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完熟マンゴー/宮崎から届いた便り

仕事でお世話になって以来、20年近いつき合いになる宮崎の知人から、マンゴーが届いた。

126完熟マンゴー

どげんかせんといかん知事の時代、一気に全国に知れ渡った宮崎の完熟マンゴー。当時、仕事でマンゴー農家の方に話を伺うために、南郷町(現在は日南市)へ向かった。

ハウスの中で農家の方にひと通り説明していただいて外に出ると、案内役の役場の方が、「たまに農家さんから出荷できないのをもらうことがあって。子供と奥さんが美味しいところを食べて、私はただ、スジと種のある中心部分をチューチュー吸うだけ」と笑いながら言った(もちろん宮崎弁で)。

そのとき農家の方が、ネットで包むのが間に合わずに落下してしまったマンゴーがあるからと、蜜柑みたいに私たちに1つずつ手渡してくれた。

「今、食べてみたら?」と農家さん。

「えっ、このまま!?」

完熟して落ちたものなので皮はやわらかい。皮を剥いでそのままかぶりつけと言うのだ。な、なんと贅沢な。

ハウスの外で豪快な(良く言えば)喰らい方。滴る果汁で手はベトベト。しかし、今までに味わったことの無い幸せを噛みしめた楽しい思い出である。


*****

いつもなら仕事のついでに道の駅に寄り、1つ2,000円ぐらいの小ぶりなものを購入して、一人で丸ごと食べる年に一度の贅沢儀式をやるのだけれど、今年は一度も宮崎へ行けずじまい。儀式もやれずじまいだった。


マンゴーを送ってくれた知人とは、旅先・仕事先で見つけた土産や地元のもの、いただきもののお裾分けなどを詰めて、ときどき風の便りのようにお互い送り合う。しかしさすがに「完熟マンゴーは高いでしょ???」と少々驚き、電話した。

どうやらそれは私の誤解で、今年は新型コロナの影響で県内消費を推進しているため、スーパーで比較的安価になっているというのだ。

ということは、都城や高千穂の牛肉(宮崎牛)も、少しはお求めやすくなっているのかしら? 今こそ、地元のものを地元で楽しめるではないか。宮崎は野菜も肉もフルーツもブランドものが多く、おまけに焼酎も魚もある。食材の宝庫だなって思う。


マンゴーをいただきながら、宮崎の景色とか、潮騒とか、脳内でグルグル。ハマユウはまだ咲いているかなとか、サーファーたちは波乗りしているかなとか。グルグルグルグル、メリーゴーランド。

マンゴーの濃厚な甘さ。糖度が高い。ジューシー。美味しい。

仕事であちこち行くことが多かったけれど、なかでも宮崎行きはいつも楽しみにしていたのだ。それはおそらく、自分と気質や風土が合うから。同じという意味ではなくて、自分を補ってくれるイメージ。

宮崎とは逆に、行くとテンションが下がるエリアもある。「前世でこの辺りの殿様と何かあったのか?」ってぐらいテンションが……(苦笑)。あれは何なのだろう。


いつかまた、きっと宮崎に行けると信じて、今は脳内でグルグルグルグル、宮崎メリーゴーランド。

知人は家業、自分はフリーランス。「どうにか生き延びよう」と電話口で励まし合った。

マンゴー、ご馳走さまでした。

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