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BUNGU SQUAD STORY #2『胎動』

この物語は、BUNGU SQUADというアナログゲームがどういう経緯で生まれて、どのように世界に羽ばたいていくかを、現在進行形で書き残していく自叙伝です。
#1はこちら

2018年11月29日。
嘘みたいな話だが、偶然にも“いい文具の日”に、「あらゆる文具を使ったゲームを作ればいいんだ!」という考えが浮かんだ。

が、意気揚々と取り掛かったものの、そんな簡単に作れるハズもなく、そこから幾つもボツになったゲームがあった。

“アイデアに価値は無い”と言われるように、その思いつきを形にして、世に出して、届けて、そして初めて価値が生まれる。
恐らく、同じように文具を使ったゲームを作ろうと考えた人はごまんといるだろう。

僕が知らないだけかもしれないが、ネットで調べた限りでは、小学生が休み時間に暇つぶしで遊ぶようなゲームしか見つからなかった。

ほとんどが、消しゴムを飛ばしたり、鉛筆を転がしたりするもの。

まだ何も浮かんでいないくせに、僕が作りたいゲームはそういうものではないのは確かだった。
鉛筆と消しゴムだけじゃなく、もっとあらゆる文具を使わないと意味が無かった。

あーでもないこーでもないと考えているうちに、記念すべき1つ目のゲームが生まれる。

まず最初に着想を得たのは、「リアル脱出ゲーム」からだった。

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✒︎  ボツ案①リアル脱出ゲーム風
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同年12月10日。
文具ゲーム開発を始めるその少し前に、「進撃の巨人」を題材にしたリアル脱出ゲームに参加した事があった。

ランダムに6人1組のチームが組まれて、制限時間内にテーブルの上に置かれた謎解きを、メンバーと力を併せてクリアするのを目指す。

この謎解き部分の所を、文具を使ってクリアするミッションにしたらどうだろう?と考えた。

今思えば、「いきなりそんなスケールのイベントから始めてどうする!」とツッコミ所満載なのだが、当時は大真面目だったのでその想いに免じて見逃して欲しい。

どんなミッションにするかが一番の鍵なわけど、知識や技術が必要になるものにしてしまうと遊べるプレイヤーが限定されてしまうので、謎解きと同じように閃きやアイデアによって突破できるものにしたかった。

そこで考えたのは、様々な動きをしているたくさんの人達が描かれた一枚の絵を使ったもの。
「ウォーリーをさがせ!」みたいな絵を想像してもらえるとわかりやすい。

この中の一部の人達はそれぞれ何かしらのトラブルを抱えている。
靴を片方無くしたとか、壁に落書きされて困ってるとか、ゴミが散乱しているとか。

それらを、例えばはさみで切って糊で貼ったり、消しゴムで消したり鉛筆で書き足したりして、その問題を解決するというゲームだった。


お察しの通り、これがまーーーったく面白くない(笑)

知人にやってもらった所、「だろうね」といった予定調和に何の楽しさもカタルシスも感じないとの事。

さんざん美辞麗句を並べておいて、所詮頭の中で描いたものでしかなかった。

鼻息荒くして自信満々に捻り出したこのゲームは、呆気なく粉砕してしまった。

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✒︎  ボツ案②ジオラマ作り
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同年12月12日。
次に考えたのは、文具と紙で作ったジオラマをスマホのカメラで撮って、アプリの加工機能を駆使すればそれっぽいのが作れるのでは?というアイデアだった。

これに関しては説明するまでも無く、その日のうちに自分でボツにした。
思っていた以上にクオリティーがショボかった。

上手い人がやればそれなりのものは作れたかもしれないが、それには相当なセンスと技術が必要になるため、あまり気楽に手を出せないし、そもそもゲームでさえなかった。

……やっぱりあらゆる文具を使ったゲームを作るなんて無茶なのかなぁと、僕はもうこの時点で半分くらい諦めそうになっていた。

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✒︎  そして“その瞬間”は突然訪れる
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たった2つボツになっただけではあるものの、僕は途方に暮れていた。
何も新しいアイデアが思い浮かばない。

そもそも、自分はゲームクリエイターでも何でもないので、ゲームの作り方に関してはズブの素人である。

そう考えると益々そのハードルの高さを思い知らされる。


そして──

同年12月16日。
“その瞬間”は突然やってきた。


BUNGU SQUAD STORY #3 へ続く〜

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