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BUNGU SQUAD STORY #4『共鳴』

この物語は、BUNGU SQUADというアナログゲームがどういう経緯で生まれて、どのように世界に羽ばたいていくかを、現在進行形で書き残していく自叙伝です。
#1はこちら

試行錯誤の末に生まれたブングーファイブというゲームは、まさに授かったという気持ちだった。

元々ゲームクリエイターだったわけでもなく、ゲームが得意だったわけでも詳しいわけでもない。

ただ「文具を使いたい」という一心で、
自分が欲しい物がそこに無かったから、
自分で作る事にしただけで。

もし既にその欲求を満たせる場所があったなら、今この執筆をしているわけもなく、まさか、人生をかける程の存在になるなんて、ゲームを作ろうと思い立った時は考えもしなかった。

このゲームはそこから、日を追うごとにアップデートしていくのだが、ブングーファイブの礎を築いてくれた一人の、スズキくんという友人の事を語らないわけにはいかない。

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✒︎  スズキくんが残した功績
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ゲームを作った当時、僕は飲食店で働いていた。
そこに、数ヶ月前に新しく入って来たのがスズキくんで、歳が近かった事や好きなものが似ていた事もあり、僕らはすぐに仲良くなった。

休憩時間はいつも一緒に賄いを食べて、時々トランプで遊んだり、スマホのアプリゲーム「クラッシュロワイヤル」で対戦したりしていた。

思えば、それらは全部伏線になっていた事に今更ながら気づく。

例えば「ブングーファイブ」という名前からゲームを考えた時、すぐにトランプが浮かんだのは直近に遊んでいたからに違いないし、「クラッシュロワイヤル」のゲームのシステムからは、後に大きく影響を受ける事になる。
※それについては次回以降のエピソードで詳しく語るとする


ある時の休憩中のこと。

いつものように一緒に賄いを食べている時、ふと「実は最近、文房具を使った面白いゲームを作ったんだよね」と言うと、スズキくんはとても興味深く食いついてくれた。

是非やってみたい、と彼は言ってくれて、その次の出勤が重なった時に遊んでもらった。


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✒︎  かけがえの無い日々
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執筆している今から4年くらい前の話という事もあり、この時のスズキくんがどんなリアクションだったのか正直ぼんやりとしか覚えていない。

だけど、「面白い」と言ってくれた事だけは確かだった。

それから、休憩が一緒になる度にゲームをやってるうちに、彼の無類のゲーム好きも手伝って、たくさんアイデアをくれるようになった。

そのうち時間がいくらあっても足りず、しまいには仕事終わりに毎晩新宿に繰り出すようになる。

騒がしい大衆居酒屋の端っこの席で、安い酒と安いつまみを片手に、狭いテーブルに文具とトランプを広げて「あーでもないこーでもない」と試行錯誤していたのが、今でも鮮明に蘇ってくる。

店員さんには何度も怒られて、何度も店を追い出されては、また違う店に向かう繰り返しで、それはもう、何事にも変えられぬ楽しい日々だった。

そんなある日、確かネットでコンテストか何かを調べていた時に、「ゲームマーケット」というものがある事を知る。


『国内最大規模のアナログゲーム・テーブルゲーム・ボードゲームイベント』と謳うにふさわしい、東京ビッグサイトを数百のブースが埋め尽くすとんでもないビッグイベントだった。

ボードゲーム自体にも疎かったのもあり、こんなに盛り上がっている世界なのかと衝撃を受けた。

そして、2019春の開催が決まっていて、出展者の募集がまもなく締め切られようとしていた。
確か、申し込み期限まであと数日だったと思う。

何もよくわかっていなかったが、とにかくここに参加する事がなんだかとても必要な気がして、見切り発車で申し込んでみた。

──その2週間後、晴れて出展当選の報せが届いた。
5月25日、26日の2日間。
何も売るものは無い。

だが、ここに大きな旗を立てる事に意味があると思っていた。

その予感は的中し、そこからブングーファイブはまた大きく姿を変えていくのだった。


BUNGU SQUAD STORY #5へ続く〜

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