怪獣のソフビ
夕方の公園、クニオちゃんは砂場で遊んでいる。
ベンチで本を読み終えたお母さんは、彼に話しかけた。
「クニオちゃん、そろそろ帰るわよ」
「はぁい」
今日の夕飯はハンバーグらしい、それにつられたクニオちゃんは、思わずお祖父ちゃんにもらった、ベムラーのソフビ人形を砂場に忘れて帰った。
その頃、日本の上空に凶暴なX星人が操縦する円盤形の宇宙戦艦がやってきた。
宇宙戦艦は10センチほどだったが、載せている超高性能の爆弾は地球を一発で粉々に砕く威力を持っていた。
X星人は、その爆弾をちらつかせ、地球を植民地化する予定だった。
そして、たまたまそのX星人の宇宙戦艦のカメラは、砂場のベムラーをとらえた。
艦長は言った。
「なんだあの巨大な怪獣は!
あれは伝説のデラレンボロンではないか。
おれたちの文明を一度滅ぼしたことのある大怪獣は、この星に来ていたのか!
おそろしい。この星の侵略はやめだ。
諸君、すぐ帰るぞ」
艦はUターンして、宇宙の彼方へと去っていった。
砂場のソフビは、
誇らしそうな顔をして、
夕陽を浴びて輝いていた。
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