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私の探究の書 七夕古書大入札会

今年も明治七夕古典会が開催された。
第58回七夕古書大入札会、である。先週の週末である。

今年も粒ぞろいの逸品たち、私はそれらの書影を眺めながら、然し今年は動かなかった。
欲しい本はあった。あるにはあったが恐らく諭吉が30人〜40人は必要と思われるため見送った。

値段の上限が見えねぇ…、まぁ見えるのだが、絶対に殺されるので手出しできない。

私には探している本が3冊、そしてZINEが2冊ある。それらを買うためには、今は諭吉を出動させるわけにはいかないのだ。
いや、まぁ半分嘘だ。金があればもちろん購入している。私は貧乏である。然し、心は王様なので、別に構いはしない。

明治七夕古典会は一般人も入ることのできる超大規模な古書市で、本来の業者市には素人は入ることができないが、この市では代行といった形で、気に入った本を古書店の方に代理入札していただける。

基本的には札は4枚入れる。それは、例えば、10000円、15000円、20000円、20020円、的な感じだ。
20,000円くらいの札が入るだろう、というときに、端数の僅かな額を+するのをヒゲをつけるといい、そうすることで、少しでも勝率を上げるわけである。
この価格を考えるときが、腕の見せどころ、楽しいところだろう。
まぁ、最低入札価格は50,000円〜である。昨年までは、どの品物にも最低落札で20万円とか8万円とかついていたが、一括になったのかしら?
このような話は、藤澤清造の肉筆類や稀覯本にお熱の西村賢太が『四冊目小の根津権現裏』という小品に仔細を書いている。

私が気になったのは、

中里介山の『大菩薩峠』揃いの初版
谷崎潤一郎『細雪』の私家版200部(毎年どこかで出るので、入手しやすい。価格は10万〜20万円)
日夏耿之介『転身の頌』の献呈署名入初版本
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』初版函付
江川書房版堀辰雄『聖家族』ペン署名入り
大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』限定15部私家版二重函
ステファヌ・マラルメ『半獣神の午後』限定175部 献呈署名入
映画メトロポリス関係資料10点
戦前広告集3帖
『山の絵葉書』 大谷一良 家蔵版限定7部サイン入り木版画2葉
九条武子書簡

あとは谷崎の草稿や川端の草稿、大江健三郎の自筆系が多かったのが印象的だ。
直木賞選考関係資料とかもなかなか濃厚な資料だ。
久米正雄関係資料一括とかとんでもない数の資料だが、あれはどれくらいするんだろう。
すべて公式サイトの目録からチェックできる。

まぁ、いずれにせよ垂涎の逸品が一同に集っている。うーん、マンダム。
無論、高いものは100人諭吉が必要であろうし、私のような小市民が触れられる品ではないだろう。が、然し、このように電子目録で誰でも書影が観られる時代とは凄まじいことだ。
昔は、存在しているのか不明の古書もたくさんあって、それは真の探求者、つまりはハンターハンターにだけ触れることの赦されるキ◯ガイ魔境の品々だったが、まぁ、それがなんと誰でも見ることでできるのだから。

むろん、書影と実物は全くAuraが異なるため、それは現物を見るに越したことはないが……。
つまりは、インターネットなどを使うのは、邪道なのである。やはり、本、というものは、足で探すのが基本だ。それは何時の時代も変わるのことのない普遍の真理だ。

まぁ、私は再び探求書を探す旅に出るとしよう。そして私は、今日も今日とてネッツの海を漂う……。って、お前もインターネット使うんかいっ!
ちゃんちゃん。

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