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わが家の猫生活【その六十/寝るのが仕事の彼女が深夜に叫ぶ】

ツンデレ猫さまはお腹が空いたとき以外、本当によく寝ていた。特に歳を取ってからは。

空腹の猫は、夜中の2時だろうが3時だろうが容赦ない。どこのお宅の天使も同じと思う。わが家のライちゃんも、2階の姉の部屋で寝ているかと思えば、彼女用に少しだけ開けている引き戸の隙間に大きな体を入れてさらに開け、ドスン、ドスンと階段を下りていく。カリカリを食べて今度は母の足元で熟睡。で、早朝4時半頃に目を覚まして「ごはん、くれ!」の独唱がはじまる。

一日も怠らず。怠ってくれればよいのだがやらない日が無く、母は「まったく、もう! 茶碗にカリカリ入ってるじゃろう?」と、いつもライちゃんの顔を見て愚痴っていた。食べ物はあるのに、わざわざ早朝に家人を叩き起こす。「朝は缶詰がいいんだけど」あるいは「違う味が食べたいんだけど」の意味なのか、単なる「おはよう」の意味なのか。家族は振り回されながらも、5年、10年、15年、猫と早起きしてきた。

そんなライちゃんが、だんだん歳を取ってくると深夜に奇声を上げるようになった。あ、これ、晩年のモモちゃんも同じだった。雄叫び。

ウオオオオーーーン!!!

毎度けたたましくてびっくりする。が、本人(猫)それ以外は別段変わった様子はない。ただ鳴いて、1階に置いてある爪とぎをガリガリ。ライちゃんがやって来てから数年は、わが家の壁やカーテンがボロボロになった。いくら爪とぎを置いても、お気に入りの壁があるみたいで何度も同じ壁に前脚をもってきてガリガリ。もう途中から諦めた。しかし体が大きくなってからはあまりしなくなり、代わりにその壁のすぐ下に爪とぎを置いたらそこでガリガリするようになった。推測だけど、体が重くなって壁によじのぼるのが億劫になったんじゃないかと思う(苦笑)。

爪とぎが終わると、またウオオオオーーーン!と叫び、ウロウロ。

認知症の症状だろうか。猫にも認知症があることは、モモちゃんが老いてから知ったことだ。昼と夜がわからなくなっちゃうのか?  でも呼べばこっちを見るし、排泄も問題ないし、元気のバロメーター・食欲は変わらずある。「うーん、やっぱり元気みたい」とまた思い直す。

15年も経つと、そんなことが繰り返し起きるようになった。それでも食べちゃ寝て、食べちゃ寝て、たまにゲロって怒られてというのは相変わらずで。眠っているところを触ると、「今寝てるから」と面倒くさそうな目でこっちを見たり、触ったところをすぐに毛づくろいしたりする。これがツンデレ猫さまに遊んでもらう醍醐味だなあと、完全なるM気質の血が騒ぐ。とにかく、人も猫もみんな健やかに長生きしたいもんだね。(つづく)

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