弥富文次/ヤトミブンジ

93年東京生まれ。京都の大学を卒業。フリーランスでライターをしたのち、編集の仕事をする…

弥富文次/ヤトミブンジ

93年東京生まれ。京都の大学を卒業。フリーランスでライターをしたのち、編集の仕事をするようになり、現在はタウン誌『世田谷ライフ』の編集者。海外文学とジャズが好き。

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    暮らしの中で書きたくなった雑文を書いています。軽い気持ちでどうぞ。

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    社会との関わりの中で課題に思ったり疑問に思ったりしたことをエッセイにしています。

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今まで弥富が受けてきた仕事を紹介します

このページでは、フリーランスのライター・編集者として弥富が行ってきた仕事と、noteで公開している文章について紹介します。(この紹介文は2021年9月27日に更新しました。) 私はWeb記事の執筆を本業にしつつ、コンテンツの企画・編集や、メディアのコンセプト設計も引き受けています。 これまで扱かってきたテーマは大きく3つあります。1つ目は社会系、2つ目はビジネス系、そして3つ目は暮らし系です。それぞれについて下記でご紹介します。なお、制作実績については納品期間と単価を掲載

    • 線がつながる読書をしたくて、文学図鑑から海外文学の系譜をまとめてみた

      読書、特に小説を読むことについて、これまでは思いの向くままに気になった本を脈絡なく読んできた。でもそろそろ、過去の文学作品について何となくでも全体像を把握した方が良いような気がしていた。そして、点ではなく線がつながるような読書をしたいなと思った。 そこで、文学辞典や文学史を論じた本を参考にして、偉大なる過去の作品たちの網羅的な理解を試みた。 「世界文学大図鑑」で系譜をまとめてみる最初の手がかりとして、事典がとても役に立った。参考にしたのは三省堂の「世界文学大図鑑」。豊富な

      • 国道から離れ過ぎないくらいに遠くへ行く(新松田〜渋沢散歩)

        この間どこか遠くへ行きたくなって、でも今そんなには遠くに行けないので、どうしようかと思いました。それでGoogleマップを眺めて考えた結果、小田急線を下って知らない駅で降り、歩くことにしました。 商店街を抜けるGoogleマップを眺めて選んだのは新松田駅というところ。選んだ理由としては、大きな川があったからです。川には惹かれてしまいます。 駅を降りて、まず「酒匂川」という名前の大きな川を目指します。上流では日本酒醸造が盛んらしい。 大きな川を見て満足したので、渋沢駅の方

        • 仕事をする意味についてサン=テグジュペリ「人間の土地」を読んで考えた

          「星の王子さま」の作者として有名なフランス人作家サン=テグジュペリ(1900-1944)が、飛行機乗りの仕事を始めたのは26歳のときだった。第一次世界大戦後、大陸間で郵便物を送る郵便飛行サービスが誕生し、そのパイロットとして採用されたのだ。 当時、飛行機乗りは死と隣り合わせの職業だった。今と違ってGPSもないため、自分がいまどこを飛んでいるのかは勘と経験を頼りに推測するしかなかった。飛行機乗りたちは自分たちの操縦を惑わす雲や風や、不意に現れてくる高い山々を征服しようと戦って

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          「クララとお日さま」で走った電撃。カズオ・イシグロを読むときは「ドM気質」があると良い

          2021年に発表されたカズオ・イシグロの新作長編小説「クララとお日さま」を読んで、電撃が走った。それは、過去2作の長編小説「わたしを離さないで」「忘れられた巨人」からの布石とでも言うべき、カズオ・イシグロの思考の変遷が垣間見えたからだ。 本稿では「クララとお日さま」を読んで走った電撃についてと、カズオ・イシグロの小説世界の成り立ちやその魅力について語りたい。 ※まだ読んでいない方でも小説を読む楽しみを損なわれないよう、物語の内容には触れずに書きます。ただ、一部文章の引用を

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          映画「街の上で」を観て思うこと。私たちは「明日には死ぬかもしれないし」と言わなければ生きていけない

          2021年4月に公開された今泉力哉監督の映画「街の上で」を観た。下北沢の街を舞台に、そこで生きる人々の日常が描かれている映画だ。 「明日には死ぬかもしれないし」という言葉が頭に残った。自分も言ったことがある。「明日には死ぬかもしれないんだぜ」。他の人が言うのも聞いたことがある。なぜ私たちはその言葉を言うのか。「街の上で」を観て思うことを書く。 ※一部セリフを引用していますが、脳のデキがいまいちなため細部の言い回しがうろ覚えです…。違っていたらすみません。 ※物語の重要なシ

          映画「街の上で」を観て思うこと。私たちは「明日には死ぬかもしれないし」と言わなければ生きていけない

          何かが起これば(詩のような、日記のような)

          久しぶりにしっかりと働いた気がした日。なぜこんなにも時間が過ぎるのが、日が暮れるのが、1日が終わるのが早いのだろうかと思いながら、夜の商店街を歩いていた。

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          何かが起これば(詩のような、日記のような)

          ありふれていて、特別なもの

          金曜日の夜、青梅街道と中野通りの交差点のところにあるカフェに行くと、そこに様々な人生があるのが見て取れる。仕事帰りのスーツ姿のサラリーマンが本を読んでいる。家に帰る前に、1週間を終える前に、少しでも勉強しようとしているのだろう。

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          ありふれていて、特別なもの

          草原

          飢えた男はその地に足を踏み入れた。 長野の山に入り、登り続けること2時間。森を抜けると、見渡す限り平らな草原が現れた。足首の高さくらいまでの草が一面に茂っている。かなり開けた場所だが、人の手は入っていないようだ。歩を進めていくと、ところどころ動物たちの道らしきものがあるのが分かった。その部分だけ草が踏み倒されていて、地面の土がところどころ露わになっている。飢えた男はその道を歩いた。

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          「正しい」とはどういうことか 西研『哲学的思考 フッサール現象学の核心』を読んで考える

          あるときふと、「彼女はきちんとものを考える人だった」という1文が浮かびました。たぶん、村上春樹がどこかでそんなようなことを書いていたんだと思います。そして思いました。一体、「きちんと」とはどういうことなのだろう、と。 最近、「正しさ」ということについてよく考えていました。それは、何が正しいことなのか、まったく分からなくなってきたからです。背景には、毎日ツイッターでありとあらゆる意見を目にしていることがあると思います。 この記事を書いているのは2019年の10月なのですが、

          「正しい」とはどういうことか 西研『哲学的思考 フッサール現象学の核心』を読んで考える

          何度も引っ越しをしてしまうことについて

          おととい、いままでで5回目の引っ越しをしました。

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          「やりたいこと」なんて、なくてもいい

          「あなたのやりたいことは何ですか?」 大学生3年生のある初夏の日、サマーインターンのための面接で僕はこの質問をされた。

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          「やりたいこと」なんて、なくてもいい

          信濃町から六本木通りまで歩いた

          JR信濃町駅で降り、南に下って六本木通りまで行くことにした。道順はこんな感じ。 まず外苑東通りを下っていく。 道に黄色くなったいちょうの葉が落ちている。いまは木曜日のお昼前。同じ方向に歩くビジネスマン3人組がいるが、それ以外ほとんど歩いている人はいない。 左側に明治記念館があった。ご立派な建物だ。勝手に入ってよさそうだったので入ってみる。 日本最初の「天皇のダイニングホール」とあり、外国皇族を招いた晩餐会などが開かれた場所だ。いまではここで結婚式を挙げることもできるら

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          とらやの羊羹デザイン展

          とらや赤坂本店の地下1Fにギャラリーがあり、特別展をしていると聞いたので行ってきた。「羊羹デザイン展」というものらしい。 とらやの羊羹を切ると、そこに日本の風物詩をモチーフにした切り口が現れる。これは大正時代の絵図帳だ。 今回、この絵図帳に載っている羊羹デザイン450点が壁一面にずらりと展示されている。ひとつひとつにデザインの説明がついている。とてもじゃないが見切れない。 その中で「新夕虹」というデザインが目に止まった。 夕虹の翌日は晴天となることが多いんだ。朝虹と夕

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          メンヘラという言葉について

          メンヘラという言葉が苦手だ。誰かに向かって言うのも嫌だし、自分にも使わない。また、誰かが会話で「メンヘラ」という単語を言っているのを聞くのも好まない。でも、なぜメンヘラという言葉が苦手なのかを説明するのはとてもむずかしい。うまく説明しようとして失敗した経験が何回もある。 例えば以前、僕は「メンヘラいない説」を唱えていた。これはそのまま「メンヘラなんて、この世にいない」という説だ。 この説の根拠を誰かに話すとき、僕はまず尋ねる。 「そもそも、メンヘラって何だと思う?」 する

          メンヘラという言葉について

          紅くなったベニシダレ

          友達の家の庭にある樹が紅葉していた。 モミジにしてはなんか葉っぱの形が違う。モミジは手が5本くらいだが、それよりはいっぱいある。あと、葉っぱはかなりギザギザしている。 植物を同定するのにもGoogle先生が役に立つ。「モミジ 葉 ギザギザ」と調べて画像を見ると、この種はベニシダレと言って、ヤマモミジの園芸種らしい。 樹木の名前が分かると、またひとつ世界を制覇したようで嬉しい。 探検日:2018年11月29日

          紅くなったベニシダレ