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あの頃の夏休みの思い出(1990年代)

 僕は暑いのが本当に苦手だけれど、それでも夏は嫌いになれない。どの季節よりも、小さい頃の思い出があふれている。なんでなんだろう、やっぱり夏休みが長かったからかしら。僕のあの頃の夏休みをここに記しておきたい。正直、どうでもよい話です。
 いろんな人の夏休みが鮮明に記録されていたエッセイ集があったら読みたいなあ。年代別に分かれてると、なお良いです。あの頃の夏休みをみんなで語り合いたい。

 僕は小さいころ東京に住んでいたけれど、田舎に親の実家があって、夏休みのたびに父の車でそこに帰っていた。車の中ではゲームボーイをプレイして、大体車酔いしていた。
 田舎に帰ると、満面の笑みの祖父と祖母が迎えてくれた。居間で濃いめのカルピスを出してくれた。となりのトトロにでてきそうなおうちで、畑に囲まれていた。
 そして念願のお小遣いをもらって、久々にあった地元の従妹たちと一緒に近所の駄菓子屋に行った。近所と言っても、当時の僕には大冒険だった。農道を渡って、いくつか小川を渡り、小さな道路に面した小さな商店が見える。その前には4つほどのガチャポンとカードダスがあった。
 それが見えた瞬間、胸がどきどきする。ガンダムの消しゴムのようなガチャポン、当たりが出ると腕時計が入っているガチャポン、ドラゴンボールやガンダムのカードダス(滅多にキラカードがでなかった)。

 駄菓子屋に入って、たくさんの駄菓子(うまい棒、小さな12個入のお餅、小さなヨーグルト、ラーメンばばあ、ジュースの粉、ポテトスナック)と棚に積まれたプラモデル(ガンプラ、ミニ四駆、屋台やお城)、レジ横にあるくじびき、プラスチックの紙飛行機。500円に収まるように色々と考えた。大体収まらなかった。
 そして帰り道にできたばかりのローソンでジャンプとVジャンプを買って帰る(大奮発だ)。従妹のお姉ちゃんが、からあげ君を買って分けてくれた。
 ばあちゃんちに帰ると、凱旋した兵士のように、駄菓子屋の成果をみんなで発表しあった。プラモデルを作ったり、ジャンプを読んだりしているうちに、母やおばさんたちの「カレーできたわよ~!」という声でいそいで居間に集まる。おなかはペコペコだ。
 久々にあったおじさんに学校のことを聞かれる、テレビでドラえもんのスペシャルがやっていた。ひととおり食べ終わると、大人たちはお酒を飲みだしてなんだか知らない話が始まる、僕はつまらなくなって唯一クーラーの付いている部屋に、ゲームをやりに行くと、兄ちゃんが先にスーファミ(ドラクエ6とか、FF5とか)をプレイしている。いいなあ!というと、じゃあみんなでゲームしようか、と言って従妹たちと一緒に桃鉄か人生ゲームをやりだす。ゲームの途中、おじいちゃんが通りかかって、チューペットを配ってくれた。
 気づけば夜遅くになって、いとこたちが帰っていくのを見送った。また明日ね~!と。
 そしてお風呂に入って、寝床にいく。母や父と久しぶりに会ったような気持ちになる。みんなの寝息が聞こえて、急に不安になる。田舎の夜は静かで、虫と蛙の鳴き声だけが響いていて、窓から見える景色は真っ暗で、キラキラした星と、山の稜線がうっすら見える。異世界に来たような気持ちだった。
 でも、まだ作っていないプラモデルや、やりたいゲームがある。明日はみんなで駅前にあるデパートで買い物をして、そのあと映画館でドラえもんかゴジラを見るんだ。ワクワクする。気づけば不安もなくなって、眠りについて、賑やかな朝がまた始まる。

 今でも鮮明に思い出せる、あの素敵な夏休み。なんでこんなにノスタルジックな気持ちになるんでしょう。「あの頃の夏休みを語る会」があったら是非参加したいです。

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