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BUNGU SQUAD STORY #3『産声』

この物語は、BUNGU SQUADというアナログゲームがどういう経緯で生まれて、どのように世界に羽ばたいていくかを、現在進行形で書き残していく自叙伝です。
#1はこちら

月並みな表現だが、“それ”は、降ってきたような感覚だった──。

文具を使ったゲームを作り始めて2週間余り。
2つの没案を横目に、途方に暮れていた頃。

何となく、まだ何のとっかかりも無い、ぼんやりと頭の中に浮かんでいる文具ゲームの、その名前を先に考えてみる事にした。

なぜそんな事を思ったのか。それは、少し前に会った友人との会話がフラッシュバックしていたのかもしれない。

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✒︎  “名前”という道しるべ
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2018年12月5日。
文具を使ったゲームを作ろうと思い立ってからまだ一週間も経っておらず、第一案を作るよりも前のこと。

僕は同い年の知人と、数年ぶりに会っていた。

お互いに近況報告をしている中で、
「そういえば最近面白い事を思いついた」と言って、僕は(この後途方に暮れる事も知らずに)意気揚々と文具ゲームを作ろうとしている事を話した。

その知人は興味津々に、「どんなゲーム?」と聞いてきたが、もちろんその時点ではまだ何のアイデアも無い。

その時に咄嗟に考えたのか、前から思いついていたのかは忘れたが、多分笑わせようとして、
「名前はPlay Stationery。略してプレステ(笑)」などと言っておどけていたのを覚えている。

すると知人が、
「最近はゲームもeスポーツって言ったりするから、bスポーツなんてどう?」と、対抗するように提案してくれた。(※文具のbだと思う)

「それいいね!」などと言って、僕たちはまたそれぞれの帰路についた。

──そんな会話を以前交わしていた事を、その日、ふと思い出したのだと思う。

(Bスポーツって感じでは無いかなぁ…。)

(どちらかというと、ブングーベリグーとか、ブングーファイブみたいな、かわいくてちょいダサのイメージなんだよなぁ…。)

僕は浴室で頭を洗いながら、そんな事を泡のようにブツブツと考えていた。

(……仮に、ブングーファイブという名前だとしたら、どんなゲームだろう?)


──すると、その瞬間。

堰を切ったように、ゲームのアイデアが一気に降り注いできた。

(ファイブっていう事は、、、

 5目並べで、、、

 トランプを使って手札を5枚にして、、、

 スートごとに文具を割り当てて、、、

 鉛筆と併せて5種類で、、、)

「5」という数字に引っ張られて、どんどん設定が肉付けされていく。

当然だが、この時点ではただの後付けの語呂合わせであって、ゲームの面白さには何の根拠も無い。

早速その日のうちに、知人とゲームをやってみた。

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✒︎  「ブングーファイブ」誕生
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それは、とんでもなく面白かった。

……いや、大きな手応えとか可能性を感じた、というのが正しいかもしれない。

初めてレゴブロックに触れた時のような、まだ見ぬ世界が果てしなく続いている感覚とでもいうだろうか。

今となってはそこから更に何段階もブラッシュアップされているが、既にゲームの雛形はここで完成している。

この時はボールペンと修正テープでやっていた
決まり手もまだ自由だった


ブングーファイブが生まれた瞬間。
僕は、「このゲームを育てて世界中に広める義務があるんだ!」と、思い込みも甚だしい使命感に駆られた。

親のエゴと言ってしまえばそれまでだが、このゲームが広まる事が、なぜか今の世界にとても必要な事のように思えた。

ゲームを作りたくて作ったのではなく、
文具を使いたくて作ったゲームだからこそ、
とても大事なメッセージが込められている気がした。

文具と、トランプと、紙があれば遊べる。
何も目新しい物は無く、何十年も前からあるような、何十年経っても残っているような、とても不思議な感覚になるゲームだった。

古さを感じさせないという事は、文化になる可能性があるという事。

そしてこの後、産声を上げたばかりのブングーファイブは、めくるめく物語を紡いでいく事になるのだった。


BUNGU SQUAD STORY #4 へ続く〜

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