを落っことして。銀貨は床を転がっていきました。転がって、椅子の下へ。おれは膝をつかなきゃならなか

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飽きることと退屈であること

飽きることと退屈であること

村上春樹氏の『海辺のカフカ(上)』(新潮文庫、2005)で面白い文章があった。

「この世界において、退屈でないものには人はすぐに飽きるし、飽きないものはだいたいにおいて退屈なものなのだ。そういうものなのだ。僕の人生には退屈する余裕はあっても、飽きているような余裕はない。」(p.235)

「飽きる」ことと「退屈である」ことには決定的な差がある。自粛要請が出てしまい、暇を持て余した大学生が徒然なる

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