見出し画像

イライジャ・ウッドという天使

イライジャ・ウッドは元子役である。

『危険な遊び』が代表作であって、マコーレ・カルキンと共演していた。
マコーレは堕落して、イライジャはなんとか凌いだ。色々インタビューを読むと、母親が相当しっかりしていたとのことである。ショービジネス界は、そもそもが茨道獣道、両親がやばいと大変なことになる。
そもそも、マコーレ・カルキンについて聞かれたとき、「マコーレはいいやつだったよ。悪いのは両親なんだよ。」と一刀両断している。

画像4

イライジャ・ウッドはその後『ディープインパクト』や『アイスストーム』、『パラサイト』で順調にキャリアアップしていって、ついに1999年、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの主演である、フロド・バギンズ役を射止めて、ディカプリオ(ジャック)の叫んだ所の、『キング・オブ・ザ・ワールド』になるわけだ。

画像3

然し、ああいうブロックバスター、しかもキャラクター色の濃い役というのは危険も伴う。『スター・ウォーズ』のマーク・ハミルやヘイデン・クリステンセン、『ハリー・ポッター』のダニエル・ラドクリフ、そして、『ロード・オブ・ザ・リング』のイライジャ・ウッドもまた例外ではない。

然し、イライジャ・ウッドは幼い頃からショービジネス界に生息していたため、あまり驕らず(むしろ、インタビューや言動は常に良い人で、常識人である)、大好きなロックとホラーの作品作りに勤しんでいる。
『ロード・オブ・ザ・リング』で共演したメリー役のドミニク・モナハンも、「イライジャはずっとハリウッドと距離を置いていた。」と証言している。

お金について聞かれたときには、「お金って身を守ってくれるものなんだ。僕は単にお金がそういう保険みたいなものだから好きなんだよ。やりたいことをやれる自由も与えてくれるしね。」と、模範的回答。

趣味はフィギュアの収集である。特に『スター・ウォーズ』のフィギュアを鬼のように集めているようで、完全にオタクである。

そんなイライジャ・ウッドはオシャレな恋愛映画、『エターナル・サンシャイン・オブ・スポットレスマインド』(なぜか原題で言いたくなる語呂)にも出演していて、こちらが素に近いように思われる。

彼は、『僕の大事なコレクション』という映画に出演し、その数年後、名作ホラー映画のリメイク、『マニアック』を製作、主演したが、その際のコピーが、変態殺人鬼役にあやかり、「僕の大事なコレクション」と過去の主演作を弄る内容で、もうひとつが「指輪なんか、もう捨てた」という、これまた全方位で彼をイジる名コピーだったのが、ああ、配給や宣伝の人にも愛されているのだなぁと嬉しくなる次第。

この『マニアック』、イライジャは完全変態のマネキン製作師なのだが、画面構成、色合いが非常に美しく、ベストイライジャ映画?これだよ、と差し出したくなること請け合いである。
私は、この映画を愛する。この血しぶきと肉片すら美しいこの映画を。

画像2

画像1

さらに、イライジャは私の愛する映画10傑の中の一つ、『マンディ/地獄のロード・ウォリアー』というウルトラに傑作の映画の製作も担当していて、恐ろしいほどの映画愛の男である。金ではない。愛と狂気がイライジャの原動力であり、全ての映画人が見習うべき彼の美点なのである。

イライジャ・ウッドは吸い込まれそうな瞳をしている。恐ろしいほどのギョロ目だが、青い地球が二個、彼の眼窩に収まっているようだ。
イライジャ・ウッドはホラーを制作するダークエンジェルである。然し、仙水忍のような痛さはない、非常に優しい、ホラーエンジェルなのである。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?