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紅茶と蜂蜜
2020年11月10日 20:03
「落としましたよ」 アメ横通りを歩く私の肩をとんとんと叩いた人がいた。振り向くと、夏なのに黒いスーツに黒いネクタイをしめた、一見少年のように見える男の人が立っていた。「はい、これ」 それはねじだった。長さ三センチくらいで、頭に十字の穴が開いている、なんてことないねじだ。でもそんなねじ、心当たりはまるでない。 肩にかけているビジネスバッグには大事な資料が入っていて、私はいつもより過敏