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BUNGU SQUAD STORY #5『転機』

この物語は、BUNGU SQUADというアナログゲームがどういう経緯で生まれて、どのように世界に羽ばたいていくかを、現在進行形で書き残していく自叙伝です。
#1はこちら

2019年1月14日。
5月に開催されるゲームマーケットへの出展当選の報せを受ける10日前の事。

僕にはどうしてもこのゲームを見てもらいたい人がいた。

大阪に住む、6個年上の従兄弟だ。

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✒︎  従兄弟がくれたきっかけ
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小さい頃からいつも一緒に遊んでくれていて、中学、高校、そして社会人になっても、定期的に予定を合わせてゲームをしたり朝まで喋ったりするような、同級生よりもずっと長く仲良くしている人だった。

従兄弟は、昔から博識で、どんな話題でも話す事が出来て、ゲームも得意でとても頭が良く、当然将棋や囲碁も強かった。

その従兄弟に、「ちょっと話したい事があるからいつ空いてる?」と連絡をしたのが、件の1月14日の事。

急な話でもあったので、そこから少し先の2月6日に、東京から日帰りで行く事にした。

ほとんど何も説明をせず、弾丸日程で大阪まで会いに来た事に、「何かただならぬ話があるに違いない」と感じていたようだった。

それがまさか文具を使ったゲームを開発した事だとは、さすがの従兄弟も予想だにしなかっただろう。

ゲームを作った経緯を伝えて、一度実際にプレイもしてもらったところ、一度遊んだだけで、「なるほど、よく出来てるし面白い」と言ってくれて嬉しかった。

その後、これからの展望やアイデアについてあれこれ話し込んでいた中で、このゲームが大きくアップデートするきっかけになる提案をしてくれた。

「このゲームは確かに面白い。でも覚える事も多いし、もしかしたらハマらない人もいるかもしれないから、これとは別のゲーム、例えば『ブングースリー』みたいな名前のゲームがあっても良いかもね。もしかしたら、そこで考えた事がブングーファイブの方に還元されるかもしれない。」

僕は、なるほど!と思い、東京に帰ってからすぐにスズキくんとそのゲームを作る事にした。

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✒︎  ブングースリーを考える
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ブングースリーというくらいだから、まずは“3”にちなんだルールにしようと決めた。
そうすると必然的に、

・マークを3つ繋げたら勝ち
・手札は3枚
・文具(=武ん具)は鉛筆を含めた3種類

となる。

ちなみに、本編ブングーファイブの方は、その当時10種類くらいの武ん具のスキルを考案していて(※後に精査されて絞られる)、そこから4つを選んでトランプのシンボル(♠︎♣︎♡♢)に割り当てていく。

2019/1/27時点のもの。今は無い物もある。

…だが、ブングースリーもここから好きな2つを選ぶという形にすると、相手が選んだ武ん具との相性によっては全く勝負にならない不安定さがあった。

色々な武ん具の組み合わせで試したが、中々これと言った形が定まらない。

その時既に、各スキルにはコストという概念が追加されていて、効果の強さによって使用する手札の枚数が違っていた。

これが、少し前のエピソードにも書いた「クラッシュ・ロワイヤル」というスマホゲームから受けた影響によるもの。

2019/2/7時点のもの。コストの概念が追加されている。

実はこの中で、ダントツでスキルが弱過ぎる武ん具がある。それが消しゴムだった。

「鉛筆で書かれた壁を消す」というスキルなのだが、これを使うケースが本当に少ないため、消しゴムをデッキに入れるメリットが全く無かった。

でも、文具の中で消しゴムといえば鉛筆の相棒と言ってもいいくらいメジャーなものだし、そんな存在がゲームの中で最弱である事がとても残念だった。

そこで考え出されたのが、「マークを消す、というスキルにすれば強くなるのでは?」というもの。

しかし何もスキルが使えなかった時、鉛筆のアクションで「壁を書く」という選択肢は残しておきたかった。
なので壁を消すスキルも残さなくちゃいけない。

じゃあどちらも必要なら、強い方のスキルのコストを大きくしよう、と考えた。

そうしたバランス調整を経て、ブングースリーは「消しゴムとはさみ」の固定でやるのが一番バランス良く遊べることがわかったのだった。

そして、そのスキルレベルという概念を取り入れた事によって、本編の方にも大きく影響を与えていく。

この時こそが、ブングーファイブ2.0とアップデートされた瞬間だった。


〜BUNGU SQUAD STORY #6 へ続く〜

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