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お母さん、あのね…

「お母さん、あのね、・・・」

母親にしがみついて頬に顔を寄せ、耳元で一生懸命に何かを話しかける幼子。子どもの、その愛らしい仕草と抱き上げる母親の穏やかな表情。

「ないしょ」1965年 セメント

伝えるのは、信じ切って母親に身を委ねる子どもの無垢な魂と我が子に寄せる母親の無償の愛の姿です。

長沼孝三先生は、度々親子像を制作していますが、そのどれもが象るのは、抱き合い、あるいは手を取り合い慈しむ母子の姿です。

それらは、気に留めなければ過ぎ去ってしまう、ごく当たり前の母子の姿ですが、そんな何気ない日常の母子の触れ合いにこそ、人間の本当の幸せや世界の平和の意味が潜んでいるのではないでしょうか。

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