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わが家の猫生活 【番外編*その6/クロちゃんに会いたい】

帰省は昨秋きりになっている。正月もお彼岸もとうとう帰れなかった。墓参りの他に目的があると言えば、唐揚げ(わが実家の近辺は唐揚げ専門店がひしめくのです)と猫である。久しぶりに、姉から聞いたクロちゃんの近況を綴ってみよう。


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週に一度、姉がわが家の墓参りと墓掃除に行くのは、そばのお堂で暮らすクロちゃんに会うためでもある。会えたらラッキー、会えなかったらアンラッキー。気ままな地域猫との距離感は、これぐらいでないといけない。朝と夕方、お寺さんからごはんをもらっているので、チュ○ルもモン○チもあげられない。そこが辛いのだが、それでもクロちゃんは、姉の姿を見つけるとミャーーンと鳴いてまとわりつく。

野良猫とは思えぬ毛並みの良さ。ちょっぴりふくよかな体。おそらく近所で、ちょいちょいごはんをいただいているのではないかと思う。昨年、いつもいっしょにいたアカさんが天にのぼってしまい、ぼっちになった。……と思っていたが、捨て猫なのか同じお堂に昨年から棲みついたキジ猫がもう一匹いるんだった。


なでなでしてほしいのか、クロちゃんは姉の姿を見つけると、いつも目の前でゴロンゴロン。それを済ませると、くっついてわが家のお墓までやってくる。午前11時をまわると、すでにパトロールで不在のことが多い。先日も、家を出るのが遅くなったらもういなかったそうだ。残念がった姉が墓掃除を済ませ、近くにあるわが家が管理するお稲荷さんへ行くと、そこにはクロちゃんが! 彼女が気持ち良さそうに寝ていたのは、お賽銭箱の上だ。

「クロちゃん! お賽銭の番をしてくれてるの?」

声をかけられても爆睡。このお賽銭箱、丸くなったクロちゃんの体にぴったりサイズ。木箱とキジ猫、遠目に見ると「眠り猫の木彫りか!?」と感じるほどに同化していたらしい。

お稲荷さんの番人(猫)だね、クロちゃん。

実は、毎年年末についた鏡餅をお稲荷さんに飾ると、正月を迎えないうちにどなたかが持って行ってしまう事件が起きる。野生動物かなと思ったり、でもけっこうな大きさの鏡餅なんだけどと思ったり。「それで誰かが無事に正月を迎えられるならいいか」と、家族は諦めモード。父も生前ずっとそう言っていた。

いっそ、クロちゃんが番をしてくれたらいいんだけど。見たかったな、お賽銭箱の番をする猫……。

「そこをカメラにどうして収めない!」と、クロちゃんの写真を撮っていない姉に、私は文句タラタラ。帰省できないから、せめて写真だけでも見たいんだよ。「いまだにスマホの使い方ようわからんから」と、彼女は私よりさらにアナログなことを言う。カメラ機能ぐらい使いなさいよ、まったく。

猫さまを愛でたいけれど、終息にはまだまだ遠く、ゴールデンウィークも帰省は無理そうだ。父とモモちゃんの写真を前にお水と花の水を替え、わが家の墓を思い出しながら「帰れずごめんなさい」と手を合わせる毎日。人間も、猫さまも、どうか元気に暮らしていてほしい。


今までの番外編はこちら。


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